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幼少期編

規制事実?

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朝、太陽の光を眩しく感じて目を開いた。

そして、身体を起こそうとすると、何かに邪魔をされた。





「な、なにをッ!?」





その声は、俺の真上から聞こえた。

俺の視界は真っ暗で、何がどうなっているのか分からない。

しかし、周りに硬い何かがあることから、きっと何かに入っているのだと思う。



そして、その中では人一人分の広さしかなく、そして”二人”入っている。

お分かり頂けただろうか。

俺とカレンは、一つの何かの中で、抱き合う形でいるのだ。



というか、良くこれで寝れたものだ。

昨日の料理の媚薬と睡眠薬は、こんなにも強力なのか。

どうしてこんなに冷静なのか、それは簡単だ。



このカレンに抱きつかれている状態、物凄く幸せなのだ。

まるで、俺の恋人に抱きつかれているような感覚(恋人など作れたことが無い)だ。

もう、この時間のまま一生いても良い気がする。



俺は、そのまま幸せに任せてカレンを抱きしめた。

程よく温かい体温と、そのプニプニとした肌触りが最高である。





「大好き・・・・・・・・・」





何かを呟きながら、俺はぎゅっ、と力を込めた。





先程から静かにしているカレンは、身体が熱くなるのを感じた。

顔が真っ赤なのは自覚しているが、この感覚は納得出来ない。



リュウに抱きつかれて、嬉しくて幸せだと感じているのだ。

その事実が、カレンの意思に反して差恥心を刺激している。

しかし、幸せな気持ちなのはまったく変わらないのだ。





「わ、私も・・・・・・・・・」





そう呟いて、リュウのことを抱きしめた。







カレンに抱きつかれた俺は、さらに幸せな気分に浸かっていた。

この時間は、とても至福なものだ。

体温が、肌触りが、感触が、匂いが、その全てが心地良い。





「リュウ殿、リュウ殿~」





誰かが呼んでいるが、それを気にしている時間は無い。

一時でもこの感覚を離したくないのだ。

さらに腕に力を入れて、カレンの身体を抱きしめた。





「あ~駄目だな。まさか媚薬と”強制交際薬”(無理矢理互いのことを大好きにさせる薬)で此処までなるとは思わなかった。これじゃあリリナの嬢ちゃんに何て説明したら良いのか分からないぞ~」





何だか大事な発言を聞いた気がするが、きっと夢だろう。

俺は、この時間を失ってはならないのだ。

頭もカレンの肩に押し付けて、その体温を感じる。





「既成事実はこれで完璧なんだが、これを外すには俺の命が二つ無いと駄目だな~」





幸せだ。

カレンの息遣いが、体温も感じる。





「仕方無い。リリナの嬢ちゃんにDOGEZAするか」









「お兄ちゃん?」



「リリナ?」





暫く幸せに浸かっていると、リリナの声が聞こえた。

しかし、周りにある壁は邪魔で、何も見えない。





(邪魔)





「”爆炎”」





一瞬で炎の爆発に包まれたが、問題は無い。

全て、俺が魔力の操で追い払った。

しかし、この技術を何処で手に入れたのかが思い出せない。



まあ、きっと大事なことだったら何時か思い出すだろう。

外の景色を見ると、どうやら屋敷の一室、ベッドの上のようだった。

周囲を見回した俺の視線は、リリナの顔で止まった。



俺の目前で不満そうな顔をしているリリナは、俺の後ろを見つめている。

そちらには、先程まで抱きしめていたカレンがいる。

彼女は、急に俺がいなくなったのに驚き、今は顔を青くしている。



分析している俺の顔も真っ青だ。

カレンとの既成事実をつくる罠に嵌ったのは最低限良しとしよう。

しかし、リリナの不満そうな顔はヤバイ。



彼女は、弾に俺でも勝てないくらい強いのだ。

もちろん、模擬戦や殺し合いなら勝てるだろうが、そうではない。

なんだか、絶対に勝てないと本能が告げるのだ。



そして、それが今みたいな時。

彼女の機嫌を取り戻すのは、精一杯甘やかすのが一番だ。

俺は、リリナの手を握って部屋を出た。



服装が変わっていることから、どうやら誰かが着替えさせたようだ。

まあ、それも誰かは後で分かるだろう。

リリナの手を引っ張りながら、俺はリリナの頭を撫でた。





「ごめんな、リリナ」



「大丈夫だよ・・・・・・」





今までとは違い、リリナは不満と敵対心を燃やしている。

俺とカレンに対して文句があるというよりかは、カレンに対して文句があるように感じる。

これは、もしかしたら俺ではどうしようも無いかもしれない。



どちらにせよ、今はもう部屋は出た後な上、今日は仕事があるのだ。

そのままリリナを連れて、ギルドに向かった。









   ◇◆◇◆◇◆◇









ギルドの中は昨日と変わっていなかったが、俺に対する視線は変わっていた。

嫉妬と羨望の二種類だ。

嫉妬の中にも違いがあるようにも感じるが、それは俺には理解出来ない。



ただ、昨日のように魔力が溢れているわけではないので大丈夫だ。

そのまま受付に向かい、亜竜の討伐依頼を受注した。

亜竜は、ハッキリ言うとかなり生息しているのだ。



昨日一頭討伐したばかりだが、既にその辺りは別の亜竜の領域になっているだろう。

俺とリリナは、そのままギルドを出て森に向かった。

暫く歩くと、早速亜竜の反応を感じたので、先制攻撃として殺す。





「”氷槍投”」





氷の槍を投げ飛ばすと、亜竜の悲鳴が響いた。

やはり、今日の朝から無駄に経験豊かというか、勘が良くなっている。

不思議なものだが、俺はそれを受け入れているのだ。



まったく理解出来ない。

とりあえず、それはおいておいて、俺はリリナを連れて亜竜の元に向かった。

その場所に辿り着くと、思った通りの状態だった。



俺の放った氷槍が、亜竜の首を正確に貫いている。

それだけで、亜竜の命は消えているようだった。

”保管庫”にそれを仕舞い、俺はギルドの反対方向に向けて歩く。



帰るには早いし、それになにより魔力をもっと使いたいのだ。

近場にいる魔物目掛けて、俺は魔法を放ちまくった。

軽く魔王のような行動だが、所詮人間の範疇に納まっている。



暫く進むと、亜竜がもう一頭いたので、それも一撃で殺す。

そんなことを繰り返すと、かなり魔力が消費出来たので帰ることにした。

リリナも機嫌が戻ったのか、世間話が出来たのは幸いだ。



俺は、リリナとともにギルドに戻った。
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