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第69話 全員グル
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男が目を覚ましたのは日が真上に差し掛かろうとしている頃だった。
ここが高級宿なので寝ている男を起こさなかったのか今朝の件で起こしに来るのを躊躇したのか…
たぶん後者だろう。
一着しか着るものがないので着の身そのままで起きて部屋から出る男。
受け付けに誰もいなかったので昨夜食事をした食堂と思わしき場所に行ってみると数名が食事をしていた。
昨夜も見た顔が幾つかあったので多分宿の人間達が食べてるんだろう。
男は今朝の事もあり気付いてない振りをして普通に食堂に入っていった。
「あぁお客様お目覚めでしたか!」
一人が声を掛けてきた。
確か昨日部屋まで案内してくれた男性だ。
明らかに目が泳いでいる。
まるであり得ないモノを見ているかのようだ。
男は少年の顔と声で…
「すみません、疲れていてぐっすりと眠ってしまいました。お腹空いたんですが今からでも大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ。あちらのお席で少々お待ちくださいませ」
男は席に付き回りの様子を伺おうと考えた。
すると驚くことに気が付いた。
視界が増えたのだ。
正確には片目が顔ではなく右手人差し指の指先からの視点を映したのだ。
手を動かすだけで後ろが見える。
すると、従業員の何人かがそっと席を立ち食堂を出ていくのが見えた。
ご丁寧に食べていたものを隣の席の人間の前に移動させてもし振り返っても違和感の出ないようにする小細工つきだ。
そして、大きな布の様な物やロープみたいなモノを用意して入り口の影から覗いているのが見てとれた。
それで確信した。
全員グルだ。
「お待たせしました。何分時間外なので簡単な物しかありませんが」
程無くして簡単なスープとパンを先程の男が持ってきてくれた。
見た目は特に変わったことはない、だがきっと何か入れられてる…
男は笑顔でお礼を言いスープをスプーンですくって口に運ぶのであった。
ここが高級宿なので寝ている男を起こさなかったのか今朝の件で起こしに来るのを躊躇したのか…
たぶん後者だろう。
一着しか着るものがないので着の身そのままで起きて部屋から出る男。
受け付けに誰もいなかったので昨夜食事をした食堂と思わしき場所に行ってみると数名が食事をしていた。
昨夜も見た顔が幾つかあったので多分宿の人間達が食べてるんだろう。
男は今朝の事もあり気付いてない振りをして普通に食堂に入っていった。
「あぁお客様お目覚めでしたか!」
一人が声を掛けてきた。
確か昨日部屋まで案内してくれた男性だ。
明らかに目が泳いでいる。
まるであり得ないモノを見ているかのようだ。
男は少年の顔と声で…
「すみません、疲れていてぐっすりと眠ってしまいました。お腹空いたんですが今からでも大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ。あちらのお席で少々お待ちくださいませ」
男は席に付き回りの様子を伺おうと考えた。
すると驚くことに気が付いた。
視界が増えたのだ。
正確には片目が顔ではなく右手人差し指の指先からの視点を映したのだ。
手を動かすだけで後ろが見える。
すると、従業員の何人かがそっと席を立ち食堂を出ていくのが見えた。
ご丁寧に食べていたものを隣の席の人間の前に移動させてもし振り返っても違和感の出ないようにする小細工つきだ。
そして、大きな布の様な物やロープみたいなモノを用意して入り口の影から覗いているのが見てとれた。
それで確信した。
全員グルだ。
「お待たせしました。何分時間外なので簡単な物しかありませんが」
程無くして簡単なスープとパンを先程の男が持ってきてくれた。
見た目は特に変わったことはない、だがきっと何か入れられてる…
男は笑顔でお礼を言いスープをスプーンですくって口に運ぶのであった。
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