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爪をヤスリで整えて、磨き布で艶を出し、最期は手や指をオイルでマッサージしていく。とても丁寧に。
その時間は、夜神にとって生きた心地のしない、苦痛をともなうものであった。肉体的でなく、精神的に。

自分の目の前にいる侍女見習いは、今にも倒れそうなほど青白い顔で夜神を見ている。
その瞳は「助けて」と訴えているようにも見える。
もし、夜神が侍女長の行為に否定的な態度で接すれば、間違いなく目の前の侍女見習いの爪を、膝に乗せているペンチで剥ぎ取るだろう。それも夜神の目の前で。

・・・・・逆らえない。己の行動で他の人が犠牲になるなら、逆らわず、自分を犠牲にするしかない。

いつの間にか爪の手入れは終わっていて、手は膝に乗せられていた。整って、輝いて見える爪を見ると、何故か胃がせり上がるような気持ち悪さを覚える。
見続けるのが苦痛になり顔を背ける。

「夕食の時間になりましたら、お呼びしますので部屋でゆっくりとしていてください」
侍女長は大人しくなった夜神に満足したのか、少しだけ声色が明るく聞こえる。そして、部屋を出ていった。

どうすることも出来ない。今の自分は無力以外の何者でもない。
ただ、与えられる行為を静かに受け取っていくしか出来ない。深いため息をして、ソファに力無くもたれ掛かる。
何も出来ない。このまま時間が過ぎていくのを待つしかないのかもしれない。
毎夜、毎夜おぞましい行為を受け入れなければいけない。

帝国に拉致された時点で、自分の生死など分からなかった。きっと殺されると思っていた。だが、違う意味で殺されている。
頭も一緒にもたれて、目を閉じる。

なんか、疲れた・・・・・全て忘れて寝ていたい

疲弊した頭では、眠ることでしかこの異常なまでの、追い詰められた、疲れをとることができないと判断される。束の間の休息をとるため、そのまま眠りについた。



帝国に拉致されて、一週間が過ぎようとしている。だが、夜神は五日目位から色々と分からなくなっていった。
時間の感覚がなくなっていって、今、何日目なのかが分からなくなっている。

そして、連日の皇帝からの激しい行為が、体力を失くしていく。そして悪夢と侍女長達からの爪の手入れだ。
体も心も休まらなくて、少しずつ「歪み」を生み出している。
なんでもないのに涙が出てきて、叫びたくなる。あれ程情報が欲しいと思っていたのに、何も考えたくなくて、ソファに座っていて気づけば、食事の時間だと呼ばれる。

今日も子供たちと話していたが、内容をあまり覚えていなかった。それぐらい集中力が低下している。このままではいけないのに、全て億劫になってしまった。

部屋が薄暗くなる頃、侍女の一人が食事で呼びに来る。本当なら「食べる」行為も苦しい。
量を減らしてもらっているが、あまり食欲が出ないのだ。 とくに夕食時は吐き気さえ出てくる。
夕食を食べ終わると、湯浴みされて、そして皇帝に抱かれるのだ。
恐ろしいことに、何度も何度も胎内に皇帝の飛沫を受け入れている。「孕め」と何度も言われ、下腹部を撫でてくるのだ。見えない恐怖が、夜神をさらに追い詰めているのだ。

ソファの背もたれを掴み、何とかして立ち上がる。既に何かに掴まらないと立つこともままならない。そうして立ち上がると、ゆっくりとした足取りで歩く。
足に鉄球でも巻き付けられたように重い。
食事をしたら、次は━━━━━━考えるだけでも吐き気がする。

いつになったら私は、帰れるのだろう?もしかしたら帰れないのかもしれない。
もう、分からないよ・・・・・
精彩のない瞳を、虚空に漂わせ夜神は案内役の侍女の後ろを歩いていった。



「あぁぁぁ、も、うゆるして・・・・・」
あれから、何度も背中とおとがいを仰け反らして絶頂している。
何度、許して欲しいと願っても「まだ、足りない」と言われ、蜜壁を凶暴な迄に張り詰めた、肉茎が「ズチュグチュ」と粘着質な音を立てて出入りする。

すでに一度も・・・・抜かれることもなく四度めの皇帝の飛沫を胎内に受け入れている。
蜜口からは受け止めきられない、皇帝の白濁と夜神の奥から湧き出る蜜が混ざり合い溢れて、二人の結合部分を濡らしていく。

「ね、がい、・・・抜いて、苦しいのぉ・・あっ、めな、━━━━━いっちゃうっ!!」
すでに制御の効かない体は、ルードヴィッヒが熱い肉茎を乱暴なまでに律動するだけで、簡単にイツてしまう。
ルードヴィッヒが執拗なまでに教えた、「イク」の単語を、今や普通に口に出し、全体を痙攣しながら「イク」のだ。

「はっはは!凪ちゃん気持ちいい?ねぇ、沢山私の子種を受け止めたけど、まだだよ。もっと良くなって。その愛らしい口で嬌声を聞かせて」
「あっだめ、いやぁぁぁぁぁ━━━━━!!」
目の前が白く染まり、執拗に蜜道の奥を穿っていた、肉茎を離したくなくてギュウギュウに締め付ける。

「くっ・・・・・・・あぁぁ、今、沢山あげるね。しっかり飲んで・・・ね」
ルードヴィッヒは熱く畝る夜神の蜜道の奥に、熱い白濁を注ぎ込む。腰をしつかり掴まえて、何度か夜神の結合部分を隙間なく打ち付けて最後の最後まで出尽くす。その熱い飛沫は、飲みきれなくて夜神の後ろの秘孔まで濡らしていく。

夜神は寝室に、悲鳴にも似た声を響かせると、ピタッと動きを止めて、糸が切れた操り人形ように気絶する。
「ふっふふふ。気絶したのかい。最近は気絶するスピードが早くなっているね。大変だ」

夜神の熱い肉壁に、ルードヴィッヒの肉茎を埋め込めたまま、夜神の頬を撫でる。
「さてと、中に沢山出したけど、勿体いないなぁ~そうだ、蓋をしよう」
何かとてもいい案を思い浮かんだ、子供のように笑い右手をギュッ握り、力を込めて手を開く。
すると細かな鎖が手のひらから何本も生れ、少しずつ形を作る。それは限界を迎えそうなほど、固く張り詰めた肉茎が生まれる。

その生まれた梁型をいっきに、自分の楔を引き抜いた胎内に素早く埋め込ませる。
そして、蜜壷の入口を鎖で隙間なく蓋をして、注ぎ込んだ飛沫が漏れ出ないようにする。
「これで、完璧だね。起きたときの反応が楽しみだよ。きっと小鳥のように泣いて、鳴いて懇願するんだろうね。可愛いよ、愛らしいよ、想像するだけでたまらなくなる」

ぐったりと気絶している、夜神の頰を撫でると、布団を肩まで被せ、頭の下に腕を潜り込ませると、腕枕をして抱きしめる。
「おやすみ・・・・・・いい夢を、見るんだよ?」

そう、いい夢を。大切な人達が、知っている人達全てが、夜神を批難して、罵詈雑言を並べていく。
誰も助けてくれない、出口のないトンネルのような夢を。
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