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第72話 消えたアリアハノ、ゼロとセリシアと赤髪メイドと・・・
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時は少しだけ巻き戻る・・・
アリアハノの地下、セリシアと名乗った獣人女にゼロが腰を叩きつける音が響く・・・
パン!パン!パン!パン!
「あっ♡ はああっ♡♡」
すぐ横には赤髪のメイドがお尻を突き出したまま順番を待っていた。
二つ並んだお尻は中出しされた精液の糸が道を作っており、交互に中に射精され交互に挿入されている事がうかがえる・・・
「またっ出すぞ!」
「おっ♡ ほおお・・・♡」
光悦に満ちた表情で四つん這いのまま虚ろな目で遠くを見つめるセリシア、心の底からゼロとのSEXに浸透しているのが見て取れた。
一度の射精中に二人に精子を分ける様にゼロは合間を見て、セリシアから男性器を抜いたゼロ・・・
射精した事で萎え始める前に男性器を直ぐに隣の赤髪メイドの中へ移動させた。
「はァン・・・♡ あン♡ あふっ♡」
出された精液と愛液でヌルヌルになった赤髪メイドの膣内はゼロのモノを容易く受け入れた。
数回腰を動かせばゼロの体力と精力は赤髪メイドのスキル『譲渡』により強制的に回復させられる・・・
実は赤髪メイド、元々ゼロとは顔見知りで幼少の頃は憧れのお兄さんとお転婆な少女と言う関係であった。
ユウキとの肉体関係はローザの指示で行い、そのままレベリングの為に続けていたが彼女はゼロを忘れられなかった。
結果、ローザの指示で地下室の見張りに出向いて別の女、しかも魔族とSEXしているゼロを見れば我慢できるはずが無かった。
もう自分はユウキの女、だけど今回だけは一度っきりの過ちとしてゼロと関係を持ちたいと赤髪メイドは行動に出たのだ。
だが実際のところ、ユウキにとっては赤髪メイドに限らず殆どの女性はレベリングの為の相手という考えでしかないのである。
浮気報告をしたところでユウキにとってハナ、ローザ、シズの3人以外は嫉妬する事は無いだろう。
「ひぅっんおおッ♡ お”う”っ♡」
「フンッ!フンッ!」
まるで獣の様に喘ぐ赤髪メイドに腰を振るゼロの気合が響く!
無我夢中で腰を動かすゼロも、以前は赤髪メイドの事は少なからず好意を抱いていた時期もあった。
だが、アリア姫へその命を捧げた時から彼は想いを断ち切り仕事に専念していた。
幸か不幸か、二人の想いはこの時成就していたのである。
「来てぇ!ゼロ!私を・・・孕ませてぇ!」
「おぅぅううう!!!」
赤髪メイドの中にゼロの何度目かの精が注がれる・・・
ユウキ以外の男に中出しされる、それは子供を孕むという事にもつながる・・・
既に幾度も注がれたが、自分の口から求めた事でゼロは今までにない程の勢いで赤髪メイドの中へ精を放った・・・
そして、それは隣で次を待っていた獣人女のセリシアにも飛び火し始めていた。
「ゼロさん!私・・・私にも貴方の子を!」
元々魔族と人間が性交を行えば99%以上の確率で妊娠する。
それがこの世界のルール、きっとセリシアはゼロの子を既に孕んでいる事であろう。
だが、口に出すのと出さないのは大きく違う・・・
そんなセリシアの言葉に赤髪メイドはライバル心を燃やしゼロの男性器を抜かせないように膣を締め付けた!
「うぁっ?!」
互いに一歩も引かない女同士の戦い、だが目を合わせた時に赤髪メイドの目にそれは飛び込んできた。
ユウキとのレベリングで得たスキル『簡易鑑定』。
単純に対象の持つスキルを見抜くスキルである。
スキルがそのまま能力となるこの世界だからこそ3人のメイド達が全員持っているこのスキルで赤髪メイドは見てしまったのだ。
「えっ・・・?スキル・・・『浄化』?」
「はっ?一体何を言ってる?」
「だって・・・あんた・・・」
そう、魔族である獣人女のセリシアの所持スキルに『浄化』が在ったのだ!
勿論赤髪メイドもこのスキルは聖女だけが持ち、近くで性行為を行う事で魔物の体液による中毒を浄化するスキルだという事は理解している。
だからこそ自らの目が信じられなかった。
聖女リリシアが処女を失い、世界の誰かに『浄化』のスキルが渡ったのは知っていたが・・・
まさかその移動先が魔族とは思いもしなかったのだ。
「そんな・・・なんで・・・」
「ど、どうしたのだ?」
「ぜ、ゼロあのね・・・彼女、セリシアが浄化のスキルを持っているの・・・」
「「・・・えっ?」」
急変した赤髪メイドの様子にゼロは男性器を抜いて尋ねたが、返ってきた無いようにセリシアもゼロと同じように驚いていた。
そしてそれと同時に別の牢の中で行われていた乱交も落ち着きを取り戻しつつあった。
それは仕方ないだろう、ローザの使用したトヘエロスが効力を失い、別の牢内で行為に及んでいた兵士たちが魔物の体液にやられて吸い上げられ始めていたのが止められたのだ。
しかも驚く事に、3人の魔族の体内に流れる体液すらも浄化されていたのだ。
「ほお”っ!? イッちゃうぅ!!!」
「ヒグッ!! オ”オ”ッ!」
そのせいなのか、リードをしていた筈の2人の魔物も兵士に突かれてアへ顔を晒していた。
聖女の浄化スキルが魔物の体内の体液全てを浄化してそうなっていたのである!
魔物と人間の一番の違いは外見ではなく、その体液にあるのだから・・・
丁度その時であった。
『緊急事態!今すぐに作戦『緊急延命』を実行せよ!』
それは青髪メイドからの念話を使った緊急連絡であった。
慌てる赤髪メイド、それはそうだろう、今自分は全裸で股からはゼロの精液が大量にあふれ返っているのだ。
今の地下の状況はまさにカオスと言っても過言ではないだろう・・・
誰一人として鎧どころか服も着ておらず、そればかりか乱交そのものでしか無いのだから。
魔物達も既に拘束されておらず、犯され疲れ始めていたのだ。
「ぜ、ゼロ!緊急延命連絡だ!兵士の皆に服を着る様に言ってくれ!」
「なっなに?わ、分かった!」
焦る二人、それも仕方ないだろう。
赤髪メイドだけではなく、ゼロも緊急延命が何を意味しているのかを勿論場内に他の兵士も居る者は知っている。
自らを石化させ緊急時にあらゆる被害から身を守る手段なのだから・・・
「お前ら!今すぐ服を着ろ!」
「「「「は?・・・はい!!」」」」
ゼロの言葉に誰もが我先にと牢屋を飛び出し脱ぎ捨てられた衣類と装備を身に着ける・・・
とにかく急がなければ全裸の石像の出来上がりなのだから当たり前だろう。
全裸で勃起した男性石像とか誰得である。
「俺達も早く!」
「うんっ!」
赤髪メイドも急いで精液が垂れたままの状態でパンツを履き服を着こんでいく・・・
生暖かくパンツの中で逆流した精液が溜まっていくのを感じながらメイド服を急いで着こんでいく・・・
そして、着替えている最中に他の階から次々と連絡がやって来る・・・
『1階配置完了』
『2階配置完了』
赤髪メイドは慌てながらメイド服のボタンを締めつつ牢屋前の通路の中央に向かいながら念話を返す。
股がヌルヌルな上に発情しっぱなしなのでパンツを履かない方が良かったかと考えたが後の祭り。
それよりも急いで準備しなければと身を動かした!
『地下・・・は、配置完了!』
そして、スカートを少し払ってからゼロが着替えを終えているのを確認し、祈る様に呪文を唱える為の魔力を高める!
この間僅か10秒、股に付着したゼロの精液を指先で掬ってペロリと味わってから、赤髪メイドは高揚したまま呪文を唱えた!
『ラストロン!』
赤髪メイドを中心に放射状に広がった魔力の波動は地下に居る者を全て飲み込み、その姿を瞬く間に石像に変化させた。
ある者は武器を握り締め、またある者は祈りながら・・・
そしてゼロは状況が理解できないセリシアを大切に抱きしめていた。
もしも聖女のスキルがセリシアに移動していたのだとしたら、浄化のスキルを持つ者を死なせるわけにはいかないからだ。
そして、全員が石となった次の瞬間・・・光が全てを飲み込むのであった・・・
勿論石化した者はその光景を目にする事は無い、どれ程の衝撃を受けたとしても決して破損する事の無い石と化しているのだから・・・
地上だけではない、アリアハノの城下町に落とされたその魔法はすさまじかった・・・
バラモヌに乗っ取られたハナの全魔力を暴走させて落とした究極魔法『ヌダンテ』
伝説によれば街を飲み込んだとあったが、人類史でも例を見ないレベルにまで達しているハナと魔物の王とされるバラモヌの魔力を掛け合わせた魔法はそれを凌駕していた。
城下町どころかアリアハノの城までも飲み込んだ爆発は全てを飲み込み消滅させていく・・・
アリアハノの人々は勿論の事、地表すらも飲み込み、音を飲み込み、全てを無へと返していく・・・
離れた2つの街でも大地震が発生するほどの衝撃が広がり、遠目で地表に太陽が落下したかのように光を放っていた。
その光景はまるでこの世の終わり・・・
空中に浮かぶバラモヌも、ハナのスキル『バイアス』の効果が無ければただでは済まなかっただろう。
思い込みの名を持つこの特殊なスキルはローザに勧められて会得したスキル、自身の使用した魔法を自分にだけは影響を及ぼさなくする特殊スキルである。
使用中は魔法を跳ね返されたりしても自分の放った魔力ではダメージを受けないチートスキルであった。
光は城の地下も飲み込み全てを圧殺消滅させていく・・・
熱が焼き、光が消滅させ後には何も残らない・・・
全てが無に帰すとはこの事であろう・・・
「・・・素晴らしい」
瞑想を終えて最低限の魔力を確保できたバラモヌが目を開き呟く・・・
自身の放った魔法の結果を目の当たりにして感動に打ち震えていたのだ。
荒野、誰が数秒前までそこに城下町が広がっていたと考えるだろう・・・
えぐり取られた地表には草の一本すら残っておらず、辺り一面何も残ってはいない・・・
魔力をさらに回復させながらバラモヌはゆっくりと地上へと降りていく・・・
連発は出来ないがこの魔法であれば人類を死滅させる事など容易いと確信を持てる結果である。
感慨深く手に入れたハナの肉体に歓喜しながらその胸に手をやった・・・
「んふぁ・・・」
中身はバラモヌ、だがその口から出た喘ぎ声はまさしくハナの声であった。
ヌダンテの結果に高揚していたのもあるが、ユウキと連日SEXを続けていたハナの体は非常に敏感になっているのだ。
予想外の快楽にバラモヌも漏れた声に驚いた。
だが、雄の宝石モンスターとして様々な女の体内に憑りついた事の有るバラモヌは歓喜した。
オスでありながら犯される快楽を知っているからだ。
そうなると・・・
「しまったな・・・記憶に残る勇者との性行為を体験したかったものだが・・・」
絶対に意識を失う程の絶頂、ハナの記憶にはあるが実際に体験したいと考えるバラモヌは寂しそうに荒野を眺める・・・
想像するだけで股から愛液がにじみ出る程の快感を体が覚えているのだ。
しかし、その目がそれに気づいた。
「ぬっ?!」
ヌダンテによって全てが消滅した筈の地表に異物が在るのを見つけたのだ。
石・・・
それを見てバラモヌはハナの記憶を読み取り口角が上がる!
「まさか・・・人間の底力とはすさまじいものだな!あれを生き延びるか!」
近付きそれを視認して思わず笑ったバラモヌは指をそちらへ向ける・・・
そこには多数の石像が埋まっていたのだ。
そう、それこそがアリアハノの場内でラストロンの魔法により石像になった人々である。
バラモヌの指先が光を集め波紋上にそれが広がるのと共にバラモヌは自身のスキルを唱えた!
『凍てつく波動!』
それはバラモヌのユニークスキル。
凍てつくと言うが実際には凍る事は無い、その効果は波動に触れたモノに使用されていた効果を全て打ち消すというものである。
身体強化も弱体化も変身魔法も・・・それどころかスキルや薬などの効果すらも打ち消すチートスキル。
過去にもポルトガレを占拠する際に、町中の避妊薬の効果を打ち消して女性達を餌食にしたのはこのスキルのせいであった。
空中に広がっていく波紋に触れた石像は見る見る石化が解けて時が流れだす。
そして、一組の石像が解除されこちらに気付いた。
何故か魔族を守るかのように抱きかかえていたその男は驚きに目を剥く・・・
「は・・・ハナ殿?!」
それはそうだろう、荒野となった周囲も驚きだが、石化を解除されたら勇者であるユウキの専属メイドであるハナが全裸でそこに立っているのだから。
そして、目を開いた獣人娘セリシアもハナを見て口にした・・・
「ば・・・バラモヌ様!」
「なっ?!」
周囲の兵士と思われる者達もセリシアの言葉に一斉に驚きを見せた。
しかし、ハナのスキル『威圧』が放たれると共にゼロ以外誰一人口を開く事が出来なくなった・・・
それは勿論、セリシアも石化から戻った2人の魔族もである。
「我が配下である筈のお前達は一体そこで何をしている?」
「あっ・・・あっ・・・」
威圧だけで心臓を鷲掴みにされたような感覚が襲い掛かる。
呼吸も出来ず震えが止まらなくなるほどの恐怖が全身を駆け巡った。
圧倒的な存在の前に、その場にいるだけで死を覚悟した3人の魔族は失禁した。
だが、そんなセリシアをゼロは抱き寄せ他の二人もアリアハノの兵士がハナの視線をその身で防いだ。
「お前がバラモヌだとしても彼女達を自由にはさせない!」
「ゼロ・・・」
「こいつは、俺の女だ!」
そう叫び剣を抜いて立ち上がったゼロ、男であるゼロは確かに人間の男では最強の部類に入る人物である。
だが目の前のバラモヌとの実力差は明白、そんな人物が自分の為に戦おうとしてくれている事実にセリシアは感動していた。
だからこそ彼女は動けた!
「そうよ、私とこの人は愛し合ってるの!」
「フッ、やっぱお前は良い女だよ」
そう口にしたゼロは振り返ってセリシアと口づけを交わす。
一瞬先には死が待っているからこそためらいは無かった。
魔物と人間の禁断の恋、それは魔族と人間の共存にもつながりそうな景色。
他の二人の魔族も自らを盾にしてくれた兵士たちを愛おしい目で見ていた。
「ククク・・・この不良品どもめ・・・良いだろう!全て消し飛ばしてくれる!」
ハナの目を通し、何故か目の前の3人の魔族は魔族ではない事をバラモヌは見ていた。
それが浄化のスキルにより体液が人間に影響を及ぼさなくなったから等とは知らずに・・・
バラモヌの魔力が高まり誰もが死を覚悟する中、ゼロだけが剣を握り締め備えていた。
そして・・・
「消えろ!『イオラズン』!!」
爆発系最大魔法が放たれた!
勿論ヌダンテ程の威力は無いが、その場にいる者を全て消し飛ばしてもお釣りは十分にある威力の魔法である!
死を覚悟し目をバラモヌに向けたままの兵士達、だがその怒声に武器を手に走り出した!
「今だ!!!」
ゼロである、その言葉に反射的に武器を手に駆けだした兵士達の前にバリアの様な物が出現した!
ゼロはチラリと視線を向け小さく頷く。
彼は信じていたのだ、バラモヌにも気付かれずにその姿を隠しそのチャンスを待っていた彼女を・・・
そう、赤髪メイドである!
『レムオナル』という姿を消すこの魔法は、動くと見つかってしまうが見動きさえしなければ発見されることは無いのである!
自身の性器に素肌で触れながら唱える事で効果を発揮する為に禁呪とされるこの魔法に加え、兵士全員に反射魔法『マラカンタ』を使用していたのだ。
「なっ、なにっ?!」
自身の放ったイオラズンが反射され対象全てから同時に返ってきた魔法がバラモヌを襲う!
更にゼロを筆頭に兵士達の攻撃を多重的に襲い掛かった!
剣、槍、斧、鎖・・・
様々な武器が爆発に包まれたハナの肉体に襲い掛かる!
シルエットしか見えていないそこに次々と叩きこまれた武器の攻撃!
誰もがその手応えを感じていた!
それはダメージが通っているという証!
勝てぬまでも痛手は負わせたと自負したが・・・
「愚か者どもめ!!!!」
衝撃が彼達を襲った!
魔法ではない、バラモヌの攻撃による風圧である!
爆風がかき消され、その衝撃はゼロを含む兵士たちに襲い掛かった!
一瞬、在る物は即死し、在る物は四肢を破損し、ゼロですら防具を凹まされ吹き飛ばされた。
明らかに致命的な程に中の肉体が損傷を負っているであろう凹み方、吐血しながら吹き飛ばされたゼロは地面を転がる・・・
「ぐ・・・そんな・・・」
慌てて駆け寄ったセリシアがゼロの悲惨な様子に息を飲む。
顔を向けたゼロもまた絶望した。
自分たちの攻撃でバラモヌは殆どダメージを負って居なかったのだ。
更にその手に赤髪メイドが掴まれていたのだ。
「ぁ・・・ぁ・・・」
「小賢しい真似をしてくれるではないか?」
「ハ・・・ナ・・・様・・・」
掴みあげられた頭が握り締められ圧迫されていく・・・
地下に居た事でゼロ達はその場に居たが、他の者たちはヌダンテで吹き飛ばされ離れていた。
その為、誰一人として駆けつける者も居らず石像のまま放置されていた。
絶望・・・まさにそれがその場を支配した。
「安心しろ、残り二人のメイドも同じ場所に直ぐ送ってやる」
「く・・・ぁ・・・」
その手に力が込められ赤髪メイドの頭部が握り潰されていく・・・
絶叫の様な赤髪メイドの悲鳴が響きゼロが必死に止める為に、その手を伸ばそうとした時であった・・・
赤髪メイドの頭部が握り潰されると思ったその瞬間であった。
時が止まった・・・
明らかにバラモヌの手は赤髪メイドの頭部を変形させているその状況でである・・・
「なんだ・・・これは・・・」
空から光が降りてきた。
キラキラとしたその光は空から降り注ぐ雨の様に全てを包み込んでいく・・・
背中に触れていたセリシアの手の感覚が無くなり違和感を覚えたが、ゼロはそれが自分が死ぬ前触れだと考え力を抜いた。
光に包まれ視界は真っ白に染まり体の痛みすらも感じなくなっていった・・・
ゼロが最後に考えた事・・・それはセリシアと赤髪メイドの事であった。
もしも、また彼女達と会う事が出来たとするなら・・・次は絶対に二人を幸せにしてやる!
そう意気込んだゼロは何時の間にか自分が立っている事に気付いた。
そして、目の前に居るその人物に目を疑った。
「ろ、ローザ殿?!」
「えっ?あっあれ?ゼロ?」
そう、ゼロの目の前には王宮魔導士ローザが立っていた。
そして、自らが居る場所に気付き混乱を隠せなくなるゼロとローザ。
その時背後から声がした!
「ゼロ!えっ?なんで?えっ?えっ?」
そこには台に仰向けで拘束された獣人娘セリシア、そしてその場所はアリアハノ城の地下だという事実に3人は困惑するのであった・・・
アリアハノの地下、セリシアと名乗った獣人女にゼロが腰を叩きつける音が響く・・・
パン!パン!パン!パン!
「あっ♡ はああっ♡♡」
すぐ横には赤髪のメイドがお尻を突き出したまま順番を待っていた。
二つ並んだお尻は中出しされた精液の糸が道を作っており、交互に中に射精され交互に挿入されている事がうかがえる・・・
「またっ出すぞ!」
「おっ♡ ほおお・・・♡」
光悦に満ちた表情で四つん這いのまま虚ろな目で遠くを見つめるセリシア、心の底からゼロとのSEXに浸透しているのが見て取れた。
一度の射精中に二人に精子を分ける様にゼロは合間を見て、セリシアから男性器を抜いたゼロ・・・
射精した事で萎え始める前に男性器を直ぐに隣の赤髪メイドの中へ移動させた。
「はァン・・・♡ あン♡ あふっ♡」
出された精液と愛液でヌルヌルになった赤髪メイドの膣内はゼロのモノを容易く受け入れた。
数回腰を動かせばゼロの体力と精力は赤髪メイドのスキル『譲渡』により強制的に回復させられる・・・
実は赤髪メイド、元々ゼロとは顔見知りで幼少の頃は憧れのお兄さんとお転婆な少女と言う関係であった。
ユウキとの肉体関係はローザの指示で行い、そのままレベリングの為に続けていたが彼女はゼロを忘れられなかった。
結果、ローザの指示で地下室の見張りに出向いて別の女、しかも魔族とSEXしているゼロを見れば我慢できるはずが無かった。
もう自分はユウキの女、だけど今回だけは一度っきりの過ちとしてゼロと関係を持ちたいと赤髪メイドは行動に出たのだ。
だが実際のところ、ユウキにとっては赤髪メイドに限らず殆どの女性はレベリングの為の相手という考えでしかないのである。
浮気報告をしたところでユウキにとってハナ、ローザ、シズの3人以外は嫉妬する事は無いだろう。
「ひぅっんおおッ♡ お”う”っ♡」
「フンッ!フンッ!」
まるで獣の様に喘ぐ赤髪メイドに腰を振るゼロの気合が響く!
無我夢中で腰を動かすゼロも、以前は赤髪メイドの事は少なからず好意を抱いていた時期もあった。
だが、アリア姫へその命を捧げた時から彼は想いを断ち切り仕事に専念していた。
幸か不幸か、二人の想いはこの時成就していたのである。
「来てぇ!ゼロ!私を・・・孕ませてぇ!」
「おぅぅううう!!!」
赤髪メイドの中にゼロの何度目かの精が注がれる・・・
ユウキ以外の男に中出しされる、それは子供を孕むという事にもつながる・・・
既に幾度も注がれたが、自分の口から求めた事でゼロは今までにない程の勢いで赤髪メイドの中へ精を放った・・・
そして、それは隣で次を待っていた獣人女のセリシアにも飛び火し始めていた。
「ゼロさん!私・・・私にも貴方の子を!」
元々魔族と人間が性交を行えば99%以上の確率で妊娠する。
それがこの世界のルール、きっとセリシアはゼロの子を既に孕んでいる事であろう。
だが、口に出すのと出さないのは大きく違う・・・
そんなセリシアの言葉に赤髪メイドはライバル心を燃やしゼロの男性器を抜かせないように膣を締め付けた!
「うぁっ?!」
互いに一歩も引かない女同士の戦い、だが目を合わせた時に赤髪メイドの目にそれは飛び込んできた。
ユウキとのレベリングで得たスキル『簡易鑑定』。
単純に対象の持つスキルを見抜くスキルである。
スキルがそのまま能力となるこの世界だからこそ3人のメイド達が全員持っているこのスキルで赤髪メイドは見てしまったのだ。
「えっ・・・?スキル・・・『浄化』?」
「はっ?一体何を言ってる?」
「だって・・・あんた・・・」
そう、魔族である獣人女のセリシアの所持スキルに『浄化』が在ったのだ!
勿論赤髪メイドもこのスキルは聖女だけが持ち、近くで性行為を行う事で魔物の体液による中毒を浄化するスキルだという事は理解している。
だからこそ自らの目が信じられなかった。
聖女リリシアが処女を失い、世界の誰かに『浄化』のスキルが渡ったのは知っていたが・・・
まさかその移動先が魔族とは思いもしなかったのだ。
「そんな・・・なんで・・・」
「ど、どうしたのだ?」
「ぜ、ゼロあのね・・・彼女、セリシアが浄化のスキルを持っているの・・・」
「「・・・えっ?」」
急変した赤髪メイドの様子にゼロは男性器を抜いて尋ねたが、返ってきた無いようにセリシアもゼロと同じように驚いていた。
そしてそれと同時に別の牢の中で行われていた乱交も落ち着きを取り戻しつつあった。
それは仕方ないだろう、ローザの使用したトヘエロスが効力を失い、別の牢内で行為に及んでいた兵士たちが魔物の体液にやられて吸い上げられ始めていたのが止められたのだ。
しかも驚く事に、3人の魔族の体内に流れる体液すらも浄化されていたのだ。
「ほお”っ!? イッちゃうぅ!!!」
「ヒグッ!! オ”オ”ッ!」
そのせいなのか、リードをしていた筈の2人の魔物も兵士に突かれてアへ顔を晒していた。
聖女の浄化スキルが魔物の体内の体液全てを浄化してそうなっていたのである!
魔物と人間の一番の違いは外見ではなく、その体液にあるのだから・・・
丁度その時であった。
『緊急事態!今すぐに作戦『緊急延命』を実行せよ!』
それは青髪メイドからの念話を使った緊急連絡であった。
慌てる赤髪メイド、それはそうだろう、今自分は全裸で股からはゼロの精液が大量にあふれ返っているのだ。
今の地下の状況はまさにカオスと言っても過言ではないだろう・・・
誰一人として鎧どころか服も着ておらず、そればかりか乱交そのものでしか無いのだから。
魔物達も既に拘束されておらず、犯され疲れ始めていたのだ。
「ぜ、ゼロ!緊急延命連絡だ!兵士の皆に服を着る様に言ってくれ!」
「なっなに?わ、分かった!」
焦る二人、それも仕方ないだろう。
赤髪メイドだけではなく、ゼロも緊急延命が何を意味しているのかを勿論場内に他の兵士も居る者は知っている。
自らを石化させ緊急時にあらゆる被害から身を守る手段なのだから・・・
「お前ら!今すぐ服を着ろ!」
「「「「は?・・・はい!!」」」」
ゼロの言葉に誰もが我先にと牢屋を飛び出し脱ぎ捨てられた衣類と装備を身に着ける・・・
とにかく急がなければ全裸の石像の出来上がりなのだから当たり前だろう。
全裸で勃起した男性石像とか誰得である。
「俺達も早く!」
「うんっ!」
赤髪メイドも急いで精液が垂れたままの状態でパンツを履き服を着こんでいく・・・
生暖かくパンツの中で逆流した精液が溜まっていくのを感じながらメイド服を急いで着こんでいく・・・
そして、着替えている最中に他の階から次々と連絡がやって来る・・・
『1階配置完了』
『2階配置完了』
赤髪メイドは慌てながらメイド服のボタンを締めつつ牢屋前の通路の中央に向かいながら念話を返す。
股がヌルヌルな上に発情しっぱなしなのでパンツを履かない方が良かったかと考えたが後の祭り。
それよりも急いで準備しなければと身を動かした!
『地下・・・は、配置完了!』
そして、スカートを少し払ってからゼロが着替えを終えているのを確認し、祈る様に呪文を唱える為の魔力を高める!
この間僅か10秒、股に付着したゼロの精液を指先で掬ってペロリと味わってから、赤髪メイドは高揚したまま呪文を唱えた!
『ラストロン!』
赤髪メイドを中心に放射状に広がった魔力の波動は地下に居る者を全て飲み込み、その姿を瞬く間に石像に変化させた。
ある者は武器を握り締め、またある者は祈りながら・・・
そしてゼロは状況が理解できないセリシアを大切に抱きしめていた。
もしも聖女のスキルがセリシアに移動していたのだとしたら、浄化のスキルを持つ者を死なせるわけにはいかないからだ。
そして、全員が石となった次の瞬間・・・光が全てを飲み込むのであった・・・
勿論石化した者はその光景を目にする事は無い、どれ程の衝撃を受けたとしても決して破損する事の無い石と化しているのだから・・・
地上だけではない、アリアハノの城下町に落とされたその魔法はすさまじかった・・・
バラモヌに乗っ取られたハナの全魔力を暴走させて落とした究極魔法『ヌダンテ』
伝説によれば街を飲み込んだとあったが、人類史でも例を見ないレベルにまで達しているハナと魔物の王とされるバラモヌの魔力を掛け合わせた魔法はそれを凌駕していた。
城下町どころかアリアハノの城までも飲み込んだ爆発は全てを飲み込み消滅させていく・・・
アリアハノの人々は勿論の事、地表すらも飲み込み、音を飲み込み、全てを無へと返していく・・・
離れた2つの街でも大地震が発生するほどの衝撃が広がり、遠目で地表に太陽が落下したかのように光を放っていた。
その光景はまるでこの世の終わり・・・
空中に浮かぶバラモヌも、ハナのスキル『バイアス』の効果が無ければただでは済まなかっただろう。
思い込みの名を持つこの特殊なスキルはローザに勧められて会得したスキル、自身の使用した魔法を自分にだけは影響を及ぼさなくする特殊スキルである。
使用中は魔法を跳ね返されたりしても自分の放った魔力ではダメージを受けないチートスキルであった。
光は城の地下も飲み込み全てを圧殺消滅させていく・・・
熱が焼き、光が消滅させ後には何も残らない・・・
全てが無に帰すとはこの事であろう・・・
「・・・素晴らしい」
瞑想を終えて最低限の魔力を確保できたバラモヌが目を開き呟く・・・
自身の放った魔法の結果を目の当たりにして感動に打ち震えていたのだ。
荒野、誰が数秒前までそこに城下町が広がっていたと考えるだろう・・・
えぐり取られた地表には草の一本すら残っておらず、辺り一面何も残ってはいない・・・
魔力をさらに回復させながらバラモヌはゆっくりと地上へと降りていく・・・
連発は出来ないがこの魔法であれば人類を死滅させる事など容易いと確信を持てる結果である。
感慨深く手に入れたハナの肉体に歓喜しながらその胸に手をやった・・・
「んふぁ・・・」
中身はバラモヌ、だがその口から出た喘ぎ声はまさしくハナの声であった。
ヌダンテの結果に高揚していたのもあるが、ユウキと連日SEXを続けていたハナの体は非常に敏感になっているのだ。
予想外の快楽にバラモヌも漏れた声に驚いた。
だが、雄の宝石モンスターとして様々な女の体内に憑りついた事の有るバラモヌは歓喜した。
オスでありながら犯される快楽を知っているからだ。
そうなると・・・
「しまったな・・・記憶に残る勇者との性行為を体験したかったものだが・・・」
絶対に意識を失う程の絶頂、ハナの記憶にはあるが実際に体験したいと考えるバラモヌは寂しそうに荒野を眺める・・・
想像するだけで股から愛液がにじみ出る程の快感を体が覚えているのだ。
しかし、その目がそれに気づいた。
「ぬっ?!」
ヌダンテによって全てが消滅した筈の地表に異物が在るのを見つけたのだ。
石・・・
それを見てバラモヌはハナの記憶を読み取り口角が上がる!
「まさか・・・人間の底力とはすさまじいものだな!あれを生き延びるか!」
近付きそれを視認して思わず笑ったバラモヌは指をそちらへ向ける・・・
そこには多数の石像が埋まっていたのだ。
そう、それこそがアリアハノの場内でラストロンの魔法により石像になった人々である。
バラモヌの指先が光を集め波紋上にそれが広がるのと共にバラモヌは自身のスキルを唱えた!
『凍てつく波動!』
それはバラモヌのユニークスキル。
凍てつくと言うが実際には凍る事は無い、その効果は波動に触れたモノに使用されていた効果を全て打ち消すというものである。
身体強化も弱体化も変身魔法も・・・それどころかスキルや薬などの効果すらも打ち消すチートスキル。
過去にもポルトガレを占拠する際に、町中の避妊薬の効果を打ち消して女性達を餌食にしたのはこのスキルのせいであった。
空中に広がっていく波紋に触れた石像は見る見る石化が解けて時が流れだす。
そして、一組の石像が解除されこちらに気付いた。
何故か魔族を守るかのように抱きかかえていたその男は驚きに目を剥く・・・
「は・・・ハナ殿?!」
それはそうだろう、荒野となった周囲も驚きだが、石化を解除されたら勇者であるユウキの専属メイドであるハナが全裸でそこに立っているのだから。
そして、目を開いた獣人娘セリシアもハナを見て口にした・・・
「ば・・・バラモヌ様!」
「なっ?!」
周囲の兵士と思われる者達もセリシアの言葉に一斉に驚きを見せた。
しかし、ハナのスキル『威圧』が放たれると共にゼロ以外誰一人口を開く事が出来なくなった・・・
それは勿論、セリシアも石化から戻った2人の魔族もである。
「我が配下である筈のお前達は一体そこで何をしている?」
「あっ・・・あっ・・・」
威圧だけで心臓を鷲掴みにされたような感覚が襲い掛かる。
呼吸も出来ず震えが止まらなくなるほどの恐怖が全身を駆け巡った。
圧倒的な存在の前に、その場にいるだけで死を覚悟した3人の魔族は失禁した。
だが、そんなセリシアをゼロは抱き寄せ他の二人もアリアハノの兵士がハナの視線をその身で防いだ。
「お前がバラモヌだとしても彼女達を自由にはさせない!」
「ゼロ・・・」
「こいつは、俺の女だ!」
そう叫び剣を抜いて立ち上がったゼロ、男であるゼロは確かに人間の男では最強の部類に入る人物である。
だが目の前のバラモヌとの実力差は明白、そんな人物が自分の為に戦おうとしてくれている事実にセリシアは感動していた。
だからこそ彼女は動けた!
「そうよ、私とこの人は愛し合ってるの!」
「フッ、やっぱお前は良い女だよ」
そう口にしたゼロは振り返ってセリシアと口づけを交わす。
一瞬先には死が待っているからこそためらいは無かった。
魔物と人間の禁断の恋、それは魔族と人間の共存にもつながりそうな景色。
他の二人の魔族も自らを盾にしてくれた兵士たちを愛おしい目で見ていた。
「ククク・・・この不良品どもめ・・・良いだろう!全て消し飛ばしてくれる!」
ハナの目を通し、何故か目の前の3人の魔族は魔族ではない事をバラモヌは見ていた。
それが浄化のスキルにより体液が人間に影響を及ぼさなくなったから等とは知らずに・・・
バラモヌの魔力が高まり誰もが死を覚悟する中、ゼロだけが剣を握り締め備えていた。
そして・・・
「消えろ!『イオラズン』!!」
爆発系最大魔法が放たれた!
勿論ヌダンテ程の威力は無いが、その場にいる者を全て消し飛ばしてもお釣りは十分にある威力の魔法である!
死を覚悟し目をバラモヌに向けたままの兵士達、だがその怒声に武器を手に走り出した!
「今だ!!!」
ゼロである、その言葉に反射的に武器を手に駆けだした兵士達の前にバリアの様な物が出現した!
ゼロはチラリと視線を向け小さく頷く。
彼は信じていたのだ、バラモヌにも気付かれずにその姿を隠しそのチャンスを待っていた彼女を・・・
そう、赤髪メイドである!
『レムオナル』という姿を消すこの魔法は、動くと見つかってしまうが見動きさえしなければ発見されることは無いのである!
自身の性器に素肌で触れながら唱える事で効果を発揮する為に禁呪とされるこの魔法に加え、兵士全員に反射魔法『マラカンタ』を使用していたのだ。
「なっ、なにっ?!」
自身の放ったイオラズンが反射され対象全てから同時に返ってきた魔法がバラモヌを襲う!
更にゼロを筆頭に兵士達の攻撃を多重的に襲い掛かった!
剣、槍、斧、鎖・・・
様々な武器が爆発に包まれたハナの肉体に襲い掛かる!
シルエットしか見えていないそこに次々と叩きこまれた武器の攻撃!
誰もがその手応えを感じていた!
それはダメージが通っているという証!
勝てぬまでも痛手は負わせたと自負したが・・・
「愚か者どもめ!!!!」
衝撃が彼達を襲った!
魔法ではない、バラモヌの攻撃による風圧である!
爆風がかき消され、その衝撃はゼロを含む兵士たちに襲い掛かった!
一瞬、在る物は即死し、在る物は四肢を破損し、ゼロですら防具を凹まされ吹き飛ばされた。
明らかに致命的な程に中の肉体が損傷を負っているであろう凹み方、吐血しながら吹き飛ばされたゼロは地面を転がる・・・
「ぐ・・・そんな・・・」
慌てて駆け寄ったセリシアがゼロの悲惨な様子に息を飲む。
顔を向けたゼロもまた絶望した。
自分たちの攻撃でバラモヌは殆どダメージを負って居なかったのだ。
更にその手に赤髪メイドが掴まれていたのだ。
「ぁ・・・ぁ・・・」
「小賢しい真似をしてくれるではないか?」
「ハ・・・ナ・・・様・・・」
掴みあげられた頭が握り締められ圧迫されていく・・・
地下に居た事でゼロ達はその場に居たが、他の者たちはヌダンテで吹き飛ばされ離れていた。
その為、誰一人として駆けつける者も居らず石像のまま放置されていた。
絶望・・・まさにそれがその場を支配した。
「安心しろ、残り二人のメイドも同じ場所に直ぐ送ってやる」
「く・・・ぁ・・・」
その手に力が込められ赤髪メイドの頭部が握り潰されていく・・・
絶叫の様な赤髪メイドの悲鳴が響きゼロが必死に止める為に、その手を伸ばそうとした時であった・・・
赤髪メイドの頭部が握り潰されると思ったその瞬間であった。
時が止まった・・・
明らかにバラモヌの手は赤髪メイドの頭部を変形させているその状況でである・・・
「なんだ・・・これは・・・」
空から光が降りてきた。
キラキラとしたその光は空から降り注ぐ雨の様に全てを包み込んでいく・・・
背中に触れていたセリシアの手の感覚が無くなり違和感を覚えたが、ゼロはそれが自分が死ぬ前触れだと考え力を抜いた。
光に包まれ視界は真っ白に染まり体の痛みすらも感じなくなっていった・・・
ゼロが最後に考えた事・・・それはセリシアと赤髪メイドの事であった。
もしも、また彼女達と会う事が出来たとするなら・・・次は絶対に二人を幸せにしてやる!
そう意気込んだゼロは何時の間にか自分が立っている事に気付いた。
そして、目の前に居るその人物に目を疑った。
「ろ、ローザ殿?!」
「えっ?あっあれ?ゼロ?」
そう、ゼロの目の前には王宮魔導士ローザが立っていた。
そして、自らが居る場所に気付き混乱を隠せなくなるゼロとローザ。
その時背後から声がした!
「ゼロ!えっ?なんで?えっ?えっ?」
そこには台に仰向けで拘束された獣人娘セリシア、そしてその場所はアリアハノ城の地下だという事実に3人は困惑するのであった・・・
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