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94.糾弾に向けて
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あれから暫く時間は経過しているが、ニコルは一向に戻ってくる気配がない。
私はそわそわとした態度で、先程から扉の方ばかり気にしていた。
(戻ってこない。どうして周りはニコルが出て行くのを止めなかったの?)
「あの」
我慢の限界を感じた私は、傍にいる使用人に声をかけた。
「アリーセ様、どうなさいましたか?」
「貴女はずっとこの部屋にいたのよね?」
「はい、アリーセ様が来られる前から待機しておりましたが」
「ニコルが、私の妹がどこに行ったか聞いてない?」
私が問いかけると、使用人は急に焦ったように瞳を泳がせ始めた。
そして、奥にいる従者に助けを求めるような視線を送っている。
(間違いなく何か知っていそうね。だけど、私に隠す理由なんてあるのかしら)
「居場所を知っていたら教えて」
「そ、それは……あの……」
私は厳しい口調で再度問い詰めた。
決して使用人を責めたいわけではない。
ただ早くニコルの行方が知りたくて、思わず強めの声を上げてしまった。
その様子を見ていた従者は、こちらに近づいてくる。
「アリー、そのことなんだが……」
「プラーム伯爵」
使用人が口籠もってしまったので、前に座っている父が口を開こうとすると、従者によって声は遮られた。
(何? 私には聞かれたらまずいことなの?)
「お父様、ニコルは一体どうなっているんですか?」
「……それは」
従者に鋭い視線を向けられている父は口を閉ざしてしまう。
私は何かを隠そうとしている従者を睨み付けた。
「知っていることがあるのなら、教えて。ニコルに何かあったの?」
「ヴィム殿下より、アリーセ様には伝えるなと言われております」
「は? なんで?」
「貴方様を危険に晒さないためです」
私が眉間に皺を寄せて考えていると、従者は当然のように答えた。
「それは言い換えれば、ニコルは危険な状態にいるってことよね?」
「…………」
私の問いかけに従者は表情を変えず黙ったままだ。
(否定するつもりはないのね……)
恐らくこの者達はヴィムの言葉に従っているだけだ。
私がいくら問い詰めても、何も答えてはくれないだろう。
一切顔色を変えない所から、はっきりとそれが分かった。
それならと、私は席を立ち上がり父の隣へと移動した。
「お父様、教えてください! ニコルに危険が近づいているのなら、早くなんとかしないと!」
「……いや、危険と言われたらそうかもしれないが、さすがにルシアノ殿もニコルに手を上げたりはしないはずだ」
「ちょっと待って。ニコルは、ルシの所にいるの?」
「……それは」
父は私から視線を逸らすと、俯き小さく呟いた。
その素振りを見た瞬間、間違っていないのだと気付いた。
この中にいる者達は皆それを知っていた。
知らないのは私だけだった様だ。
そう思うと、胸の奥が沸き立つように熱くなっていく。
「そう、なのね」
私は納得するように呟くと、勢い良く席を立ち上がった。
その様子に気付いた父は、慌てるように私に向けて手を伸ばした。
「アリー、待ちなさい。一体どこに行くつもり……っ!?」
私の手に触れようとした瞬間、バチッと電気が走るような音が響いた。
(また、静電気? さっきヴィムといた時は何にも無かったのに)
私は試しにもう一度父に触れようとすると、再びバチッと衝撃音が響く。
「……くっ、これは一体なんなんだ」
私には一切衝撃は伝わって来ないが、父には少なからずダメージが送られているようだった。
今までの出来事を思い返してみた。
そしてヴィムとツェーザルの意味深な会話が頭の奥に浮かんだ。
(あの握手の時、ヴィムは何か知っているようだったわ。もしかして、あの時……?)
私はペンダントに触れた。
恐らくあの時だ。
『まじないをかけた』とヴィムが言った時に、何かの魔術をかけたのだろう。
今の私はヴィム以外に触れることは出来ない。
(それなら、ニコルを助けに行けるかもしれないわ!)
「多分これはヴィムが私にかけてくれた魔術が原因だと思います。これならルシも私には触れないはず。私、ニコルを助けに行きますっ!」
「アリー、何を言っているんだ? そんなの、認めることなんて出来ない!」
「お父様は娘が危険な目に遭っているのに、何をしないでただ待っているつもりですか? ニコルに何かあっても平気なんですか?」
「そんなことはないっ! 私だって心配だ。だけどこれはニコルの願いでもあるんだ……」
父は掌をきつく握りしめ、苦しそうに表情を歪めて話始めた。
「ニコルは自分がしたことで、ルシアノ殿を破滅させてしまったと思い込んでいるようだ。それでヴィム殿下に頭を下げて頼み込んだんだ。自分がルシアノ殿を説得させて、穏便に事を済ませると。上手くいったらルシアノ殿の刑を少しでも軽くして、残りの罰は全てニコルが受けると……」
「そんな……。まさか、お父様はそれを受け入れたんですか!?」
私は驚きで声が震えてしまう。
「私だって、出来ることならそんな馬鹿げた提案は止めたかった。だけど、あんなにも必死に頼み込むニコルの姿を見せられたら、何も言えなかった……。きっとニコルは私達が思っている以上に、自分を責めているのかもしれない……」
確かにニコルは強引に自分の気持ちをルシアノに伝えたのかもしれない。
だけどそれを受け入れたのはルシアノ自身だ。
ルシアノが選んだ結果、このような状況になっているのだから、ニコルだけのせいではないはずだ。
こんなにも思ってくれるニコルの事をルシアノは簡単に切り捨てた。
今回の事は、ルシアノが勝手に人で暴走しているだけだ。
決してニコルの所為では無い。
そんな責任までニコルが負うなんて、そんなの納得なんて出来ない。
(これ以上ルシなんかのために、ニコルを傷つけさせないっ!)
このような事をヴィムが受け入れたのにも疑問が残る。
どうしてこんなにも回りくどいことばかりしているのだろう、と。
バルティス側が協力してくれているのなら、もっと簡単に対処出来る方法があったはずだ。
それをしないって事は、何かヴィムなりに考えがあるのかもしれない。
(私にかけてくれた、このおまじない。なんか出来過ぎているような気がする。もしかして、こうなることを最初から予測していた、……とか?)
さすがにそれは考え過ぎなのかもしれない。
私がこんな事を考えている間にも、ニコルは窮地に陥っているはずだ。
今はニコルを助けに行くことが最優先事項だ。
「私、ニコルを助けに行きます。お父様も来たければどうぞ。そこの従者さん達も、一緒に来てくれますよね?」
先程の動揺から一転して、私の口調は落ち着いていた。
「貴女の護衛が私達にとっては最優先ですので」
「いいのか……?」
従者達は表情を変えることなく答えていたが、父だけはまだ驚いた顔をしていた。
「お父様、私に触れない以上、止めるなんて無理です」
「…………」
私が乾いた笑みを漏らすと、父はきょとんとした顔をしていた。
(なんだかヴィムにしてやられた気分だわ。私に文句を言う機会を与えてくれたってことなのかな……)
***
私達はすぐに部屋を出ると、元いた部屋の扉を勢い良く開いた。
当然鍵なんてかけられてはいなかったので簡単に開いた。
バンッ! と激しい音と同時に、視界に室内の様子が飛び込んでくる。
私の視線の先には、驚いた顔でこちらを見ているルシアノと、目を真っ赤に腫らしているニコルの姿があった。
「……アリー?」
ルシアノは幽霊でも見るかのようにこちらを向いていた。
それも当然の事と言える。
目の前には私と同じドレスを着ている人間がいるのだから。
ルシアノの瞳には私が二人いると見えているのだろう。
(まだあの子が私だって気付いていないってことは、何もされていないってことよね。良かった……)
そう思うと少しだけ緊張が解れた。
「お姉様、どうしてこちらに……。お父様まで」
「私達はニコルを助けに来たの。そんなどうしようもない男のために、自ら犠牲になる必要なんてないわ」
私はつかつかと奥に進み、ニコルの前に立つと「もう大丈夫だから」と小さく呟いた。
その瞬間ニコルの目からは大粒の涙が零れ始めた。
私は触れることが出来なかったが、すぐに父がニコルを抱きしめていた。
「ニコル、済まなかった。こんなこと止めるべきだった。怖かったよな」
「ううっ、お父様っ……」
ニコルは父に抱きしめられながら、泣きじゃくっていた。
私はニコルの無事を確認出来てほっとすると、今度はルシアノに冷たい視線を送った。
目の前にいる男は、私の知っているルシアノではない。
優しかったあの頃の、思い出の中のルシアノはもういない。
私の前に立つ男は、妹を傷付け、自分勝手な行動を繰り返す、どうしようもないクズだ。
「一体、どうなってるんだ。アリーが二人……?」
「そこに座ってるのは私の身代わりよ。最初からルシがここに来ることは分かっていたから」
私が淡々とした口調で呟くと、ルシアノは未だにこの状況が飲み込めないまま固まっていた。
「……!?」
「その上で私達は動いてたってことよ。これは罠。ルシは見事にその罠に嵌まったの」
私はそわそわとした態度で、先程から扉の方ばかり気にしていた。
(戻ってこない。どうして周りはニコルが出て行くのを止めなかったの?)
「あの」
我慢の限界を感じた私は、傍にいる使用人に声をかけた。
「アリーセ様、どうなさいましたか?」
「貴女はずっとこの部屋にいたのよね?」
「はい、アリーセ様が来られる前から待機しておりましたが」
「ニコルが、私の妹がどこに行ったか聞いてない?」
私が問いかけると、使用人は急に焦ったように瞳を泳がせ始めた。
そして、奥にいる従者に助けを求めるような視線を送っている。
(間違いなく何か知っていそうね。だけど、私に隠す理由なんてあるのかしら)
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「そ、それは……あの……」
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決して使用人を責めたいわけではない。
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「お父様、ニコルは一体どうなっているんですか?」
「……それは」
従者に鋭い視線を向けられている父は口を閉ざしてしまう。
私は何かを隠そうとしている従者を睨み付けた。
「知っていることがあるのなら、教えて。ニコルに何かあったの?」
「ヴィム殿下より、アリーセ様には伝えるなと言われております」
「は? なんで?」
「貴方様を危険に晒さないためです」
私が眉間に皺を寄せて考えていると、従者は当然のように答えた。
「それは言い換えれば、ニコルは危険な状態にいるってことよね?」
「…………」
私の問いかけに従者は表情を変えず黙ったままだ。
(否定するつもりはないのね……)
恐らくこの者達はヴィムの言葉に従っているだけだ。
私がいくら問い詰めても、何も答えてはくれないだろう。
一切顔色を変えない所から、はっきりとそれが分かった。
それならと、私は席を立ち上がり父の隣へと移動した。
「お父様、教えてください! ニコルに危険が近づいているのなら、早くなんとかしないと!」
「……いや、危険と言われたらそうかもしれないが、さすがにルシアノ殿もニコルに手を上げたりはしないはずだ」
「ちょっと待って。ニコルは、ルシの所にいるの?」
「……それは」
父は私から視線を逸らすと、俯き小さく呟いた。
その素振りを見た瞬間、間違っていないのだと気付いた。
この中にいる者達は皆それを知っていた。
知らないのは私だけだった様だ。
そう思うと、胸の奥が沸き立つように熱くなっていく。
「そう、なのね」
私は納得するように呟くと、勢い良く席を立ち上がった。
その様子に気付いた父は、慌てるように私に向けて手を伸ばした。
「アリー、待ちなさい。一体どこに行くつもり……っ!?」
私の手に触れようとした瞬間、バチッと電気が走るような音が響いた。
(また、静電気? さっきヴィムといた時は何にも無かったのに)
私は試しにもう一度父に触れようとすると、再びバチッと衝撃音が響く。
「……くっ、これは一体なんなんだ」
私には一切衝撃は伝わって来ないが、父には少なからずダメージが送られているようだった。
今までの出来事を思い返してみた。
そしてヴィムとツェーザルの意味深な会話が頭の奥に浮かんだ。
(あの握手の時、ヴィムは何か知っているようだったわ。もしかして、あの時……?)
私はペンダントに触れた。
恐らくあの時だ。
『まじないをかけた』とヴィムが言った時に、何かの魔術をかけたのだろう。
今の私はヴィム以外に触れることは出来ない。
(それなら、ニコルを助けに行けるかもしれないわ!)
「多分これはヴィムが私にかけてくれた魔術が原因だと思います。これならルシも私には触れないはず。私、ニコルを助けに行きますっ!」
「アリー、何を言っているんだ? そんなの、認めることなんて出来ない!」
「お父様は娘が危険な目に遭っているのに、何をしないでただ待っているつもりですか? ニコルに何かあっても平気なんですか?」
「そんなことはないっ! 私だって心配だ。だけどこれはニコルの願いでもあるんだ……」
父は掌をきつく握りしめ、苦しそうに表情を歪めて話始めた。
「ニコルは自分がしたことで、ルシアノ殿を破滅させてしまったと思い込んでいるようだ。それでヴィム殿下に頭を下げて頼み込んだんだ。自分がルシアノ殿を説得させて、穏便に事を済ませると。上手くいったらルシアノ殿の刑を少しでも軽くして、残りの罰は全てニコルが受けると……」
「そんな……。まさか、お父様はそれを受け入れたんですか!?」
私は驚きで声が震えてしまう。
「私だって、出来ることならそんな馬鹿げた提案は止めたかった。だけど、あんなにも必死に頼み込むニコルの姿を見せられたら、何も言えなかった……。きっとニコルは私達が思っている以上に、自分を責めているのかもしれない……」
確かにニコルは強引に自分の気持ちをルシアノに伝えたのかもしれない。
だけどそれを受け入れたのはルシアノ自身だ。
ルシアノが選んだ結果、このような状況になっているのだから、ニコルだけのせいではないはずだ。
こんなにも思ってくれるニコルの事をルシアノは簡単に切り捨てた。
今回の事は、ルシアノが勝手に人で暴走しているだけだ。
決してニコルの所為では無い。
そんな責任までニコルが負うなんて、そんなの納得なんて出来ない。
(これ以上ルシなんかのために、ニコルを傷つけさせないっ!)
このような事をヴィムが受け入れたのにも疑問が残る。
どうしてこんなにも回りくどいことばかりしているのだろう、と。
バルティス側が協力してくれているのなら、もっと簡単に対処出来る方法があったはずだ。
それをしないって事は、何かヴィムなりに考えがあるのかもしれない。
(私にかけてくれた、このおまじない。なんか出来過ぎているような気がする。もしかして、こうなることを最初から予測していた、……とか?)
さすがにそれは考え過ぎなのかもしれない。
私がこんな事を考えている間にも、ニコルは窮地に陥っているはずだ。
今はニコルを助けに行くことが最優先事項だ。
「私、ニコルを助けに行きます。お父様も来たければどうぞ。そこの従者さん達も、一緒に来てくれますよね?」
先程の動揺から一転して、私の口調は落ち着いていた。
「貴女の護衛が私達にとっては最優先ですので」
「いいのか……?」
従者達は表情を変えることなく答えていたが、父だけはまだ驚いた顔をしていた。
「お父様、私に触れない以上、止めるなんて無理です」
「…………」
私が乾いた笑みを漏らすと、父はきょとんとした顔をしていた。
(なんだかヴィムにしてやられた気分だわ。私に文句を言う機会を与えてくれたってことなのかな……)
***
私達はすぐに部屋を出ると、元いた部屋の扉を勢い良く開いた。
当然鍵なんてかけられてはいなかったので簡単に開いた。
バンッ! と激しい音と同時に、視界に室内の様子が飛び込んでくる。
私の視線の先には、驚いた顔でこちらを見ているルシアノと、目を真っ赤に腫らしているニコルの姿があった。
「……アリー?」
ルシアノは幽霊でも見るかのようにこちらを向いていた。
それも当然の事と言える。
目の前には私と同じドレスを着ている人間がいるのだから。
ルシアノの瞳には私が二人いると見えているのだろう。
(まだあの子が私だって気付いていないってことは、何もされていないってことよね。良かった……)
そう思うと少しだけ緊張が解れた。
「お姉様、どうしてこちらに……。お父様まで」
「私達はニコルを助けに来たの。そんなどうしようもない男のために、自ら犠牲になる必要なんてないわ」
私はつかつかと奥に進み、ニコルの前に立つと「もう大丈夫だから」と小さく呟いた。
その瞬間ニコルの目からは大粒の涙が零れ始めた。
私は触れることが出来なかったが、すぐに父がニコルを抱きしめていた。
「ニコル、済まなかった。こんなこと止めるべきだった。怖かったよな」
「ううっ、お父様っ……」
ニコルは父に抱きしめられながら、泣きじゃくっていた。
私はニコルの無事を確認出来てほっとすると、今度はルシアノに冷たい視線を送った。
目の前にいる男は、私の知っているルシアノではない。
優しかったあの頃の、思い出の中のルシアノはもういない。
私の前に立つ男は、妹を傷付け、自分勝手な行動を繰り返す、どうしようもないクズだ。
「一体、どうなってるんだ。アリーが二人……?」
「そこに座ってるのは私の身代わりよ。最初からルシがここに来ることは分かっていたから」
私が淡々とした口調で呟くと、ルシアノは未だにこの状況が飲み込めないまま固まっていた。
「……!?」
「その上で私達は動いてたってことよ。これは罠。ルシは見事にその罠に嵌まったの」
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