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序章
第1話 死神からの指示
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真っ暗な中に私は居た。
一体何時からここに居るのか分からない。
闇の中に足がついているのかすら怪しいその場所で私の頭の中を支配するのはただ一つの言葉。
『忘れるんだ』
何を?それすらも忘れた。
だが忘れなければこの永遠に続く闇の中から抜け出せない。
私は忘れる…
自分の名前さえも…
「これは困りましたね」
一人の声が闇の中に届いた。
何処から聞こえたのか誰に向かって言ってるのかも分からない…
だけど私は嬉しくなって言葉を返した。
「だれ?誰でもいい、私とお話ししてくれる?」
刺激、それは今まで何もない暗闇にいた少女には幻聴でも構わなかった
ただ時間も分からず永遠とも思える時を五感の全てで何も感じない闇の中で過ごした少女にとっては藁にも縋る思いであった。
「おや?私の声が聞こえてしまいましたか、それはそうとお名前は何と言うのですか?」
「分からないの・・・忘れたみたいなの・・・あなたのお名前は?」
「それは重畳重畳、私は所謂神と呼ばれる存在ですよ」
「神様?!」
「そうですね・・・丁度いいでしょう、貴女は私のお気に入りなのでちょっとお仕事を頼んでも良いですか?」
「お仕事?それってここから出られる?」
「ええ、勿論ですよ。貴女は以前世界を変えたいと言っていたのですよ」
「世界を変えたい?」
少女は首をかしげて考えるが既にそれすらも忘れているのか何も思い出せない。
「どうやら私の言いつけをしっかり守って忘れる事に成功したようですね」
「神様が私に忘れるように言ったの?」
「ええ、それでは貴女の名前は『ティナ』と言います」
「ティナ?・・・ティナ・・・」
少女は何かを思い出しそうになり苦しそうに震える。
「この名前には貴女は少し刺激が強いのかもしれませんが直ぐに慣れるでしょう。それよりも私の言う事をしっかり聞いて下さいね」
「あっ・・・はい、分かりました」
神と名乗るそれはティナに説明をする・・・
これからティナはある世界へ一人旅立つ。
その世界は魔法が使える『魔人族』と魔法の使えない『人族』が長い年月争いを続けている。
その世界で沢山の魂を回収するのがティナに与えられた使命であった。
「魂の回収ですか?」
「えぇ、貴女の願いである『世界を変える』と言う事も出来ます」
その時ティナはゾクリと恐怖を感じ取った。
それは過去に何かが在ったトラウマを感じ取ったのにも似た刺激であった。
「おやおや、もう少しここに居て忘れるのに頑張りますか?」
「いえ、大丈夫です!」
ティナは早くこの闇の中から抜け出したい。
その為なら他人を殺そうと構わない・・・
そんなティナの内心を読み取ったのか声は続けます・・・
「ですが一つだけ、ティナには貴女が望む特殊な力を与えますがあなたの手で人を殺しては駄目です」
「えっ?」
これが指示の詳細であった。
人が死ぬ時に出る魂を回収するのが目的だがそれにはその死にティナが関与しなければならない。
だがティナの手で殺しを行なってはいけない。
記憶は無いがこのルールが守れないと直ぐに元の闇の中へ戻らされるという事だけは理解していた。
「分かりました。それでは私はこんな能力が欲しいです・・・」
ティナはこうして異世界へ旅立っていった。
闇の中、ティナが居た場所に影が現われる。
闇の中だというのにそれが影だと分かる程黒よりも黒い人影は肩を震わせながら呟く・・・
「人の人格を決めるのは記憶と言いますがここまで別人の様になるとは本当に人間とは面白い・・・」
旅立った少女はそれにとってお気に入りの存在である。
彼女が狂気に染まった感情で自分を殺し行動するその様子に期待しながらそれは楽しそうに笑うのであった・・・
一体何時からここに居るのか分からない。
闇の中に足がついているのかすら怪しいその場所で私の頭の中を支配するのはただ一つの言葉。
『忘れるんだ』
何を?それすらも忘れた。
だが忘れなければこの永遠に続く闇の中から抜け出せない。
私は忘れる…
自分の名前さえも…
「これは困りましたね」
一人の声が闇の中に届いた。
何処から聞こえたのか誰に向かって言ってるのかも分からない…
だけど私は嬉しくなって言葉を返した。
「だれ?誰でもいい、私とお話ししてくれる?」
刺激、それは今まで何もない暗闇にいた少女には幻聴でも構わなかった
ただ時間も分からず永遠とも思える時を五感の全てで何も感じない闇の中で過ごした少女にとっては藁にも縋る思いであった。
「おや?私の声が聞こえてしまいましたか、それはそうとお名前は何と言うのですか?」
「分からないの・・・忘れたみたいなの・・・あなたのお名前は?」
「それは重畳重畳、私は所謂神と呼ばれる存在ですよ」
「神様?!」
「そうですね・・・丁度いいでしょう、貴女は私のお気に入りなのでちょっとお仕事を頼んでも良いですか?」
「お仕事?それってここから出られる?」
「ええ、勿論ですよ。貴女は以前世界を変えたいと言っていたのですよ」
「世界を変えたい?」
少女は首をかしげて考えるが既にそれすらも忘れているのか何も思い出せない。
「どうやら私の言いつけをしっかり守って忘れる事に成功したようですね」
「神様が私に忘れるように言ったの?」
「ええ、それでは貴女の名前は『ティナ』と言います」
「ティナ?・・・ティナ・・・」
少女は何かを思い出しそうになり苦しそうに震える。
「この名前には貴女は少し刺激が強いのかもしれませんが直ぐに慣れるでしょう。それよりも私の言う事をしっかり聞いて下さいね」
「あっ・・・はい、分かりました」
神と名乗るそれはティナに説明をする・・・
これからティナはある世界へ一人旅立つ。
その世界は魔法が使える『魔人族』と魔法の使えない『人族』が長い年月争いを続けている。
その世界で沢山の魂を回収するのがティナに与えられた使命であった。
「魂の回収ですか?」
「えぇ、貴女の願いである『世界を変える』と言う事も出来ます」
その時ティナはゾクリと恐怖を感じ取った。
それは過去に何かが在ったトラウマを感じ取ったのにも似た刺激であった。
「おやおや、もう少しここに居て忘れるのに頑張りますか?」
「いえ、大丈夫です!」
ティナは早くこの闇の中から抜け出したい。
その為なら他人を殺そうと構わない・・・
そんなティナの内心を読み取ったのか声は続けます・・・
「ですが一つだけ、ティナには貴女が望む特殊な力を与えますがあなたの手で人を殺しては駄目です」
「えっ?」
これが指示の詳細であった。
人が死ぬ時に出る魂を回収するのが目的だがそれにはその死にティナが関与しなければならない。
だがティナの手で殺しを行なってはいけない。
記憶は無いがこのルールが守れないと直ぐに元の闇の中へ戻らされるという事だけは理解していた。
「分かりました。それでは私はこんな能力が欲しいです・・・」
ティナはこうして異世界へ旅立っていった。
闇の中、ティナが居た場所に影が現われる。
闇の中だというのにそれが影だと分かる程黒よりも黒い人影は肩を震わせながら呟く・・・
「人の人格を決めるのは記憶と言いますがここまで別人の様になるとは本当に人間とは面白い・・・」
旅立った少女はそれにとってお気に入りの存在である。
彼女が狂気に染まった感情で自分を殺し行動するその様子に期待しながらそれは楽しそうに笑うのであった・・・
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