呪われた死にたがりの男

第２４話 死ぬまで殺された

左右半分に切断された男の視界は左半分しかなかった。
そして、そのまま階段を転げ落ちていく…
段差にぶつかる度にその体を破損し1階に着いて動きが止まる時には骨だけの男の体はまさにバラバラという言葉が相応しいぐらいに折れていた。

男は砕けた顔面の左半分に映っている二階から執事服を着た年配の男性が降りてくるのを眺めていた。
その足取りは軽やかで足音をまるでさせない静かなものだった。
やがて男のバラバラの体の前に立ち手に持っていた剣で再び男の体を破壊する。
何度も…何度も…執拗に…執拗に…
やがて男の頭部が原型を止めなくなり男の視界は闇に染まった。
だがそれでも男は自らがまだ生きていることを理解していた。
何度も降り下ろす剣の風斬り音、自分の体が破壊される音、それらは男の耳に聞こえていたのだ。

やがて男の体が剣では破壊できないレベルで粉々になった時に執事服の男性はその剣を鞘に仕舞うのだった。