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空気の読めない神様

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 小学校のお受験の為、日夜、勉強しているたくくんは誕生日間近のある日、神様にお願いした。

「プレゼントは漫画をもらえますように」

 そして誕生日当日、お母さんはリボンの付いたプレゼントを差し出し言った。

「拓くん、誕生日おめでとう。これプレゼントの漫画よ」
 ワクワクしながら拓くんが包み紙を開けると

『漫画で見る二宮金次郎』

 その日、拓くんはこの世には面白くない漫画もある事を知った・・
 
 神様は拓くんがお願いしても、いつもこうだ。
 おもちゃが欲しいとお願いしても知育玩具だし、テレビが見たいと願えば教育テレビだ。

 どうやら神様は空気を読むのが苦手らしく、微妙に外してくるのだ。

 やがて受験日が近づくとお母さんは拓くんを連れて神社に行った。
 奮発してお母さんは一万円を賽銭箱に入れ合格祈願した。

 だが拓くんが合格したのは、これまた微妙にも第三志望の小学校だった。

 拓くんとお母さんは喜ぶべきか、悲しむべきか分からず戸惑った。

 とにもかくにも受験は終わり、もう勉強しなくてもいいんだと喜ぶ拓くんにお母さんは言った。

「中学はもっと良い所に行けるように頑張ろうね」

 拓くんは神頼みした、こんどこそ神様が外さない様に考えに考えぬいた願い事であった。

 そして半年後、

 拓くんは学校から帰ってくると宿題もせずにテレビゲームを始めた。

 お母さんは何か言おうとしたが止めてスマホから音楽を流した。

 そして愛おしそうに大きなお腹をさすりながら言った。

「聴こえる? 今日はモーツァルトよ」

 お母さんは今、胎教たいきょうに夢中なのだ。
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