9 / 46
9.突然の求婚
しおりを挟む
「もう本当に、あの男の事はいいのか…?」
「はいっ…。なんか婚約者がいるって聞いたら吹っ切れちゃいました。私ってあっさりし過ぎかな…」
私はへらっと表情を緩めながら答えていた。
心配そうな顔をしていたレオンも、次第にいつも通りの表情に戻っていた。
「良いんじゃないか?婚約者がいるのなら思っていても虚しいだけだしな」
「そうですよねっ!……でも、私を愛してくれる人なんてもう現れないかも…」
レオンの言葉に納得しながら、私は少し寂しそう苦笑した。
「安心しろ、少なくとも一人はいる」
「え?」
その声が聞こえると、私は顔を横に傾けた。
「誰もいなければ、俺が貰ってやるよ…」
「……っ…」
レオンは私の事を見つめながらさらりと答えた。
今のは冗談で言ったのだろうか、それとも私を励ますために気を遣ってそう言ってくれただけなのだろうか。
そう思っていても、私の頬は熱を持ち始め顔は赤く染まっていく。
「いや、違うな。いてもいなくても…俺が貰う、が正しいな」
「なっ…何を言うんですか?冗談ですか?びっくりさせないでくださいっ!」
私は動揺しきっていた。
急にレオンが変な事を言い出すのでどうしていいのか分からなくなった。
そして恥ずかしさを紛らわせるために持っているクレープをパクパクと食べ始めた。
(なんで私、こんなにもドキドキしているの…?)
「食べながら人の告白を受ける気か?それもニナらしくていいけどな…」
「……?」
「俺はニナが好きだ。ニナが前の恋人の事をずっと待っているのは知っていたから、この気持ちを伝えるつもりは無かった。だけど…状況が変わった。その男の事を忘れるというのであれば、俺は本気でニナが欲しいと思っている。俺はダメな人間だから、正直ニナの事を幸せに出来る自信はない…。だけど、ニナとだったら上手くいかなくても何度でもやり直せる気がする。なにより…ニナといると心が安らぐんだ。以前は今のままでもいいって思っていたけど、もう無理だ。誰かに奪われる前に、俺のものにしてしまいたい。ニナ、俺と結婚して欲しい…」
突然のレオンの言葉に私は驚き過ぎて固まってしまった。
(レオンさんが私の事を好き…?結婚して欲しいって……な…何っ…!?)
私の顔は次第に熱を帯びて真っ赤に染まっていく。
鼓動もバクバクとうるさい程に鳴り響き、私はただ驚いた顔でレオンを見つめていた。
「ま、待ってくださいっ…!急すぎませんかっ…」
私は声が出る様になると慌てる様に口を開いた。
レオンはその間もじっと私の事を見つめていて、冗談を言っている様には見えない。
(レオンさん…本気なの?)
「確かに急かもしれないな。でもニナの気持ちが変わる前に言っておきたかった…」
「気持ちが変わるって…?」
「元恋人に気持ちが戻るのも嫌だし、新しく現れた男に横から掻っ攫われるなんてなったら耐えられないからな」
「……っ…」
(レオンさんにこんなに思っていて貰えたなんて……どうしよう、すごく嬉しいかも…)
「はいっ…。なんか婚約者がいるって聞いたら吹っ切れちゃいました。私ってあっさりし過ぎかな…」
私はへらっと表情を緩めながら答えていた。
心配そうな顔をしていたレオンも、次第にいつも通りの表情に戻っていた。
「良いんじゃないか?婚約者がいるのなら思っていても虚しいだけだしな」
「そうですよねっ!……でも、私を愛してくれる人なんてもう現れないかも…」
レオンの言葉に納得しながら、私は少し寂しそう苦笑した。
「安心しろ、少なくとも一人はいる」
「え?」
その声が聞こえると、私は顔を横に傾けた。
「誰もいなければ、俺が貰ってやるよ…」
「……っ…」
レオンは私の事を見つめながらさらりと答えた。
今のは冗談で言ったのだろうか、それとも私を励ますために気を遣ってそう言ってくれただけなのだろうか。
そう思っていても、私の頬は熱を持ち始め顔は赤く染まっていく。
「いや、違うな。いてもいなくても…俺が貰う、が正しいな」
「なっ…何を言うんですか?冗談ですか?びっくりさせないでくださいっ!」
私は動揺しきっていた。
急にレオンが変な事を言い出すのでどうしていいのか分からなくなった。
そして恥ずかしさを紛らわせるために持っているクレープをパクパクと食べ始めた。
(なんで私、こんなにもドキドキしているの…?)
「食べながら人の告白を受ける気か?それもニナらしくていいけどな…」
「……?」
「俺はニナが好きだ。ニナが前の恋人の事をずっと待っているのは知っていたから、この気持ちを伝えるつもりは無かった。だけど…状況が変わった。その男の事を忘れるというのであれば、俺は本気でニナが欲しいと思っている。俺はダメな人間だから、正直ニナの事を幸せに出来る自信はない…。だけど、ニナとだったら上手くいかなくても何度でもやり直せる気がする。なにより…ニナといると心が安らぐんだ。以前は今のままでもいいって思っていたけど、もう無理だ。誰かに奪われる前に、俺のものにしてしまいたい。ニナ、俺と結婚して欲しい…」
突然のレオンの言葉に私は驚き過ぎて固まってしまった。
(レオンさんが私の事を好き…?結婚して欲しいって……な…何っ…!?)
私の顔は次第に熱を帯びて真っ赤に染まっていく。
鼓動もバクバクとうるさい程に鳴り響き、私はただ驚いた顔でレオンを見つめていた。
「ま、待ってくださいっ…!急すぎませんかっ…」
私は声が出る様になると慌てる様に口を開いた。
レオンはその間もじっと私の事を見つめていて、冗談を言っている様には見えない。
(レオンさん…本気なの?)
「確かに急かもしれないな。でもニナの気持ちが変わる前に言っておきたかった…」
「気持ちが変わるって…?」
「元恋人に気持ちが戻るのも嫌だし、新しく現れた男に横から掻っ攫われるなんてなったら耐えられないからな」
「……っ…」
(レオンさんにこんなに思っていて貰えたなんて……どうしよう、すごく嬉しいかも…)
0
お気に入りに追加
1,407
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
魔力なしと虐げられた令嬢は孤高の騎士団総長に甘やかされる
橋本彩里(Ayari)
恋愛
五歳で魔力なしと判定され魔力があって当たり前の貴族社会では恥ずかしいことだと蔑まれ、使用人のように扱われ物置部屋で生活をしていた伯爵家長女ミザリア。
十六歳になり、魔力なしの役立たずは出て行けと屋敷から追い出された。
途中騎士に助けられ、成り行きで王都騎士団寮、しかも総長のいる黒狼寮での家政婦として雇われることになった。
それぞれ訳ありの二人、総長とミザリアは周囲の助けもあってじわじわ距離が近づいていく。
命を狙われたり互いの事情やそれにまつわる事件が重なり、気づけば総長に過保護なほど甘やかされ溺愛され……。
孤高で寡黙な総長のまっすぐな甘やかしに溺れないようにとミザリアは今日も家政婦業に励みます!
※R15については暴力や血の出る表現が少々含まれますので保険としてつけています。
イケメン騎士の貞操を奪ったのは誰だ!ーイケメン嫌いな私と彼の密かな追いかけっこの行方
黎明まりあ
恋愛
王宮内で1番人気騎士、王太子付き近衛騎士のエドワード。
彼は、どんな美女が告白しようとも、絶対に落ちることのない「難攻不落の騎士」としても有名だった。
様々な女性が、彼に告白するも、彼の返事はいつも同じ。
「申し訳ない、将来を誓った者が既にいるので」
気難しいと有名な王太子にも信頼され、頭脳明晰、容姿端麗、誰とは明かされていないが愛する女性はただ一人。
今や城内において、彼の人気は止まるところを知らない。
そんなある日、彼について衝撃的なウワサが城内を駆け巡る。
「あのエドワード様が純潔を奪われて、傷心しているらしい」
「しかも、相手は逃げて分からない」
「誰よ!相手は!見つけてボコボコにしてやる」
日々ヒートアップするエドワードファンに怯えながら、心当たりがあるマーガレットの臆病心からのジタバタ逃亡記とハンターエドワードの甘やかな捕獲話です
追いかけるイケメン年下近衛騎士(エドワード:22) ×逃げる主人公(王宮務め刺繍担当 マーガレット:25 )
#書くのに行き詰まり、エタりそうだったので、旧題「遅れて守られる、幸せな約束」から改題、内容も改変しています
(旧題をお気に入り登録していただいた方、大変申し訳ありません)
#ストックなしで書いているため、見直して不自然な表現は、随時修正します
#設定上、暴力、差別表現は、予告なしで入ります
#18シーンにはタイトルに※入れます
#ムーンライトノベルズさんにも掲載しています
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
冷徹御曹司と極上の一夜に溺れたら愛を孕みました
せいとも
恋愛
旧題:運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜
神楽坂グループ傘下『田崎ホールディングス』の創業50周年パーティーが開催された。
舞台で挨拶するのは、専務の田崎悠太だ。
専務の秘書で彼女の月島さくらは、会場で挨拶を聞いていた。
そこで、今の瞬間まで彼氏だと思っていた悠太の口から、別の女性との婚約が発表された。
さくらは、訳が分からずショックを受け会場を後にする。
その様子を見ていたのが、神楽坂グループの御曹司で、社長の怜だった。
海外出張から一時帰国して、パーティーに出席していたのだ。
会場から出たさくらを追いかけ、忘れさせてやると一夜の関係をもつ。
一生をさくらと共にしようと考えていた怜と、怜とは一夜の関係だと割り切り前に進むさくらとの、長い長いすれ違いが始まる。
再会の日は……。
【完結】一夜の関係を結んだ相手の正体はスパダリヤクザでした~甘い執着で離してくれません!~
中山紡希
恋愛
ある出来事をキッカケに出会った容姿端麗な男の魅力に抗えず、一夜の関係を結んだ萌音。
翌朝目を覚ますと「俺の嫁になれ」と言い寄られる。
けれど、その上半身には昨晩は気付かなかった刺青が彫られていて……。
「久我組の若頭だ」
一夜の関係を結んだ相手は……ヤクザでした。
※R18
※性的描写ありますのでご注意ください
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる