【完結】婚約者が好きなのです

maruko

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嫌われ者の令嬢〜回想2〜

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「お父様は 私の事が嫌いなの?」

喉まで出かかった言葉を飲み込む。
オーランとの婚約は直ぐにでも整うと思い込んでた私は何日待っても呼ばれないので、お父様の執務室へとやってきた。
オーランとの事を訊ねた私への答えは『否』だった。
体がぷるぷる震える、握りしめた手は白く見える。
(何故?オーランは私が嫌いなのかしら?)
考えたくないのに 嫌な事しか思いつかない。

「アリー。もう少し婚約者は厳選しよう。アリーの悪いようにはしないよ。大事な娘だからね、自慢の娘だ」

でも自慢の娘に継がせるつもりはないのでしょう?
答えが怖くて聞けない。
お父様の口から決定的な言葉を聞くのがとても怖かった。
私の希望する婚約も整えてくれない、後継者にもしてもらえない。

なぜ⋯何故⋯なぜ?⋯なんで⋯。

頭の中で疑問がこみ上げる。
私がオーランとの婚約をお父様に強請った時、
お母様は眉間に皺を寄せ、呆れたようにため息をついてらした。
あれからお母様もあまりお話してくれなくなった。
私はお勉強が手につかなくなり家庭教師からのダメ出しも多くなった。

お茶会に参加しても回りの子にヒソヒソされてしまう。
どうして?嫌われたのかしら?
私何かしてしまったかしら?
思いつくのは先日のお茶会だけど私は何もしていない。
お母様が気分を害されて早く帰っただけ。

⋯⋯⋯私は何もしていない⋯⋯⋯

何か得体のしれない寂しさがこみ上げ、私はカイルとオーランを訪ねた。
最近2人は剣術の指南を受けてるらしく、今からお稽古だそう。オーランを様子見したけど、普通に屈託のない優しい笑顔で話しかけてくる。

お父様が申し込みしてないのか、ドートル家が止めてるのか。オーランは婚約のことは何も聞いてなさそう。

残念だけど、周りの態度が急に変わってしまったので変わらない2人に安心する。
大袈裟に態とらしい程、明るく活発な女の子を演じる。
みんなに嫌われてるのを気取られたくない⋯⋯。

13歳、カイルの婚約が決まった。
顔合わせの時に自然に話せるように一緒に参加してくれないだろうかとお話があった。
正直気は進まなかった。

お相手はスワロ伯爵家のご令嬢。
とてもキレイな方だと噂で聞いているし、その方は妹を溺愛していて常に一緒にいるのだそう。
そして妹の方は妖精と揶揄されるほど可愛らしい方なのだそう。
噂と言っても、いい噂だ。
みんながお近づきになりたいほどの美形姉妹。
そんな人気者の方達なら私の事もご存知かもしれない。
最近はあまりお茶会も参加してない。
ヒソヒソされるのが嫌だから⋯。
カイルもオーランも剣術に忙しいみたいであまり参加しないから私がみんなに嫌われてるのは知らないのだろう。

2人には知られたくない。

参加しなかったら、知らないとこで私の事を言われてしまうかもと思ったから参加した。


今目の前でカイルとオーランが二人のご令嬢を見て顔を真っ赤にしている。
私が見たこともない態度でそれぞれの椅子を引き座らせてる。序と言わんばかりにオーランが私の椅子も引いてくれた。
嘘よ!イヤ!オーランなぜそんな顔を彼女に向けてるの?
二人ともイヤ!私には二人しかいなかったのに。
オーラン!いや!お願い私を見て。
声にならない叫びを心の中で。何度も、何度も。

そうしたらいつの間にか、私はリリーベル嬢を侮辱していた。
そして私は、二人の幼馴染にも嫌われてしまった。

私は一人だ。
みんなが私を嫌うの。
なぜ嫌われ始めたのかはわからない。
お父様にもお母様にも嫌われている。
家庭教師も怒ってばかり、屋敷の使用人も冷たい目をしてる。
あれ以来オーランとカイルも私とは話してもくれなくなった。
オーランはリリーベル嬢と婚約した。
私が貴方の婚約者になりたかったのに・・・。
でもオーランは冷たい目を向けて私とは話もしないのに 私がそばに行っても嫌がらない。
なんとか話しかけたくて側に行っても、側に近寄るなとは言わない。
ひょっとしたらオーランは私と話をしたいのかも。
少しの希望を持ってなんとか話す機会を窺ってる時
ある令嬢から

「あんなに優しいオーラン様はなぜ貴方にだけ冷たくするのかしら?でも貴方いつもお側にいるわよね?どうして?あんな態度取られて辛くないの?」

と、言われてしまって。
私は嫌われてるのは周知の事実なのに、ついプライドが勝ってしまい見栄をはってしまった。

「オーランは私とは幼馴染だもの。どんな態度を取っていても心は繋がってるわ」

まさかそれが独り歩きして噂になるとは思わなかった。
気付いたときには自分でもどうにもできなかった。
私のオーランへの未練が、少しの希望を持ってしまった浅ましい気持ちが言葉になってしまっただけだったのに、これがリリーベル様の耳に入ったら、増々オーランに嫌われるし他の家が聞いたら私へ縁談なんて持ってこないだろう。

どうしよう、どうしよう⋯⋯⋯。

私はリリーベル様に昔の事も含めて謝罪しようと思った。
よく考えたら昔もちゃんと謝ってなかったかも。
だからリリーベル様に声をかけたの。
でもなかなか謝れなくて、声が出てこなくて、
そしたらオーランが3人で昼食をと声をかけてくれた。
良かった、オーランの前で謝罪したらオーランも昔みたいに優しくしてくれるかも。
期待してついていってたら、とても鋭い目で嫌悪され冷たい言葉が放たれた。
私はリリーベル様に謝ることばっかり考えてて周りが見えてなくて、リリーベル様の隣にご友人が居たのに気づかなかった。
しかもオーランに完全に線を引かれた。

⋯⋯もう私には希望も残ってない⋯⋯
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