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第一章:聖女から冒険者へ
51.ジースの街②
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「じゃあ、今日はイザナにくっついてる」
私が恥ずかしそうにもじもじしながら答えると、イザナは優しい顔で微笑んでいた。
イザナと夫婦らしく接する耐性は付いて来ているとは思うけど、人前だと周りの目がどうしても気になり変に緊張してしまう。
慣れるまでには、まだ時間がかかりそうだ。
その後少し街を歩いていると、開店しているお店を見つけ中に入ることにした。
***
お店の中には大きな暖炉があり、室内がとても暖かくなっていて私は思わず顔を綻ばせていた。
店内は木目調で作られた建物で温かみを感じる、とても雰囲気の良いお店だった。
「ルナ、ここに座ろうか」
「うんっ」
イザナの言葉に促されて席に座ると、メニュー表を眺めていた。
(どれも知らない名前の料理ばっかだ。温かいものが食べたいけど、辛くないのが良いな……)
私がメニュー表と睨めっこしていると、そんな様子を眺めていたイザナと目が合った。
「すごく真剣に悩んでいるみたいだけど、メニューを見ても分からないんじゃない? 私がルナが好きそうな料理を頼んであげるよ」
「……っ、ありがとう。見た事ない名前ばっかで、良く分かんなかったんだ」
イザナに任せれば間違いないと分かっていたので、私はほっとしていた。
最初から聞けば良いんだろうけど、どんな料理があるのか見てみたかった。
結局見ても文字しか書かれていないので、どんなものか良く分からなかった訳だけど。
その後イザナが料理をいくつか注文してくれた。
店内には数人の客がいて、見た感じ冒険者風の服装を着ていた。
(そういえば、街中でも結構冒険者風の格好の人多かったな……)
「ねえ、イザナ。この街にもギルドってあるの?」
「うん、あるよ。ジースは結構大きい街だし、冒険者も多く訪れるからね。特に魔術師に特化した者が多くて、昨日ルナが会ったフィル・バーレのように有名な魔術師が訪れる事もあるし、S級冒険者がいる事も珍しくないよ。だから、依頼内容も結構難易度が高いものが用意されているはずだよ」
(ここってそんなすごい人達がいっぱい来るんだ。さすが聖地ってだけあるな……)
「そうなんだ。じゃあ、この辺の魔物って強い敵が多いの?」
「うーん、そうだね。場所にも寄るかな。上位ランク向けの討伐依頼は、場所が離れていたりすることはザラだし。この地方という訳じゃなくて、ここに上位ランクの冒険者が多く集まるから、誰も受けられない依頼が回って来るって考えた方がいいかもしれないね。この辺の敵はシーライズと比べたら大分強いとは思うけど、ルナの実力なら問題ないんじゃないかな」
私はこの前やっと初心者ランクのFからEに上がったばかりだ。
簡単な依頼をいくら受けても、中々ランクが上がらないことは理解している。
イザナの話を聞く限り、この辺の敵は強いようなので依頼を受けたらきっとまたランクアップが出来るかもしれない。
イザナもゼロもSランクなので、私も早く二人に追いつきたかった。
勿論、聖女としてではなく、一冒険者として。
「後でギルドに寄ってみようか。依頼は受けないにしても、雰囲気だけ覗いて見るのもいいかもしれないからね。受けるのはゼロがいる時にしようか」
「うんっ」
そんな話をしていると、テーブルの上に料理が運ばれてきた。
私の目の前に置かれたのは蜂蜜がたっぷりかかった、ふわふわのパンケーキで、端にはフルーツとクリームが添えられている。
そしてホットドリンクは、柑橘系の爽やかな匂いが漂っていた。
「うわぁ、おいしそうっ……」
「ルナなら絶対にそれかなって思って頼んだけど、その反応を見る限り間違いなかったようだね」
私が嬉しそうに顔を綻ばせていると、イザナは満足そうにその様子を眺めていた。
ちなみに彼はホットコーヒーと、焼き立てのパンとスープが付いた朝食メニューを選んでいた。
「うんっ! イザナ、ありがとう」
私が恥ずかしそうにもじもじしながら答えると、イザナは優しい顔で微笑んでいた。
イザナと夫婦らしく接する耐性は付いて来ているとは思うけど、人前だと周りの目がどうしても気になり変に緊張してしまう。
慣れるまでには、まだ時間がかかりそうだ。
その後少し街を歩いていると、開店しているお店を見つけ中に入ることにした。
***
お店の中には大きな暖炉があり、室内がとても暖かくなっていて私は思わず顔を綻ばせていた。
店内は木目調で作られた建物で温かみを感じる、とても雰囲気の良いお店だった。
「ルナ、ここに座ろうか」
「うんっ」
イザナの言葉に促されて席に座ると、メニュー表を眺めていた。
(どれも知らない名前の料理ばっかだ。温かいものが食べたいけど、辛くないのが良いな……)
私がメニュー表と睨めっこしていると、そんな様子を眺めていたイザナと目が合った。
「すごく真剣に悩んでいるみたいだけど、メニューを見ても分からないんじゃない? 私がルナが好きそうな料理を頼んであげるよ」
「……っ、ありがとう。見た事ない名前ばっかで、良く分かんなかったんだ」
イザナに任せれば間違いないと分かっていたので、私はほっとしていた。
最初から聞けば良いんだろうけど、どんな料理があるのか見てみたかった。
結局見ても文字しか書かれていないので、どんなものか良く分からなかった訳だけど。
その後イザナが料理をいくつか注文してくれた。
店内には数人の客がいて、見た感じ冒険者風の服装を着ていた。
(そういえば、街中でも結構冒険者風の格好の人多かったな……)
「ねえ、イザナ。この街にもギルドってあるの?」
「うん、あるよ。ジースは結構大きい街だし、冒険者も多く訪れるからね。特に魔術師に特化した者が多くて、昨日ルナが会ったフィル・バーレのように有名な魔術師が訪れる事もあるし、S級冒険者がいる事も珍しくないよ。だから、依頼内容も結構難易度が高いものが用意されているはずだよ」
(ここってそんなすごい人達がいっぱい来るんだ。さすが聖地ってだけあるな……)
「そうなんだ。じゃあ、この辺の魔物って強い敵が多いの?」
「うーん、そうだね。場所にも寄るかな。上位ランク向けの討伐依頼は、場所が離れていたりすることはザラだし。この地方という訳じゃなくて、ここに上位ランクの冒険者が多く集まるから、誰も受けられない依頼が回って来るって考えた方がいいかもしれないね。この辺の敵はシーライズと比べたら大分強いとは思うけど、ルナの実力なら問題ないんじゃないかな」
私はこの前やっと初心者ランクのFからEに上がったばかりだ。
簡単な依頼をいくら受けても、中々ランクが上がらないことは理解している。
イザナの話を聞く限り、この辺の敵は強いようなので依頼を受けたらきっとまたランクアップが出来るかもしれない。
イザナもゼロもSランクなので、私も早く二人に追いつきたかった。
勿論、聖女としてではなく、一冒険者として。
「後でギルドに寄ってみようか。依頼は受けないにしても、雰囲気だけ覗いて見るのもいいかもしれないからね。受けるのはゼロがいる時にしようか」
「うんっ」
そんな話をしていると、テーブルの上に料理が運ばれてきた。
私の目の前に置かれたのは蜂蜜がたっぷりかかった、ふわふわのパンケーキで、端にはフルーツとクリームが添えられている。
そしてホットドリンクは、柑橘系の爽やかな匂いが漂っていた。
「うわぁ、おいしそうっ……」
「ルナなら絶対にそれかなって思って頼んだけど、その反応を見る限り間違いなかったようだね」
私が嬉しそうに顔を綻ばせていると、イザナは満足そうにその様子を眺めていた。
ちなみに彼はホットコーヒーと、焼き立てのパンとスープが付いた朝食メニューを選んでいた。
「うんっ! イザナ、ありがとう」
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