生死の実感

鈴香

5.

　イカせてもらえない中、責め苦は続く。アンのキスは舌が性感帯なんじゃないかと思うくらい、吸われたり絡められたりするたびに下半身の奥の方が疼いた。乳首を触られるだけで声が出てしまう。つねられると仰け反るほど感じてしまうが、発散されることは無かった。乳首やクリトリスを吸われると、体の芯から奪われるような感覚になる。膣内も感じすぎる。外をなぞられても指を中で動かされても愛液が溢れ出す。お尻を撫でられただけでもイキそうだ。そんな中、男は肛門にまで指を侵入させる。性感帯じゃないが、お尻の穴を使った性行為があるのは知っていた。そんな穴でも感じてしまう自分が嫌になる。お尻の穴で感じるのは変態だと言われていた物語の登場人物たちが思い出され、自分に置きかわる。しかし、指が動くたび腰がくねる。声が漏れる。
「これはもう何されてもイケそうだな。早くイかないと、今感じる所は後からずっと性感帯のままだからな。いまお尻叩きで感じてると、ずっとお尻叩きで感じるようになるぞ。」
　どこかこの快感は今だけだと思っていた自分がいた。しかし、今どんどん体に快感を教えこまれている。当然体は覚えるだろう。イキたい気持ちだけでなく焦りも出てきた。
「…イカせて…」
　涙が出てきたが、小さい声で呟いた。どうせそのうち強引にでも挿入されるだろう。中出しも危険日じゃない今日ならもうこの際許してもいい。これ以上体が改造されること、このままもどかしいままなのを我慢するくらいならもうどうでも良かった。どうせ体の自由は効かない。この人たちは犯そうと思えば犯せる。処女を守ることも諦めるべきなのだろう。
「なんだって？聞こえないな。」
「…なか…だしでいいから…イかせて。」
「口の利き方がなってないな。罰だ。喉が性感帯になる。」
「え…んんっ！！」
　声が出て喉が震えるのを敏感に感じ、それが快感になって下半身まで響く。声を出す度に感じる命令をされた。しかし、体への責めは止まらない。自然と声が漏れる。それがまた感じる。
「んんっ…あああっ！！うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ！！！！」
　止まらない快感のループに絶望を感じ始める。
(口の利き方…？なに…？)
「別に俺たちは中出ししなくてもいいんだぜ。お前がイカせて欲しくて、中出しして欲しいって話なのにさ。仕方ないから中出しさせてやるみたいな感覚じゃダメだ。」
(…プライドも…折って…お願いしろ…ってこと？)
「ほら、これでもいいんだよ。」
　男は口にペニスを押し込む。息苦しさすらお腹の奥に響く。肉棒が口内を擦る度にイケそうな刺激が襲う。口の中が膣になったようだ。
　次第に男は腰を動かすペースを早め、口内の肉棒はさらに怒張をして喉奥に精液を発射する。性感帯にされた喉をドロリとした生暖かい精液が通る。
「どうだ？精液飲むだけでイキそうだろ？ごっくんで感じる変態になるんだ。」
「うぷ…んぐっ…う…るして…」
「ん？許す？なにをだ？」
「もう…イかせて…」
「良いのか？そんな言葉で。」
「…お願いします…。中出しして…ください…。」
　屈辱的だった。しかし、そんな言葉を口にすることすら感じてしまうこの状況はもう絶望だった。イケない体、だんだん開発されていく体はプライドを折るに充分だった。
「どこに中出しすればいいのかな？」
「っ…！！…その…わたしの…子宮に…」
「子宮ってどこにあるんだろうな。このへその先かな。」
「う…。私の…膣に…入れてください…。」
　わざわざ屈辱的な言葉を言わせようとしてくる。心を完全に折りにかかっている。
「膣なんて言われても頭悪い俺はわかんねぇなぁ。」
　アンが私の胸を包みながら、後ろから囁く。
「ほら、私の変態おまんこに、チンチンを入れて気持ちよくしてくださいって言うのよ。」
「……わ…たしの…変態お…おま…んこに…そ…お…ちんちんを…入れて…気持ちよくしてください…。」
「よく出来ました。さあ、四つん這いになってお尻を彼の方に向けて。」
　アンがキスをしてくる。下半身の方では男がペニスを膣の入口で擦る。愛液がどんどん溢れているのは自分でもわかる。
　そしてその瞬間は訪れる。初めて陰茎が膣に侵入する。体を貫くような感覚、肉壁の全てを擦りあげる快感、破瓜の痛み、全てが意識を持っていきそうなほど身体中を駆け巡る。イケたなら、それだけで気を失っていただろう。しかし、イケないため次の瞬間も限界まで感じて現実に引き戻される。ゆっくり出し入れされる陰茎がたまらなくもどかしく、気持ちいい。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛！！！！」