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第二章:私の心を掻き乱さないでくださいっ!
46.私を変えたもの②-sideエルネスト-
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運悪く姉上の目に止まってしまった可哀想な令嬢。
それが彼女を知るきっかけだった。
今までもこういうことは何度か目にしていたし、止めに入ることもあった。
父上が動かない以上、私には注意することくらいしか出来ない。
そして最近姉上の婚約が決まったこともあり、更に目を光らせるようにと命じられていた。
隣国の王族との婚約。
それは姉上を処罰させないための対応なのだろう。
父上は自ら娘に罰を下せないから、他国に逃がすという選択をした。
なんとも生ぬるくて狡い逃げ方だ。
私はこのやり方には当然納得していない。
今まで好き勝手して、沢山の者に迷惑をかけた罪をしっかりと本人に償わせてやりたい。
そうしなければ被害に遭った者も報われないだろう。
私はいずれこの国を背負う人間になる。
だからこそ、これ以上我が国が非になることは増やしたくは無い。
今回も被害者に接触して、なるべく大人しくしているようにと助言する。
姉上は飽きやすい人間なので抵抗しなければ直ぐに飽きると高を括っていた。
しかし今回はそうはならなかった。
一ヶ月経っても姉上はフェリシアの婚約者にくっついていた。
婚約が不服で、抵抗しているつもりなのだろうか。
そして私は彼女のことが気がかりでもあった。
初めて会った時から、なんとなく彼女のことは気になっていた。
今まで私の傍にいた者達とは全く違うタイプの人間だったから、興味を惹かれていた。
表情が豊かで、心を隠すのが下手で嘘をつけない。
普段から本心を隠して接している私とは真逆の人間だ。
このようなタイプは姉上の格好の餌食になる。
姉上が一ヶ月もの間二人に付きまとっているのは、悔しがるフェリシアの姿を見て優越感に浸っているのかもしれない。
そして彼女は一ヶ月以上も、この状況を一人で耐えている。
暫く彼女の様子を観察していたが、近寄る生徒もいないし、友人なんて存在は誰一人として見えて来なかった。
そして私にも助けを求めてこない。
あんなにも小さくて弱々しいのに、誰にも助けを求めず一人で耐えている姿を見て、更に彼女のことが気になっていった。
ある日偶然姉上と対峙している彼女を見て、再び間に割って入った。
これ以上見て見ぬ振りをして、放っておくことが出来なかった。
寂しそうな瞳が、私には助けを求めているように見えた。
彼女は自分からは決して助けを求めてこないので、傍にいるために友人になろうと提案した。
少しでも距離を狭めて、気軽に頼って貰える環境を作りたかった。
最初は純粋に力になりたいと思っていただけだったが、彼女と過ごすようになってからは私の感情も少しづつ変化していった。
婚約者は幼い頃から傍にいる存在で、お互い思い合っていると語っていた。
気持ちが繋がっているから大丈夫だと、彼女は本気で信じている様子だった。
今まで耐えることが出来たのは、根底に揺るがない自信があったからだろう。
しかし私が軽い気持ちで提案したことが、彼女にとっては辛い場面を見せる結果になってしまった。
あの場面を見ることで、信じていたものが全て崩れ落ちていったのだろう。
初めて彼女の涙を目にした。
その時悔しいという感情に私の心は支配されていた。
理由は沢山ある。
その中でも一番強く思ったことは、やはり彼女を救いたいという気持ちだった。
もう姉上の好き勝手にはさせない。
婚約者なのに彼女を不安にさせ泣かせることしか出来ない男ならば、奪ってしまえばいい。
私ならば絶対にそんな風にはさせない。
その様な感情がぐるぐると頭の中を渦巻いていた。
きっとこの頃の私は既に彼女のことが好きだったのだと思う。
本気で手に入れようと思ったのは、その出来事がきっかけだった。
仮の恋人を演じている時も私は本気で彼女に接していた。
私に気持ちが傾いて欲しいと願いながら。
だからつい婚約者に対して厳しい口調になってしまった。
彼女を傷付け泣かせたことが許せなかったから。
案外私の中にも熱いものがあるようだ。
それを教えてくれたのは、間違いなくフェリシアだ。
私はそれくらい彼女に心を奪われている。
そして彼女も私と同じ気持ちでいてくれていると、どこかで自惚れている。
私が見つめると頬を赤く染め、恥ずかしそうに目を逸らす。
彼女は元々感情が隠せないタイプだから、表情を見ればどんなことを思っているのか大体は想像出来てしまう。
しかし彼女は元婚約者以外とは余り交友関係を結んでいないようだ。
その為、単に耐性が無いだけなのかもしれない。
自分の気持ちに気付いてしまった以上、私は簡単に彼女のことをを諦めるつもりはない。
出来るだけ他の男を近づけたく無くて、休学中もずっと彼女の屋敷に通っていた。
彼女の心が落ち着いたら、私の気持ちを伝えようと思っている。
そしていずれ私の婚約者になってもらう。
もうフェリシア以外には考えられない。
私はフェリシアのことが好きだ。
それが彼女を知るきっかけだった。
今までもこういうことは何度か目にしていたし、止めに入ることもあった。
父上が動かない以上、私には注意することくらいしか出来ない。
そして最近姉上の婚約が決まったこともあり、更に目を光らせるようにと命じられていた。
隣国の王族との婚約。
それは姉上を処罰させないための対応なのだろう。
父上は自ら娘に罰を下せないから、他国に逃がすという選択をした。
なんとも生ぬるくて狡い逃げ方だ。
私はこのやり方には当然納得していない。
今まで好き勝手して、沢山の者に迷惑をかけた罪をしっかりと本人に償わせてやりたい。
そうしなければ被害に遭った者も報われないだろう。
私はいずれこの国を背負う人間になる。
だからこそ、これ以上我が国が非になることは増やしたくは無い。
今回も被害者に接触して、なるべく大人しくしているようにと助言する。
姉上は飽きやすい人間なので抵抗しなければ直ぐに飽きると高を括っていた。
しかし今回はそうはならなかった。
一ヶ月経っても姉上はフェリシアの婚約者にくっついていた。
婚約が不服で、抵抗しているつもりなのだろうか。
そして私は彼女のことが気がかりでもあった。
初めて会った時から、なんとなく彼女のことは気になっていた。
今まで私の傍にいた者達とは全く違うタイプの人間だったから、興味を惹かれていた。
表情が豊かで、心を隠すのが下手で嘘をつけない。
普段から本心を隠して接している私とは真逆の人間だ。
このようなタイプは姉上の格好の餌食になる。
姉上が一ヶ月もの間二人に付きまとっているのは、悔しがるフェリシアの姿を見て優越感に浸っているのかもしれない。
そして彼女は一ヶ月以上も、この状況を一人で耐えている。
暫く彼女の様子を観察していたが、近寄る生徒もいないし、友人なんて存在は誰一人として見えて来なかった。
そして私にも助けを求めてこない。
あんなにも小さくて弱々しいのに、誰にも助けを求めず一人で耐えている姿を見て、更に彼女のことが気になっていった。
ある日偶然姉上と対峙している彼女を見て、再び間に割って入った。
これ以上見て見ぬ振りをして、放っておくことが出来なかった。
寂しそうな瞳が、私には助けを求めているように見えた。
彼女は自分からは決して助けを求めてこないので、傍にいるために友人になろうと提案した。
少しでも距離を狭めて、気軽に頼って貰える環境を作りたかった。
最初は純粋に力になりたいと思っていただけだったが、彼女と過ごすようになってからは私の感情も少しづつ変化していった。
婚約者は幼い頃から傍にいる存在で、お互い思い合っていると語っていた。
気持ちが繋がっているから大丈夫だと、彼女は本気で信じている様子だった。
今まで耐えることが出来たのは、根底に揺るがない自信があったからだろう。
しかし私が軽い気持ちで提案したことが、彼女にとっては辛い場面を見せる結果になってしまった。
あの場面を見ることで、信じていたものが全て崩れ落ちていったのだろう。
初めて彼女の涙を目にした。
その時悔しいという感情に私の心は支配されていた。
理由は沢山ある。
その中でも一番強く思ったことは、やはり彼女を救いたいという気持ちだった。
もう姉上の好き勝手にはさせない。
婚約者なのに彼女を不安にさせ泣かせることしか出来ない男ならば、奪ってしまえばいい。
私ならば絶対にそんな風にはさせない。
その様な感情がぐるぐると頭の中を渦巻いていた。
きっとこの頃の私は既に彼女のことが好きだったのだと思う。
本気で手に入れようと思ったのは、その出来事がきっかけだった。
仮の恋人を演じている時も私は本気で彼女に接していた。
私に気持ちが傾いて欲しいと願いながら。
だからつい婚約者に対して厳しい口調になってしまった。
彼女を傷付け泣かせたことが許せなかったから。
案外私の中にも熱いものがあるようだ。
それを教えてくれたのは、間違いなくフェリシアだ。
私はそれくらい彼女に心を奪われている。
そして彼女も私と同じ気持ちでいてくれていると、どこかで自惚れている。
私が見つめると頬を赤く染め、恥ずかしそうに目を逸らす。
彼女は元々感情が隠せないタイプだから、表情を見ればどんなことを思っているのか大体は想像出来てしまう。
しかし彼女は元婚約者以外とは余り交友関係を結んでいないようだ。
その為、単に耐性が無いだけなのかもしれない。
自分の気持ちに気付いてしまった以上、私は簡単に彼女のことをを諦めるつもりはない。
出来るだけ他の男を近づけたく無くて、休学中もずっと彼女の屋敷に通っていた。
彼女の心が落ち着いたら、私の気持ちを伝えようと思っている。
そしていずれ私の婚約者になってもらう。
もうフェリシア以外には考えられない。
私はフェリシアのことが好きだ。
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