生死の実感

Gyumki

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久保 藍④

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 家に帰っても落ち着かなかった。不安で落ち着かないとは少し違う感情が襲ってきた。膣や乳首を触るとなぜあんなにウズウズするのか。自分の知らない自分の体の秘密があることを知ってしまった。夕食も程々に食べ、部屋にこもり、恥ずかしい思いを堪えつつスマホで膣について調べ始める。
 保健の授業で習った。おしっこをする以外に、性器としての機能もある、と。たしかに不思議に思っていた。男性の性器から出てくる精子をどうやって子宮に入れるのか。性的快感を伴うって、その快感ってなんなのか。自分で性器を触って快感を得るマスターベーションも習った。でも快感の事も分からないから怖く、おしっこを出す性器を触る気にもなれず、性についての好奇心を閉ざしていた。そのことに気づいてしまった。知らないことが沢山あることに気づき、好奇心を持ってしまった。
 そして膣の働きを知る。性器に性器を入れ、動かし、男性器の射精を図る。その際、男女共に性的快感を得る。その性的快感が朝、感じたものだった。そして男性の射精同様に女性にもオーガズム、つまりイク瞬間がある。その快感を擬似的に得るために膣に指を入れ、動かしたりするのだ、と。
 調べているうちに男に強制的に知らされた朝の経験が妙に心に引っかかる。快感と言われれば、妙に納得する自分もいた。また感じてみたい好奇心が湧いてくる。調べながら、自分でパンツの上から割れ目をなぞっていた。そして、中に性器を入れるものだと知り、直接触ってみたくなってきた。指を入れられ、動かされた時の感覚が蘇る。おしっこをする穴に指を入れることを躊躇い始めていると、お風呂の番が回ってきた。
 髪も洗い、体も一通り洗い終えた所で考える。
(これは膣の中を洗うだけ。指に石鹸を付けて、いつも洗えない中を洗うだけ。)
 自分に言い訳するように言い聞かせ、指をそっと入れてみる。外よりも中の方が敏感で、腟内が待ってましたと言わんばかりに指の感覚を伝える。
(こ、これは…洗うだけ…。)
 そっと指を動かしてみる。快感と言われると、そうとしか思えなくなってくる。指が止まらない。中で動かしたり、出し入れしたり。
(これは洗うだけ…。これは洗ってるの。)
 誰に言い訳してるのか分からないが、自分で自分に言い聞かせ、指を動かす。変な声が漏れるが、風呂場に誰がいる訳でもない。
(あ、くる…くる…これが…)
 何かが込み上げてくるのを感じる。このまま指を激しく動かせばイクのだろう。それがわかっていても何か怖くなってしまって指が止まる。体中にもどかしさが残るまま、オナニーをやめ、湯船に浸かった。その後のことはあまり覚えていない。髪を乾かし、歯磨きをしてそのまま寝たのだろう。
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