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番外編
41.嫉妬心-sideレオナ-
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私は屋敷に着くなり、お父様がいる執務室へと乗り込んだ。
ノックもせず勢い良く扉を開くと、お父様が座る机の前まで早歩きで移動した。
「お父様っ…!!」
「…レオナ、どうしたんだ?そんなに血相を変えて…」
お父様は私の態度を見て驚いている様子だった。
私は自分でもどうしようもない程、感情が高まっていた。
あんな幸せそうなお姉様を見たのだから当然だ。
高価そうなドレスを身にまとい、綺麗な装飾品を付けて…
隣には身なりのいい素敵な男もいた。
しかも私の前でイチャイチャと仲良さそうな所まで見せつけられた。
私は嫉妬心で煮えたぎる様な思いだった。
「王都で、お姉さまを見つけました!」
「……っ…!」
私がそう告げると、お父様は動揺している様子だった。
「もしかして…お父様は知っていたんですか…?お姉さまの事…」
「いや…それは…そのっ…」
お父様を問い詰めると、視線を泳がせ焦り始めた。
私はムッとした表情を見せ、机を勢いよく叩いた。
バンッ!と音が室内に響くと、お父様はビクッと大きく体を震わせた。
「お父様は知っていて私に黙っていたんですか…?酷いわっ…!!」
「いや…すまない、ラウラとはもう関わらない方がいいと思ったんだ…」
「お姉様、結婚するんですって…!」
「……結婚…?」
その言葉にお父様はきょとんとした顔を見せた。
(もしかして…結婚するのは知らなかった…?)
「すごく態度の悪い男だったわ…見た目だけは良かったけど…っ…」
「ラウラが…結婚…」
「許せないっ!私より先に結婚するなんて絶対に許せないっ!!お姉さまが幸せになるなんて許せないっ!!」
私は癇癪を起したように怒鳴り、叫んだ。
あんな地味で何の取り柄も無い女が私より先に幸せになるなんて許せなかった。
「レオナ…落ち着きなさい…」
「お父様、お姉さまの結婚をやめさせて…」
私は冷めた声でそう呟いた。
「は…?何を言うんだ…?もうラウラの事なんてどうだっていいだろう?レオナももうすぐ、イザーク殿下と…」
「お父様は私の言う事を聞いてくれないの…?そんな事無いわよね…?私の頼みなら何だって聞いてくれるって…いつも言ってくれてるものね…?」
私は笑顔で、甘えた声を出した。
「それに…、どうして最近何も買ってくれないの…?もう来週にはパーティーなのよ…?今日王都で素敵な装飾品のセットを見つけたの…!パーティーの時にあれを付けて行ったら、きっとイザーク殿下も褒めてくださるわ…、お父様ぁ…買ってくれるわよね?」
「……レオナ、済まない…、我が家には宝石を買うだけの資金はもう無いんだ…」
父は重い表情をしながら俯いていた。
「は…?どういうこと…?」
「レオナに婚約者を奪われたっていう令嬢達からの慰謝料を払わないといけなくなった…。この家の全財産をはたいても足りない金額だ…。足りない分はレオナに買ってやった宝飾品やドレスを差し押さえて強制的に支払われる事になるだろう…。もうこの家は終わりだ…」
私はその言葉に耳を疑った。
「うそよ…、だって…あれは男共に払わせるって言ってたじゃないっ!なんでうちが払わないといけないのっ?」
「……怒らせたのが有力公爵家の令嬢だったんだ…相手が悪すぎた…。それに、ラウラの結婚相手は恐らくアルフォンス・ルセック・ヴァレンシュタイン公爵だ」
「は…?誰よそれ…、聞いたこと無いわ…。公爵…、だからあんなに偉そうだったのね…」
「イザーク殿下の兄だよ、元は第二王子だ…」
私は再び驚き、言葉を失った。
「うそ…」
「……多分、間違いないだろう…。だからもうラウラに関わるのは止めなさい」
「……お姉さまったら…随分と上手く取り入ったのね…。でもお父様、まだチャンスはあるわ…。私絶対にイザーク殿下と婚約出来る様に頑張るから…!そしてイザーク殿下にお姉さまの本性を教えてあげるの…」
「そうだな、レオナがイザーク殿下と婚約出来さえすれば形勢逆転のチャンスかもしれん…」
お父様は私の言葉に耳を傾け、希望の目で私を見つめていた。
「任せて、お父様!私、男を落とすのは得意だから…。だから、装飾品…買って…?借金でも何でも取り合えずすればいいわ…、後で返せばいいだけだもの…、問題ないでしょ?」
「ああ、そうだな…そうしよう…!明日にでも借りられる所を探してみるよ」
「ふふっ、やっぱりお父様は頼れるお父様ねっ…!私そんなお父様が大好きよっ…」
ノックもせず勢い良く扉を開くと、お父様が座る机の前まで早歩きで移動した。
「お父様っ…!!」
「…レオナ、どうしたんだ?そんなに血相を変えて…」
お父様は私の態度を見て驚いている様子だった。
私は自分でもどうしようもない程、感情が高まっていた。
あんな幸せそうなお姉様を見たのだから当然だ。
高価そうなドレスを身にまとい、綺麗な装飾品を付けて…
隣には身なりのいい素敵な男もいた。
しかも私の前でイチャイチャと仲良さそうな所まで見せつけられた。
私は嫉妬心で煮えたぎる様な思いだった。
「王都で、お姉さまを見つけました!」
「……っ…!」
私がそう告げると、お父様は動揺している様子だった。
「もしかして…お父様は知っていたんですか…?お姉さまの事…」
「いや…それは…そのっ…」
お父様を問い詰めると、視線を泳がせ焦り始めた。
私はムッとした表情を見せ、机を勢いよく叩いた。
バンッ!と音が室内に響くと、お父様はビクッと大きく体を震わせた。
「お父様は知っていて私に黙っていたんですか…?酷いわっ…!!」
「いや…すまない、ラウラとはもう関わらない方がいいと思ったんだ…」
「お姉様、結婚するんですって…!」
「……結婚…?」
その言葉にお父様はきょとんとした顔を見せた。
(もしかして…結婚するのは知らなかった…?)
「すごく態度の悪い男だったわ…見た目だけは良かったけど…っ…」
「ラウラが…結婚…」
「許せないっ!私より先に結婚するなんて絶対に許せないっ!!お姉さまが幸せになるなんて許せないっ!!」
私は癇癪を起したように怒鳴り、叫んだ。
あんな地味で何の取り柄も無い女が私より先に幸せになるなんて許せなかった。
「レオナ…落ち着きなさい…」
「お父様、お姉さまの結婚をやめさせて…」
私は冷めた声でそう呟いた。
「は…?何を言うんだ…?もうラウラの事なんてどうだっていいだろう?レオナももうすぐ、イザーク殿下と…」
「お父様は私の言う事を聞いてくれないの…?そんな事無いわよね…?私の頼みなら何だって聞いてくれるって…いつも言ってくれてるものね…?」
私は笑顔で、甘えた声を出した。
「それに…、どうして最近何も買ってくれないの…?もう来週にはパーティーなのよ…?今日王都で素敵な装飾品のセットを見つけたの…!パーティーの時にあれを付けて行ったら、きっとイザーク殿下も褒めてくださるわ…、お父様ぁ…買ってくれるわよね?」
「……レオナ、済まない…、我が家には宝石を買うだけの資金はもう無いんだ…」
父は重い表情をしながら俯いていた。
「は…?どういうこと…?」
「レオナに婚約者を奪われたっていう令嬢達からの慰謝料を払わないといけなくなった…。この家の全財産をはたいても足りない金額だ…。足りない分はレオナに買ってやった宝飾品やドレスを差し押さえて強制的に支払われる事になるだろう…。もうこの家は終わりだ…」
私はその言葉に耳を疑った。
「うそよ…、だって…あれは男共に払わせるって言ってたじゃないっ!なんでうちが払わないといけないのっ?」
「……怒らせたのが有力公爵家の令嬢だったんだ…相手が悪すぎた…。それに、ラウラの結婚相手は恐らくアルフォンス・ルセック・ヴァレンシュタイン公爵だ」
「は…?誰よそれ…、聞いたこと無いわ…。公爵…、だからあんなに偉そうだったのね…」
「イザーク殿下の兄だよ、元は第二王子だ…」
私は再び驚き、言葉を失った。
「うそ…」
「……多分、間違いないだろう…。だからもうラウラに関わるのは止めなさい」
「……お姉さまったら…随分と上手く取り入ったのね…。でもお父様、まだチャンスはあるわ…。私絶対にイザーク殿下と婚約出来る様に頑張るから…!そしてイザーク殿下にお姉さまの本性を教えてあげるの…」
「そうだな、レオナがイザーク殿下と婚約出来さえすれば形勢逆転のチャンスかもしれん…」
お父様は私の言葉に耳を傾け、希望の目で私を見つめていた。
「任せて、お父様!私、男を落とすのは得意だから…。だから、装飾品…買って…?借金でも何でも取り合えずすればいいわ…、後で返せばいいだけだもの…、問題ないでしょ?」
「ああ、そうだな…そうしよう…!明日にでも借りられる所を探してみるよ」
「ふふっ、やっぱりお父様は頼れるお父様ねっ…!私そんなお父様が大好きよっ…」
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