16 / 34
自己防衛 sideオーラン
しおりを挟む
最近俺は毎日のように悶々としていた。
タリスティア王国のソフィーア殿下がリリー達と交流するようになった。
俺は毎日リリーを送迎してるのだが、最近週に1回は邪魔される。
学園帰りに滞在されてる王城に連れて行ってしまうのだ。
メリーが心配ないと言うけど(あいつは一緒に行ってるし)安全面とかで言ってるんじゃない!
俺がリリーと一緒に居られないのが寂しいんだ!
──────────────
俺は今2度目の人生を歩んでる。
前回を踏まえてアリーがリリーに危害を加える事のないように日々リリーを護衛している。
はっきりいうと護衛と称して少しでも一緒に居たいというのが本音である。
前回は一緒に居れるのが短かったから⋯⋯。
──────────────
そんなある日学園内でリリーが、ある子爵家の次男に懸想され付きまとわれてた事が判明した。
なのにリリーにストーカーされてた自覚がまるっきりなかったんだ。
リリーの親友のマリーナ嬢によると、
そいつはマリーナ嬢がいない時に必ずリリーに声をかけたりしてたみたいだ。
リリーもお友達感覚で話してたのだけど、ある日告白されたらしい。でも俺がいるリリーは断ったという出来事が以前あったそう。
リリーの背後に隠密のように偶に居る婚約者でもない男にソフィーア殿下の護衛が気づいて、ソフィーア殿下と雑談中に殿下がマリーナ嬢とリリーに教えてくれた。
話を聞いたマリーナ嬢は憤慨して、どういうつもりかとそいつに詰め寄ったら、断られたけどその後も普通に接してくれてるし、嫌がってるようには見えなかった。なら婚約者が居てもまだ自分にも脈があるはず。
このまま仲を詰めていき、いつかは自分と付き合う事を決心してもらおうと少しでも隙が出来るのを狙って付き纏ってたとの事だった。
それを聞いたリリーが言った言葉が
「えっ!そんな⋯⋯付き纏われてたんですか私?
私にはオーラン様という婚約者がいるのは皆さんご存知の筈ですのに告白してこられて、彼は知らなかったのかなとお断りしたんです。その後も話しかけられたりしてちょっと嫌だなとは思ったんですけど、こんな普段ぼーっとした私に、一生懸命話しかけてくださるのに避けたり嫌がったりするのは駄目だと思って」
だった⋯⋯。
気になったのは、まず
《こんな普段ボッーとした私》
次が
《ちょっと嫌だなとは思ったんですけど》
《避けたりするのは駄目だと思った》
自己評価が低すぎる上に自分の思ったことを相手の事を考えたら言えなくなる。
リリーはとても優しい子だから子供の時から、鬱陶しく構うメリーを受け入れている。
そして同じく鬱陶しいほど構う婚約者である俺の事も。
常にリリーが考える前に先走った俺達が行動に移すので
リリーは自分で考えることをしなくなったんだ。
マリーナ嬢はリリーに対してそんな事はない。
他の友人達も。
自分で考える事をしないリリーは友人たちの中で戸惑っただろうな、だから意見を求められる時に相手の事を考える、要は空気を読む。
だから嫌だなとか違うなとか自我が芽生えた頃にも自分の意見が言えなくなった。
オマケに俺やメリーが牽制しまくって、令息達を近づけたりしないから、リリーは儚げな美少女でモテモテ令嬢だと言うことを自覚できてない。
この件があって俺は反省した。
守るという事を履き違えてた。
俺やメリーはリリーを絶対死なせたくないから過剰に守ってきた。
でもリリーだって一人になる時がある。
それなのに自己防衛ができないなら、100%で守るのは不可能だ。
少なくとも嫌だとか違うとか最低限の抵抗ができるように身につけさせないとならないし、自分の思いを伝える事ができるようにしないといけない。
これは俺の課題だ。
メリーには無理だろうから。
でもリリーを囲い込みデロッデロに甘やかしたいのが
ホントの俺だ。
まずは常にリリーの意見を聞くようにしよう。
相手の話を聞く事は、普通の事なのに俺はまた間違う所だった。
ソフィーア殿下が留学してこなければ気づけてなかったかもしれない。
今度関係者が集まって、
【リリーを守り隊】の話し合いをする事になってる。
このふざけた名称はエミリーが名付けたそうだ。
今回の人生でも戯けた快活な所は変わってないんだな。
懐かしい気持ちと苦い気持ちが入り混じり憮然としたが
早速明日のリリーとのデートで実践だ!
タリスティア王国のソフィーア殿下がリリー達と交流するようになった。
俺は毎日リリーを送迎してるのだが、最近週に1回は邪魔される。
学園帰りに滞在されてる王城に連れて行ってしまうのだ。
メリーが心配ないと言うけど(あいつは一緒に行ってるし)安全面とかで言ってるんじゃない!
俺がリリーと一緒に居られないのが寂しいんだ!
──────────────
俺は今2度目の人生を歩んでる。
前回を踏まえてアリーがリリーに危害を加える事のないように日々リリーを護衛している。
はっきりいうと護衛と称して少しでも一緒に居たいというのが本音である。
前回は一緒に居れるのが短かったから⋯⋯。
──────────────
そんなある日学園内でリリーが、ある子爵家の次男に懸想され付きまとわれてた事が判明した。
なのにリリーにストーカーされてた自覚がまるっきりなかったんだ。
リリーの親友のマリーナ嬢によると、
そいつはマリーナ嬢がいない時に必ずリリーに声をかけたりしてたみたいだ。
リリーもお友達感覚で話してたのだけど、ある日告白されたらしい。でも俺がいるリリーは断ったという出来事が以前あったそう。
リリーの背後に隠密のように偶に居る婚約者でもない男にソフィーア殿下の護衛が気づいて、ソフィーア殿下と雑談中に殿下がマリーナ嬢とリリーに教えてくれた。
話を聞いたマリーナ嬢は憤慨して、どういうつもりかとそいつに詰め寄ったら、断られたけどその後も普通に接してくれてるし、嫌がってるようには見えなかった。なら婚約者が居てもまだ自分にも脈があるはず。
このまま仲を詰めていき、いつかは自分と付き合う事を決心してもらおうと少しでも隙が出来るのを狙って付き纏ってたとの事だった。
それを聞いたリリーが言った言葉が
「えっ!そんな⋯⋯付き纏われてたんですか私?
私にはオーラン様という婚約者がいるのは皆さんご存知の筈ですのに告白してこられて、彼は知らなかったのかなとお断りしたんです。その後も話しかけられたりしてちょっと嫌だなとは思ったんですけど、こんな普段ぼーっとした私に、一生懸命話しかけてくださるのに避けたり嫌がったりするのは駄目だと思って」
だった⋯⋯。
気になったのは、まず
《こんな普段ボッーとした私》
次が
《ちょっと嫌だなとは思ったんですけど》
《避けたりするのは駄目だと思った》
自己評価が低すぎる上に自分の思ったことを相手の事を考えたら言えなくなる。
リリーはとても優しい子だから子供の時から、鬱陶しく構うメリーを受け入れている。
そして同じく鬱陶しいほど構う婚約者である俺の事も。
常にリリーが考える前に先走った俺達が行動に移すので
リリーは自分で考えることをしなくなったんだ。
マリーナ嬢はリリーに対してそんな事はない。
他の友人達も。
自分で考える事をしないリリーは友人たちの中で戸惑っただろうな、だから意見を求められる時に相手の事を考える、要は空気を読む。
だから嫌だなとか違うなとか自我が芽生えた頃にも自分の意見が言えなくなった。
オマケに俺やメリーが牽制しまくって、令息達を近づけたりしないから、リリーは儚げな美少女でモテモテ令嬢だと言うことを自覚できてない。
この件があって俺は反省した。
守るという事を履き違えてた。
俺やメリーはリリーを絶対死なせたくないから過剰に守ってきた。
でもリリーだって一人になる時がある。
それなのに自己防衛ができないなら、100%で守るのは不可能だ。
少なくとも嫌だとか違うとか最低限の抵抗ができるように身につけさせないとならないし、自分の思いを伝える事ができるようにしないといけない。
これは俺の課題だ。
メリーには無理だろうから。
でもリリーを囲い込みデロッデロに甘やかしたいのが
ホントの俺だ。
まずは常にリリーの意見を聞くようにしよう。
相手の話を聞く事は、普通の事なのに俺はまた間違う所だった。
ソフィーア殿下が留学してこなければ気づけてなかったかもしれない。
今度関係者が集まって、
【リリーを守り隊】の話し合いをする事になってる。
このふざけた名称はエミリーが名付けたそうだ。
今回の人生でも戯けた快活な所は変わってないんだな。
懐かしい気持ちと苦い気持ちが入り混じり憮然としたが
早速明日のリリーとのデートで実践だ!
636
お気に入りに追加
1,096
あなたにおすすめの小説
【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
【完結】この地獄のような楽園に祝福を
おもち。
恋愛
いらないわたしは、決して物語に出てくるようなお姫様にはなれない。
だって知っているから。わたしは生まれるべき存在ではなかったのだと……
「必ず迎えに来るよ」
そんなわたしに、唯一親切にしてくれた彼が紡いだ……たった一つの幸せな嘘。
でもその幸せな夢さえあれば、どんな辛い事にも耐えられると思ってた。
ねぇ、フィル……わたし貴方に会いたい。
フィル、貴方と共に生きたいの。
※子どもに手を上げる大人が出てきます。読まれる際はご注意下さい、無理な方はブラウザバックでお願いします。
※この作品は作者独自の設定が出てきますので何卒ご了承ください。
※本編+おまけ数話。
愛を語れない関係【完結】
迷い人
恋愛
婚約者の魔導師ウィル・グランビルは愛すべき義妹メアリーのために、私ソフィラの全てを奪おうとした。 家族が私のために作ってくれた魔道具まで……。
そして、時が戻った。
だから、もう、何も渡すものか……そう決意した。
[完結]本当にバカね
シマ
恋愛
私には幼い頃から婚約者がいる。
この国の子供は貴族、平民問わず試験に合格すれば通えるサラタル学園がある。
貴族は落ちたら恥とまで言われる学園で出会った平民と恋に落ちた婚約者。
入婿の貴方が私を見下すとは良い度胸ね。
私を敵に回したら、どうなるか分からせてあげる。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
彼が愛した王女はもういない
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
シュリは子供の頃からずっと、年上のカイゼルに片想いをしてきた。彼はいつも優しく、まるで宝物のように大切にしてくれた。ただ、シュリの想いには応えてくれず、「もう少し大きくなったらな」と、はぐらかした。月日は流れ、シュリは大人になった。ようやく彼と結ばれる身体になれたと喜んだのも束の間、騎士になっていた彼は護衛を務めていた王女に恋をしていた。シュリは胸を痛めたが、彼の幸せを優先しようと、何も言わずに去る事に決めた。
どちらも叶わない恋をした――はずだった。
※関連作がありますが、これのみで読めます。
※全11話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる