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「それでさー、今日久々にお父さんから電話が来たわけよ。なんか愚痴きいてほしいって」
酔っぱらったおじさんの話は長い。そして、とりとめがない。いきなりお父さんの話になった。
「なんでもさ、南極行きのメンバーに選ばれたらしいの。
でも、行くかどうか、迷ってるっていうのよ。
昔から行きたがってたくせに何ひよってんのって、俺言ってやったわけ!
まだ、技術が追い付いていないとか、寒いところに慣らしてからのほうがいいとか、まずは近場の海外からとかそんなことばっかり!!」
お父さんが南極に??そんなの初耳だ。
「南極、男のロマンじゃない?行ってこいって俺言ったのよ!それでもずーっと同じ話の繰り返し!嫌だねー、酔っ払いって!!」
きっと、お父さんが南極行きを迷っているのは、私のせいだ。
南極に行ったらちょっとやそっとじゃ帰ってこれない、それこそ、最短で何か月、下手したら何年か単位なんじゃないかな。
だから、色々変な理由をつけて行けないっていって、でも、諦めきれないから友達に話したんじゃないかな。
ピピピピピ
おじさんの電話から電子音が聞こえる。
「お、おじさん!電話なってますよ」
話しているうちにだんだん眠くなってきたのか、ソファーに眠たそうに横になったおじさんは、胸ポケットに入っている携帯電話をゆっくりとした動作で取り出し画面をタップした。
「えーー、もしもーーし」
電話の主は、森乃さんの奥さんだった。帰りの遅い森乃さんを心配して、電話をかけてきたみたいなんだけど今にも寝そうな森乃さんはついに携帯電話を床に落として、ソファーで寝てしまった。
「ちょ!!おじさんっ!!すみません、電話かわりますね!!おばさん、お久しぶりです!!私、文月穂香です!」
「えっ?ほのちゃん??久しぶりねー!!どうしたの!?」
「おじさん、うちのお父さんを送り届けてくれたんですけど、力尽きて寝ちゃったんです!!ほんと、お父さんのせいですみません!!」
「えーー、そうだったの!飲み会としか言ってなかったけど、よっちゃんと飲んでたのね。うちのがホントごめんなさいね。送り届けたはいいけど、そこの家で寝こけるとか何考えてんだか!!
回収に行くから、ほのちゃん、ちょっと預かっててもらえる?そうね、40分くらい。」
「はい、お手間とらせて申し訳ありませんっ!よろしくお願いします!!」
私はおじさんにタオルケットをかけ、少し散らかったリビングと玄関を大急ぎで片づけた。
そして40分後
「ほのちゃん、久しぶりーー!まー、しばらく見ない間にこんなに大きくなっちゃって!!ほんと夜分にうちのがごめんなさいね」
「お久しぶりです、おばさん!いえ、お父さんが悪いので、こちらの方が本当に申し訳ないです。」
「あ、これ、久臣!ちょっとあんた挨拶位しなさいよ!」
「あ、久しぶり。ひー君。おじさんの言った通りだ。ほんとすっごい大きいね!」
「あー、久しぶり」
「何あんた、もっとちゃんと話せないの?ごめんね、こんなんで」
「いえいえ、あ、おじさん、リビングです」
「じゃーすみません、おじゃましまーす」
おばさんと、大きくなったひー君をリビングに案内する。
こんなに賑やかな夜は久しぶりで、不覚にもお母さんの生きていた頃を思い出してちょっとしんみりしてしまった。
酔っぱらったおじさんの話は長い。そして、とりとめがない。いきなりお父さんの話になった。
「なんでもさ、南極行きのメンバーに選ばれたらしいの。
でも、行くかどうか、迷ってるっていうのよ。
昔から行きたがってたくせに何ひよってんのって、俺言ってやったわけ!
まだ、技術が追い付いていないとか、寒いところに慣らしてからのほうがいいとか、まずは近場の海外からとかそんなことばっかり!!」
お父さんが南極に??そんなの初耳だ。
「南極、男のロマンじゃない?行ってこいって俺言ったのよ!それでもずーっと同じ話の繰り返し!嫌だねー、酔っ払いって!!」
きっと、お父さんが南極行きを迷っているのは、私のせいだ。
南極に行ったらちょっとやそっとじゃ帰ってこれない、それこそ、最短で何か月、下手したら何年か単位なんじゃないかな。
だから、色々変な理由をつけて行けないっていって、でも、諦めきれないから友達に話したんじゃないかな。
ピピピピピ
おじさんの電話から電子音が聞こえる。
「お、おじさん!電話なってますよ」
話しているうちにだんだん眠くなってきたのか、ソファーに眠たそうに横になったおじさんは、胸ポケットに入っている携帯電話をゆっくりとした動作で取り出し画面をタップした。
「えーー、もしもーーし」
電話の主は、森乃さんの奥さんだった。帰りの遅い森乃さんを心配して、電話をかけてきたみたいなんだけど今にも寝そうな森乃さんはついに携帯電話を床に落として、ソファーで寝てしまった。
「ちょ!!おじさんっ!!すみません、電話かわりますね!!おばさん、お久しぶりです!!私、文月穂香です!」
「えっ?ほのちゃん??久しぶりねー!!どうしたの!?」
「おじさん、うちのお父さんを送り届けてくれたんですけど、力尽きて寝ちゃったんです!!ほんと、お父さんのせいですみません!!」
「えーー、そうだったの!飲み会としか言ってなかったけど、よっちゃんと飲んでたのね。うちのがホントごめんなさいね。送り届けたはいいけど、そこの家で寝こけるとか何考えてんだか!!
回収に行くから、ほのちゃん、ちょっと預かっててもらえる?そうね、40分くらい。」
「はい、お手間とらせて申し訳ありませんっ!よろしくお願いします!!」
私はおじさんにタオルケットをかけ、少し散らかったリビングと玄関を大急ぎで片づけた。
そして40分後
「ほのちゃん、久しぶりーー!まー、しばらく見ない間にこんなに大きくなっちゃって!!ほんと夜分にうちのがごめんなさいね」
「お久しぶりです、おばさん!いえ、お父さんが悪いので、こちらの方が本当に申し訳ないです。」
「あ、これ、久臣!ちょっとあんた挨拶位しなさいよ!」
「あ、久しぶり。ひー君。おじさんの言った通りだ。ほんとすっごい大きいね!」
「あー、久しぶり」
「何あんた、もっとちゃんと話せないの?ごめんね、こんなんで」
「いえいえ、あ、おじさん、リビングです」
「じゃーすみません、おじゃましまーす」
おばさんと、大きくなったひー君をリビングに案内する。
こんなに賑やかな夜は久しぶりで、不覚にもお母さんの生きていた頃を思い出してちょっとしんみりしてしまった。
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