生死の実感

Gyumki

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「こ…ここは…?私は…電車に…」
「ここは森の奥の廃屋だよ。みんなで電車を降りて、ここまで来たじゃないか。」
 記憶にない。だが、電車から降りて、気絶する女を抱えて山奥まで行けるような世の中じゃない。監視カメラはどこにでもある。私が自分の足で歩いたとしか考えられない。
 少し廃屋を見渡すと、さっきの電車の男たちが10人ほど、隣には真梨がさっきまでの私と同じように昏倒していた。
「じゃあ、続きをしようか。」
「え…」
 正直、性欲はもう尽きていた。口にはまだ精液の匂いが残っている。さっきまでは気を失うほど快感に溺れ、腰を振っていた記憶はあるが、今はあまりそんな気分になれない。
「あ…相手なら…また…してやるから。今日はもう帰してよ。」
「自分の立場がわかってないみたいだね。」
「え…んうっ!!」
 体に電気が走る。
「君の快感のためにしてた訳じゃないんだよ。君の性欲は聞いてない。君の心を折り、ここに連れてきて実験台になってもらうのが目的だから。」
「…じっけん…?」
「君はもう肉便器だ、って言ってるの。」
「な…そんなこと、許すわけ…」
「実験その1。回転薬。」
 立ち上がった私は、そのまま倒れ込んだ。目眩のような感覚が止まらない。私が回転させられているような感覚だ。しかし、視界は一切回らない。バランスの取れない、回転する気持ち悪さだけが残る。
「三半規管だけに作用して、バランス感覚を狂わせ、不快感を与える薬だよ。どう?」
「どう…って…おぇぇ…」
「これで体の自由を奪えるね。」
 体の感覚が戻ってくる。吐いたことで薬が抜けたのだろうか。
「嘔吐によってリセットされる。これも予定通りだね。よし、完璧。」
「ちょっと!私の体になにするの!」
「次はね、このアプリを試してみたいんだ。」
 そう言うと男は私にスマホのカメラを向けた。
「ちょっと!いい加減にやめて!」
 パシャッ
「実験その2。マインドショット。ほら、こんなふうにさ。」
 それは頭の中から聞こえた。いや、耳にも聞こえたのだが、どこか違うところから聞こえた。頭に直接語りかけられているようだ。
「写真に撮った人物の意識をここに保存するんだ。時間、場所を問わずにこのアプリに話しかけるだけで、相手の意識に直接、声を届けられる。このアプリに、コイツの魔法を使うと…」
 男は隣にいたマスク男にスマホを差し出す。マスク男はそのスマホに喋りかける。
「想像してごらん。大好きな彼氏に、乳首とクリトリスを同時に摘まれているのを。」
 一瞬、彼氏の顔を思い出し、彼に前戯をされるのを想像する。その直後、乳首とクリトリスを摘まれる感覚が襲う。しかし、自分に触れている者はいない。しかも私は服を着ている。しかし、この触り方は彼のものだ。手指の太さ、触り方、その全てから彼氏を感じる。そう思うと余計に刺激を感じた。
〔ほら、そんなに濡らすと彼のチンポが入ってくるよ〕
 また頭に語りかけてくる。次の瞬間、膣の入口に肉棒の先が当たるのを感じた。それはそのまま私の体内に入ってくる。
「えっ…ああっ!うそ…んっ…」
 膣の中に感じたそれは、間違いなく彼氏の陰茎だ。私の肉壁に当たる所は寸分と違わない。何度か入れたそれで間違いなかった。しかし、その場に彼氏はいない。更に私は腰を浮かせてもないから、股の下に男性が入り込み、更に肉棒を私の膣に差し込むスペースもない。しかし、私の膣には確かに彼氏の性器が入っているのを感じる。そしてそれはピストンを始める。
「んっ…んぅ…んっ…」
「気持ちよさそうだね。俺の魔法は、想像した感覚が現実になるんだよ。聞いた言葉をどうしても想像してしまうよね。さらに、これで頭に語りかければ想像するのは不可避。面白いでしょ。」
 想像するのを止めようとしても、頭の中に直接語りかけられると、どうしても思考が働く。実在しない彼氏によるピストンは、意識すればするほど激しくなる。このままイクと思っていると、男が指を鳴らす。
「はぁ…はぁ…」
 魔法が止まったのか、全ての刺激が止まった。
「じゃあ、次の実験だね。」
 そう言って男が取り出したのはバイブだった。しかし、取っ手の先にはマイクのようなものが付いている。
「さあ、これで気持ちよくイッてね。」
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