紙屑、ゴミ屑、粗大ゴミ

野田莉帆

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カレンダーの余白

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 お仕事をしていた頃。
 スケジュール帳のカレンダーのページには、余白がありませんでした。

 お仕事がシフト制だったので、1日ごとに出勤時間を記入していたのです。
 さらに、出勤時間の下には1日ごとのノルマを書いておりました。

 枠外には、その月にやらねばならないことを書いておりましてね。
 いつ見ても、カレンダーは真っ黒でしたよ。

 何が何でも、見開き1ページで全事項を確認したかったのです。
 昔は今と違って、出世欲に燃えていましてね。

 絶対に忘れない!
 全部、迅速にチェックしてやる! と思っていました。

 そもそも、野田は結婚できると思っていなかったものですから……。

 自分で自分を養っていけるように。
 ひとりでも生きていけるように。
 上を目指していたわけなのですよ。

 結論、無駄でした。
 適当に7割くらいの力で軽く流しておけば良かったな、と今は思います。

 育休が明けても、子持ちの時短勤務では出世を望むことができません。
 もう良いのです。

 奇しくも、ひとりで生きていく道とは別の道を歩むことになったのですから……。

 2021年はスケジュール帳を購入しませんでした。
 毎年、買っていたのですけどね。

 必要性を感じなかったのです。
 まったく予定がないのですよ。
 今日も変わらず、元気に自宅警備をしております。

 今日という日が、何月の何日の何曜日であるかを忘れないために。
 一応、リビングにはカレンダーを飾っているのですけどね。

 見事に真っ白でした。
 なんだか、寂しくなってきましてね。

 今月から、こっそりカレンダーにその日の買い物の金額をメモするようになりました。

「そんなもん、カレンダーに書くなよ!」と、旦那さまには突っ込まれてしまいましたけどね。

 ぱっと見の印象。
 あたかも予定が入っていたかのように見えるのですよ。
 見えるだけですが。

 まぁ、支出がわかって野田家の節約に繋がるとしたら。
 あながち無駄な行動でもないかもしれないではないですか。

 今まで、節約って考えたことがなかったのですよ。
 どちらかといえば、面倒に思うことをお金で解決する派でした。

 ちょっと考えてみましてね。
 最初に、野田が実行したことは「お風呂を沸かすときの湯量を減らす」ことでした。

 地味すぎて、気づかれませんでしたよ。
 残り湯で洗濯するのと同じような効果があるのですけどね。

 もしかしたら、節約はお化粧に似ているのかもしれません。
 こっそり手を加えているけど、見た目にはわからないくらいが良いのかもしれませんね。
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