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新しい比乃子、爆誕!
第5話 全身黒タイツの名探偵
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なんだかよくわからない集会が終わって場内が明るくなり、全身黒タイツの野郎どもが口々に愚痴りながらどこかへ散っていく。
これって……逃げるチャンスなんじゃないの!?
野郎どもと同じ全身黒タイツ姿のわたしは、彼らにまぎれて廊下へ出る。それからさりげなく一人になって、外への逃げ道をいろいろと探した。
その途中、エレベーターが何基かあったけれど、押しボタンがなくて動かすことが出来なかった。もしかしたら、タッチキーが必要なのかもしれない。
非常階段への扉も施錠されていてびくともしないし、この先どうすればいいのか、もうわからない。流石のわたしも、心がポッキリ折れそうになる。
「なんなのよこれ……夢だとしても、占いサイトでなんて検索すればいいのよ、もう!」
記念すべき高校入学の日に捕らわれ、黒い全身タイツ姿で謎の施設から脱出しようと出口を求めて徘徊する夢。
お金を出して占うまでもなく、〝心に深い闇を抱えているあぶない子〟という診断結果を独自に出した直後、女子トイレから出てきたさっきの銀仮面と鉢合わせた。
「うわっ!?」「キャッ?!」
意外とかわいらしい声でよろめいた銀仮面が、蛇なのか骨なのか、よくわからない不気味なデザインの仮面の位置を慌てて直す。
「ちょ、ちょっと! 急に驚かせないでくださいよね、もぉ!……ファッ?!」
さらに慌てる銀仮面は、うなじの辺りに急いで触れる。カチッと、金属音が小さく鳴ったような気がした。
『あー、あー、オホン。こんなところで油を売ってないで、早く逃げた改造人間を探すのだ!』
どうやら、変声機のスイッチを入れたみたいだ。
足もとを見れば、結構な厚底の銀色に光るブーツを履いている。靴を脱いだら多分、わたしよりも背が低いんじゃないかな。
さっきのかわいらしい声といい、背の低さといい、ひょっとしたら銀仮面の正体は、わたしと同世代の女の子なのかもしれない。名探偵・比乃子の推理が冴える。
だけど、それを指摘したところで一円の得にもならない。さらに言えば、喋るとわたしの正体がバレちゃうし。とりあえず、わたしは無言のまま何度も頭を下げ、この場から早々に立ち去ろうとした。
したけど、そこへジャクソン伍長がやって来やがる。
「ヘイヘイ! スカルコブラー総統、お疲れさまッス!」
『ヘイヘイ! デンジャーD、お疲れさんデスYO!』
ひょっとしたら女の子かもしれないスカルコブラー総統が、ジャクソン伍長にラッパーみたく、両手と腰をリズミカルなテンポで左右に振りながら挨拶を返す。
それに合わせ、ジャクソン伍長も高らかに笑い声を上げながら、自分の股間を片手でにぎにぎして腰を艶かしくグラインドさせた。
なんだよ、この空間。
いろんな意味で立ち去りたいわたしは、無言のままこいつらと同じように両手を振りつつ、リズムに乗ってこの場から去ろうとした。
したけど、不意にわたしの手首を掴んだジャクソン伍長に阻止される。
振り向くと先ほどの笑顔とは違う、ジャクソン伍長の真剣で怖い眼差しが待っていた。
これって……逃げるチャンスなんじゃないの!?
野郎どもと同じ全身黒タイツ姿のわたしは、彼らにまぎれて廊下へ出る。それからさりげなく一人になって、外への逃げ道をいろいろと探した。
その途中、エレベーターが何基かあったけれど、押しボタンがなくて動かすことが出来なかった。もしかしたら、タッチキーが必要なのかもしれない。
非常階段への扉も施錠されていてびくともしないし、この先どうすればいいのか、もうわからない。流石のわたしも、心がポッキリ折れそうになる。
「なんなのよこれ……夢だとしても、占いサイトでなんて検索すればいいのよ、もう!」
記念すべき高校入学の日に捕らわれ、黒い全身タイツ姿で謎の施設から脱出しようと出口を求めて徘徊する夢。
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「うわっ!?」「キャッ?!」
意外とかわいらしい声でよろめいた銀仮面が、蛇なのか骨なのか、よくわからない不気味なデザインの仮面の位置を慌てて直す。
「ちょ、ちょっと! 急に驚かせないでくださいよね、もぉ!……ファッ?!」
さらに慌てる銀仮面は、うなじの辺りに急いで触れる。カチッと、金属音が小さく鳴ったような気がした。
『あー、あー、オホン。こんなところで油を売ってないで、早く逃げた改造人間を探すのだ!』
どうやら、変声機のスイッチを入れたみたいだ。
足もとを見れば、結構な厚底の銀色に光るブーツを履いている。靴を脱いだら多分、わたしよりも背が低いんじゃないかな。
さっきのかわいらしい声といい、背の低さといい、ひょっとしたら銀仮面の正体は、わたしと同世代の女の子なのかもしれない。名探偵・比乃子の推理が冴える。
だけど、それを指摘したところで一円の得にもならない。さらに言えば、喋るとわたしの正体がバレちゃうし。とりあえず、わたしは無言のまま何度も頭を下げ、この場から早々に立ち去ろうとした。
したけど、そこへジャクソン伍長がやって来やがる。
「ヘイヘイ! スカルコブラー総統、お疲れさまッス!」
『ヘイヘイ! デンジャーD、お疲れさんデスYO!』
ひょっとしたら女の子かもしれないスカルコブラー総統が、ジャクソン伍長にラッパーみたく、両手と腰をリズミカルなテンポで左右に振りながら挨拶を返す。
それに合わせ、ジャクソン伍長も高らかに笑い声を上げながら、自分の股間を片手でにぎにぎして腰を艶かしくグラインドさせた。
なんだよ、この空間。
いろんな意味で立ち去りたいわたしは、無言のままこいつらと同じように両手を振りつつ、リズムに乗ってこの場から去ろうとした。
したけど、不意にわたしの手首を掴んだジャクソン伍長に阻止される。
振り向くと先ほどの笑顔とは違う、ジャクソン伍長の真剣で怖い眼差しが待っていた。
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