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7話 興味津々
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ランス様を見送り、キャサリンさんに屋敷の中の案内をしてもらう。やはりセネト卿の屋敷とは比べ物にならないくらい広く、一通り回るだけで疲れてしまった。
最後に僕の部屋へと案内される。そこは、お見合いをしたランス様の部屋の隣だった。
「こ、こんな広い部屋、僕一人で使って良いんですか!?」
アイーダお嬢様の部屋の何倍もある広さに、ピカピカの家具。それが、今まで部屋すらなかった僕に与えられた初めての部屋だった。
「良いのよ。この部屋がランス様の指定したお部屋だからっ☆」
「なんか……夢を見ているみたいです。寝て起きたら、夢から覚めて僕はまたアイーダお嬢様のお部屋にいるんじゃないかって、そう思います……」
僕はそう呟きながら、ソファへと腰掛ける。すると、キャサリンさんも僕の隣にドスッと腰掛けた。
「可哀想に、しばらくは悪夢にうなされそうね。でも、大丈夫。もし起きて、アイーダ嬢のお部屋にいたとしたら、そっちが夢なんだから」
「はい……」
「ねぇ、ルミちゃん。ルミちゃんは何歳の頃にセネト卿のお屋敷に来て、今何歳くらいなのかは分かるの?」
「えっと……僕はアイーダお嬢様と同じ年らしいので、今は18歳……だと思います。何歳の頃に来たのかは分かりませんが、お嬢様はまだ学園には行かれてなかったと思います」
「ふんふん、なら6歳よりも下だったかもね。そう、10年以上もそんな暮らしを……。ルミちゃん、初めは今までの暮らしとのギャップに戸惑うかもしれない。この屋敷の皆の善意に戸惑うかもしれない。でも、勇気を出してその善意を受け入れてあげて。ルミちゃんにとって悪いものではないはずだから」
「はい、ありがとうございます……。でも、なぜ皆さんこんな僕にそんなに親切にして下さるのでしょう? 僕は、女装してまで皆さんを騙そうとしていたのに……」
僕がそこまで言うと、キャサリンさんは大笑いをし始めた。
「あはははは! アタシらはみんな、騙されたなんて思ってないわよ。だって、最初から男だって分かっていたんですもの」
「えぇ!? そう、何ですか……!? ぼ、僕、自慢じゃないですけど、結構女の子に見えたと思うんですけど……」
「確かに遠目は可愛い可愛いお人形さんみたいだったわ。でもね、もし今後ルミちゃんが自分で進んで女装をしたいと思うんなら、ここ、隠さなきゃ」
キャサリンさんはそう言って自分の喉元をツンツンと突いた。それを見て僕もハッとする。
「あっ、喉仏!」
「そっ☆ それと、アタシらがルミちゃんに親切にする理由だけど……単純にアナタという人物に興味があるのよ。アタシだって興味津々。こんな面白い出会い方をして、ランス様が初めて追い返さずにお見合いをした人。それに、ランス様が"この部屋"を指定した。それだけでアタシらがルミちゃんに敬意を払う十分な理由になるの」
「僕に、興味津々……。あの、この部屋は一体……?」
「この部屋はね、ランス様のお父上、アタシらの旦那様がまだ領主をしていた頃、奥様が使っていたお部屋なの。分かる? つまり、将来のランス様のお嫁さんが使う予定の部屋だったのよ」
「えええええ!?」
そんな大事な部屋を僕に!?
「ちょ、ルミちゃん!? ルミちゃん、しっかりして、ルミちゃーん!」
情報の処理が追いつかなくなった僕は、失神した。
最後に僕の部屋へと案内される。そこは、お見合いをしたランス様の部屋の隣だった。
「こ、こんな広い部屋、僕一人で使って良いんですか!?」
アイーダお嬢様の部屋の何倍もある広さに、ピカピカの家具。それが、今まで部屋すらなかった僕に与えられた初めての部屋だった。
「良いのよ。この部屋がランス様の指定したお部屋だからっ☆」
「なんか……夢を見ているみたいです。寝て起きたら、夢から覚めて僕はまたアイーダお嬢様のお部屋にいるんじゃないかって、そう思います……」
僕はそう呟きながら、ソファへと腰掛ける。すると、キャサリンさんも僕の隣にドスッと腰掛けた。
「可哀想に、しばらくは悪夢にうなされそうね。でも、大丈夫。もし起きて、アイーダ嬢のお部屋にいたとしたら、そっちが夢なんだから」
「はい……」
「ねぇ、ルミちゃん。ルミちゃんは何歳の頃にセネト卿のお屋敷に来て、今何歳くらいなのかは分かるの?」
「えっと……僕はアイーダお嬢様と同じ年らしいので、今は18歳……だと思います。何歳の頃に来たのかは分かりませんが、お嬢様はまだ学園には行かれてなかったと思います」
「ふんふん、なら6歳よりも下だったかもね。そう、10年以上もそんな暮らしを……。ルミちゃん、初めは今までの暮らしとのギャップに戸惑うかもしれない。この屋敷の皆の善意に戸惑うかもしれない。でも、勇気を出してその善意を受け入れてあげて。ルミちゃんにとって悪いものではないはずだから」
「はい、ありがとうございます……。でも、なぜ皆さんこんな僕にそんなに親切にして下さるのでしょう? 僕は、女装してまで皆さんを騙そうとしていたのに……」
僕がそこまで言うと、キャサリンさんは大笑いをし始めた。
「あはははは! アタシらはみんな、騙されたなんて思ってないわよ。だって、最初から男だって分かっていたんですもの」
「えぇ!? そう、何ですか……!? ぼ、僕、自慢じゃないですけど、結構女の子に見えたと思うんですけど……」
「確かに遠目は可愛い可愛いお人形さんみたいだったわ。でもね、もし今後ルミちゃんが自分で進んで女装をしたいと思うんなら、ここ、隠さなきゃ」
キャサリンさんはそう言って自分の喉元をツンツンと突いた。それを見て僕もハッとする。
「あっ、喉仏!」
「そっ☆ それと、アタシらがルミちゃんに親切にする理由だけど……単純にアナタという人物に興味があるのよ。アタシだって興味津々。こんな面白い出会い方をして、ランス様が初めて追い返さずにお見合いをした人。それに、ランス様が"この部屋"を指定した。それだけでアタシらがルミちゃんに敬意を払う十分な理由になるの」
「僕に、興味津々……。あの、この部屋は一体……?」
「この部屋はね、ランス様のお父上、アタシらの旦那様がまだ領主をしていた頃、奥様が使っていたお部屋なの。分かる? つまり、将来のランス様のお嫁さんが使う予定の部屋だったのよ」
「えええええ!?」
そんな大事な部屋を僕に!?
「ちょ、ルミちゃん!? ルミちゃん、しっかりして、ルミちゃーん!」
情報の処理が追いつかなくなった僕は、失神した。
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