呪われた死にたがりの男

第６８話 二度寝

日の出と共にそれはやって来た。
いきなり止まってた部屋のドアが開けられ確認もしないまま叫び声が上がった。

「誰か手を貸してくれ！」

男はドアが開けられた時に目が覚めたが一体何が始まるのかと少しワクワクしながら寝た振りを続けた。
やがて部屋の前に次々に人がやって来る・・・

「どうした？」
「昨日の聞き取りの続きをしようと思って訪れたんだがあの少年にどうやら薬が盛られていたようなのだ！」
「それは本当なのか？」
「あぁ、さっきから何をやっても少年は起きないんだ」

いやいや、お前ドア開けただけで近付いてもいないだろ！
男は普段こんな突っ込みはしないのに心の中で誰かの意思が突っ込みを入れた。
これは・・・まさかあの首なし男？！

「とりあえずあの少年をドクターイノーの所へ連れて行って診て貰わねばならない、運ぶのを誰か手伝ってくれないか？」
「おぉ分かった俺が手伝うよ」

男が寝た振りをしているだけでどんどん勝手に話が進んでいく・・・
誰か他の人間がまずは確認するとかしない所を見ると多分全員グルだな。
そう男は予想してそのまま目を開けてゆっくりと起き上がる。

「すみません、朝からなんの騒ぎですか？」

少年から発せられたその言葉に全員が驚きの表情を向ける。
普通、起きなかった人間が目覚めたらそんな表情を浮かべるのはおかしい・・・
全員グルで決まりだな。

「へっ？お、おま・・・お前・・・起きて・・・」
「あんまり五月蝿いから目が覚めちゃいましたけどなにかありましたか？」
「い・・・いや、別になんでもないんだ。すまないな起こしてしまって・・・」

そう言い残しそいつらは部屋を出て行った。
男は窓に張り付きそいつらが宿から出て行くまでの時間を確認していた・・・
男達が出てくるまでが遅すぎる・・・
これは宿もグルだという可能性が高いか・・・
少年は今日中に別の寝床を確保しようと考えとりあえず今はベットでもう一眠りするのであった。