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しおりを挟む「えっと確かこっちの道だったわよね、あれ違う?」
リサは、籠を手に持って森の中をうろうろとしていた。
「そういえば、迷った時のために指輪貰ってたっけ」
リサは、右手に着けていた指輪を空にかざした。指輪の金属が太陽の光を反射して光る。
「確か、呪文を言うんだったわよね。なんだったかしら。うーんと、我をかの屋敷へ誘え?」
呪文に反応して、指輪が発光する。そして、一本の光が道の先を指した。
「この指している所が屋敷ってことかしら? とりあえず行ってみるしかないわね」
落ち葉を踏みながらリサは、光るの指す方向へ進む。太陽が照っているからか、昨日よりも森は暖かい気がするとリサは思った。
しばらく、森を歩きなれているリサでも疲れるぐらいに荒い道が続いた。
リサは、昨日もこの道を歩いたのか不思議に思い、周りを見渡したが、森の中は、景色が変わらないため、この道を覚えるのは無理そうだと感じた。
「はあ、はあ、やっと着いたわ」
リサは、息を吐きながら屋敷のドアに手を掛ける。そして、一度ノックをして声をかけてからヒールがいる部屋の中へ入った。
「ヒール。約束の物を持ってきたわ、起きてるかしら?」
「うん、起きてるよ。リサ早かったね、ありがとう」
ヒールは、ベッドから体を起こし、嬉しそうにリサから籠を受けとると、籠の中を覗き込んだ。
「リサ、これは、何?」
「それは、レタスとハムが入ったサンドイッチよ、紅茶も作ってきたのこれもどうぞ」
「ありがとう、食べるのが楽しみだよ」
「気に入ってくれるといいんだけど……」
ヒールは、リサの作ったサンドイッチに手を伸ばす。そして一思いにそれにかぶりついた。1つ目が食べ終わると次へとまた手を伸ばす。
静かな部屋にヒールの咀嚼音だけが響いた。
「貴方、泣いてるじゃない」
「あれ? 本当だ」
「そんなに不味かったの!? ごめんなさいね、大丈夫?」
「いや、違うんだ。誰かにご飯を作って貰ったのが初めてだったから嬉しくて」
「そう、なのね」
リサは、ヒールに何か悲しい過去があったのではないかとヒールの表情から悟ったが、それを聞くことは出来なかった。その代わりにリサはある提案をしようと考える。
「もし、よかったらだけど。また作って持ってくるわ。さすがに毎日は無理だけど……」
「また、来てくれるの?」
「だってもう私たち友達じゃない? 友達が遊びに来るのは当然でしょ」
「ふふっありがとうリサ」
ヒールは、嬉しそうに笑った。リサは、ヒールの本当の笑顔を見て胸がなぜか締め付けられるのを感じた。
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