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スマホが熱中症になった件
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「あれ?・・・マジか・・・」
俺の名はレンセ、思春期真っ盛りの陸上部に所属する高校生だ。
そして俺の手にあるのは現代最強の近代兵器、スマホである!
これが1台あるだけで何でもできると言っても過言ではない程のハイテク機械!
電話が本来の用途の筈なのだが既に他の機能が凄すぎてその存在感はまったくない。
通話よりもそれ以外に使う事の方が多いこの機械なのだが、便利な反面壊れれば日常生活に支障をきたすのだ。
「電源ボタンも反応しないぞこれ・・・つか熱すぎるな・・・熱中症か?」
再起動も掛けられないのを確認した俺はとりあえず対策を調べる為に学校の購買前にある公衆電話へと走った。
このご時勢、公衆電話が残っていたのは本当にありがたい。
そう思いながら奇跡的に財布に入っていたテレホンカードを入れて暗記していた親友の携帯へと電話を掛けた。
「ん?公衆電話から誰だ?」
「おお!心の友よ、俺だオレオレ!」
「なんだ?オレオレ詐欺か?」
「違う!レンセだ!ちょっと困った事になって助けて欲しいんだが・・・」
「ならお前が本物だという証拠にこの問題を解いてみろ!」
「いや・・・急いでいるんだが・・・」
「スポーツで普段よりも成績が落ちた時の事をスランプと言う、では成長が止まってしまう事をなんと言う?」
「プラトー・・・だろ?」
「ファイナルアンサー?」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「せいかーい!ようレンセどうした?」
「はぁ・・・あのな、どうにも熱中症みたいで動かないんだがどうしたらいんだろうか?」
「・・・お前それを早く言えよ!一大事じゃないか!いいかまず涼しい場所へ避難させるんだ」
「おっおぅ、先ずは冷ますんだな・・・」
「そして服を脱がせてとにかく冷やす!水をかけてうちわなんかで扇ぐと効果的だ」
「ふむふむ・・・」
「痙攣は起こってないか?」
「いや、今は静かなもんだが・・・」
「そうか、とにかく冷やせ。後は水分と塩分を補給させてやれ」
「水分と塩分?!」
「あぁ、スポーツドリンクなんかが最適だ。だが吐き気を訴えたりする時は水をやってはいけない」
「ほむほむ・・・」
「そんなところだ、とにかく冷やしてやるのが一番だ」
「分かったありがとう」
受話器を置いて話を聞きながら書き残したメモを見て困惑する・・・
だが急いだ方が良いと言ってたから俺はその場で床にスマホを置いて指示に従った。
「まずは涼しい場所へ移動・・・だったな」
横をふと見れば購買のガラスケースの冷蔵庫が目に入ったので俺はスマホをその中へ入れた。
少し様子を見てから取り出して冷え冷えになったスマホを再び床に置いてメモを見る・・・
「次は、服を脱がせる?・・・カバーを取れば良いのか?あっバッテリーか!」
スマホケースを取り外して後ろの蓋を開けてバッテリーを取り出す。
冷蔵庫で冷やされた事でしっかりと冷たくなってるのを確認してさっきの冷蔵庫に視線をやる。
「おばちゃーん、ポカルスエット1本貰うよ」
「120万円じゃ」
「ここに置くからね」
120円をカウンターに置いて冷蔵庫からポカルスエットを1本取り出し蓋を開ける・・・
「だ・・・大丈夫なんだよな?」
異様な気分になりながらも親友の言葉を信じて俺はバッテリーを取り外したスマホにゆっくりとポカルスエットを注いだ。
吐き出しそうな気配が無かったのでとりあえず限界まで注いでから少しそのままにしてみた。
そして、近くの水道に捨ててからバッテリーを入れて蓋をして電源ボタンを・・・
「駄目か・・・」
結局スマホの電源は入らず携帯ショップにスマホを持参したのだが・・・
「これは完全に壊れてますね、内部メモリも壊れているのでデータは諦めて下さい」
「そ・・・そんな・・・」
友人の番号だけでなくプレイしていたゲームや動画や写メも全て消え去っていた。
俺は店員に熱中症の応急処置を行った事を詳しく説明したのだが・・・あの正気を疑う表情は永遠に忘れる事は無いだろう・・・
完
俺の名はレンセ、思春期真っ盛りの陸上部に所属する高校生だ。
そして俺の手にあるのは現代最強の近代兵器、スマホである!
これが1台あるだけで何でもできると言っても過言ではない程のハイテク機械!
電話が本来の用途の筈なのだが既に他の機能が凄すぎてその存在感はまったくない。
通話よりもそれ以外に使う事の方が多いこの機械なのだが、便利な反面壊れれば日常生活に支障をきたすのだ。
「電源ボタンも反応しないぞこれ・・・つか熱すぎるな・・・熱中症か?」
再起動も掛けられないのを確認した俺はとりあえず対策を調べる為に学校の購買前にある公衆電話へと走った。
このご時勢、公衆電話が残っていたのは本当にありがたい。
そう思いながら奇跡的に財布に入っていたテレホンカードを入れて暗記していた親友の携帯へと電話を掛けた。
「ん?公衆電話から誰だ?」
「おお!心の友よ、俺だオレオレ!」
「なんだ?オレオレ詐欺か?」
「違う!レンセだ!ちょっと困った事になって助けて欲しいんだが・・・」
「ならお前が本物だという証拠にこの問題を解いてみろ!」
「いや・・・急いでいるんだが・・・」
「スポーツで普段よりも成績が落ちた時の事をスランプと言う、では成長が止まってしまう事をなんと言う?」
「プラトー・・・だろ?」
「ファイナルアンサー?」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「せいかーい!ようレンセどうした?」
「はぁ・・・あのな、どうにも熱中症みたいで動かないんだがどうしたらいんだろうか?」
「・・・お前それを早く言えよ!一大事じゃないか!いいかまず涼しい場所へ避難させるんだ」
「おっおぅ、先ずは冷ますんだな・・・」
「そして服を脱がせてとにかく冷やす!水をかけてうちわなんかで扇ぐと効果的だ」
「ふむふむ・・・」
「痙攣は起こってないか?」
「いや、今は静かなもんだが・・・」
「そうか、とにかく冷やせ。後は水分と塩分を補給させてやれ」
「水分と塩分?!」
「あぁ、スポーツドリンクなんかが最適だ。だが吐き気を訴えたりする時は水をやってはいけない」
「ほむほむ・・・」
「そんなところだ、とにかく冷やしてやるのが一番だ」
「分かったありがとう」
受話器を置いて話を聞きながら書き残したメモを見て困惑する・・・
だが急いだ方が良いと言ってたから俺はその場で床にスマホを置いて指示に従った。
「まずは涼しい場所へ移動・・・だったな」
横をふと見れば購買のガラスケースの冷蔵庫が目に入ったので俺はスマホをその中へ入れた。
少し様子を見てから取り出して冷え冷えになったスマホを再び床に置いてメモを見る・・・
「次は、服を脱がせる?・・・カバーを取れば良いのか?あっバッテリーか!」
スマホケースを取り外して後ろの蓋を開けてバッテリーを取り出す。
冷蔵庫で冷やされた事でしっかりと冷たくなってるのを確認してさっきの冷蔵庫に視線をやる。
「おばちゃーん、ポカルスエット1本貰うよ」
「120万円じゃ」
「ここに置くからね」
120円をカウンターに置いて冷蔵庫からポカルスエットを1本取り出し蓋を開ける・・・
「だ・・・大丈夫なんだよな?」
異様な気分になりながらも親友の言葉を信じて俺はバッテリーを取り外したスマホにゆっくりとポカルスエットを注いだ。
吐き出しそうな気配が無かったのでとりあえず限界まで注いでから少しそのままにしてみた。
そして、近くの水道に捨ててからバッテリーを入れて蓋をして電源ボタンを・・・
「駄目か・・・」
結局スマホの電源は入らず携帯ショップにスマホを持参したのだが・・・
「これは完全に壊れてますね、内部メモリも壊れているのでデータは諦めて下さい」
「そ・・・そんな・・・」
友人の番号だけでなくプレイしていたゲームや動画や写メも全て消え去っていた。
俺は店員に熱中症の応急処置を行った事を詳しく説明したのだが・・・あの正気を疑う表情は永遠に忘れる事は無いだろう・・・
完
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