素直になれない令嬢は幼馴染の重すぎる愛から逃げられない?【R18】

Rila

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第一章

44.悪巧み

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「君と話すのもきっとこれで最後になるはずだから、少し私の話を聞いてくれないか?君には本当に酷い事をしてしまったと後悔しているんだ…」
セストは身振り手振りを使いそんな事を言って来るが、私の心にはちっとも響かなかった。

(この人…一体何を考えているの…?絶対謝る気なんて無いわね…)


「私、ジェラルド達を待たせているので失礼します…」
「……待って…」
私は頭を軽く下げて立ち去ろうとすると突然腕を掴まれた。

「いやっ、離して……!」
「全く、うるさい女だ。ジェラルドがどうしてこんな女を気に入っているのか理解に苦しむな…」
私が抵抗すると、セストは面倒くさそうにチッと舌打ちし本性を露わにした。

「うるさくて悪かったわねっ!」
その言葉に苛立った私は、きつくセストを睨みつけた。
するとセストは口端を上げて薄笑みを浮かべ、それが不気味に見えて仕方なかった。

セストは突然掴んでいる手をぱっと手放した。

「……?」
私はセストが何を考えているのか分からなかったが、手が解放されると慌てて距離を取った。


「安心していい。何もしないさ…。あいつの大事な君に手を出したら、本気で殺されそうだからな…」
「……何を考えてるの…?」
セストの顔を見れば何かを企んでいるのは一目瞭然だった。

(この男が…なにもしないまま去るとは思えない。それにあの嫌な顔…絶対何か企んでるに違いないわ…)

「別に…。ジェラルドには悪い事をしたと思っているから…私なりの方法で、謝ろうと思って…ね」
「……謝る?」
この男の口からそんな言葉で出て来るとは思っていなかった為、私は怪訝そうに眉を顰めた。

「君にもそのうち分かるはずだよ…。それじゃあ私はこの辺で失礼するよ…」
セストは意味深な言葉を残して、そのままあっさりと去って行ってしまった。

(一体…何なの…?)

私はセストに呼び止められたせいで少し時間を食ってしまい、急いで二人のいる部屋へと戻ることにした。
だけど私が戻ると、そこに二人の姿は無かった。

「あの…すいません、ここにいた二人はどちらに…?」
私はこの部屋にいる執事の方へと駆け寄ると、声を掛けた。

「ジェラルド殿下と、ご友人のロラン様は話があるとかで、ジェラルド殿下の自室に向かわれました。シャルロッテ様が戻られたらこちらで待っている様にと言付かっております」

二人での話とはなんの事だろう。
私は一刻も早く、セストが何か良からぬことを企んでいるとジェラルドに伝えたかったが、いないのであれば待つしかなかった。

私は二人が戻って来るまで、中央に置かれているソファーに座り待つことにした。
すると執事がお茶の準備をしてくれて、温かいものを喉に通すと少しだけ気持ちは落ち着いたが、焦った気持ちは完全には消えそうも無かった。

(何の話をしているんだろう…。二人で話すなんて…私には聞かれたくない事なのかな…?)

それから暫く待っているが、二人は中々戻って来ない。
私はチラチラと時計を眺めはじめ、落ち着きがなさそうな態度を見せてしまう。

(どうしたんだろう……もう三十分も過ぎてる…。さすがに…遅すぎだよね…)


我慢しきれなくなった私はソファーから立ち上がった。


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