41 / 68
第一章:聖女から冒険者へ
40.二人きりの時間
しおりを挟む
私達は入り口まで戻って来ると、約束の時間まではまだ大分あったので、端にある休憩スペースで少し休むことにした。
古そうな木製の長椅子と机が等間隔で並べられていて、一番端の席へと移動して並ぶように腰掛けた。
周囲を見渡して見るがこの辺りには誰の姿も無く、イザナと二人きりなことになんだかドキドキしてきてしまう。
きっと私は変に意識し過ぎているのだろう。
(なんで私、こんなにもドキドキしてるの……)
私は直ぐに顔に出てしまうタイプなので、彼に悟られないように顔を正面に向けて視線を合わせないようにしていた。
「ルナ、疲れたんじゃないか? ここは案外広いからな」
「ううん、大丈夫だよ。来てからそんなに経ってないし。それにフィルが直ぐに案内してくれたから……」
私は正面を向いたまま表情だけを緩めて答えると、イザナは顔を傾けてこちらを覗き込む様に見つめて来た。
突然彼との距離が縮まり、私の鼓動がバクバクと激しく揺れ始める。
(そんなに顔を近づけて来ないでっ……)
「こちらを向かないのはどうしてか、聞いてもいい?」
「な、なんでもないよっ!」
私は慌てていることもあり、明らかに早口で答えてしまう。
するとイザナは僅かに目を細めた。
「あのフィルって男に何かされたのか? 随分親しそうに見えたけど」
「え? なにかって……。親切にして貰っただけだよ! もしかして、嫉妬とかしてる?」
私は動揺しているせいか変に焦ってしまい、普段言わないような冗談を口にしてしまう。
しかし、言った直後に自分の発言が恥ずかしくなり「今のは無し! 間違えた!」と慌てるように訂正した。
(何言ってるの、私。恥ずかしいっ、もうやだ……)
「間違ってないかもな」
「え……?」
「嫉妬しているよ」
「……っ」
イザナは私の瞳を真直ぐに見つめながら、静かにそう答えた。
そんなことを言われても私は何て答えて良いのか分からないし、徐々に頬が熱くなっていくのだけは感じていた。
「私はルナのことをいつだって独占したいと思っているからね」
「わ、私だってそうだよっ! イザナだって、ソフィアさんとばっかりいるくせにっ!」
彼の言葉を聞き、私は咄嗟にそんな事を口走ってしまった。
きっと恥ずかしくなって、思っていることがそのまま口に出てしまったのだろう。
しかし直ぐにハッと我に返ると、戸惑った表情で「今のは違う……」とまた弱弱しく訂正した。
(もうやだ。なんで今日はこんなことばかり言っちゃったんだろう。イザナのこと、困らせたくないのに……)
嫉妬深い女だと思われて、嫌われるのが怖かった。
ティアラの時もそうだ。
本当は気になって気になって仕方が無かったのに、二人の関係を聞くことも、会わないでって言うことも中々口に出せなかった。
私は本当に臆病者で小心者だ。
そんな自分が時折、本気で嫌になる。
「ソフィアのこと、やっぱり気にしていたのか。私はルナのことを不安にさせてばかりだな。ごめん……。だけどルナが不安に思うような関係では無いよ。後でそのことも含めて話そうと思っているけど、ソフィアはダクネス法国の魔法省の下で働く調査員なんだ。詳しい事はここでは話せないけど、私はダクネス法国の動向を探るためにソフィアから情報を貰っていた。だから個人的な理由で会っていたわけではないよ」
ゼロから国絡みの事だと事情はなんとなく聞かされていたので、そこまでは驚かなかった。
そして、彼の口から誤解であると聞けたことで、私の中にあった不安は少しづつ薄れていく。
はっきりとソフィアとの関係を否定してくれたことが、きっと私は嬉しかったのだと思う。
(イザナのこと信じてるのに、どうしてこんなに不安になるんだろう。それだけ好きってことなのかな……)
なんとなくだが、そんな気がする。
「……うん。ゼロから少し話を聞いていたから、そうなんだろうなとは思っていたけど。ソフィアさんって私の知らないイザナをいっぱい知ってるから、なんか不安になっちゃって……」
私は自分の掌をぎゅっと握りしめて話を続けた。
「今日だって、本当はゼロには行くのはやめておいたほうがいいって言われたのに、私……我慢出来なくて。私がイザナに会いたくて、ゼロにお願いして来たの」
私が申し訳なさそうに答えると、イザナは優しく微笑み、私の体を包み込むように抱きしめてくれた。
その温もりに安心感を覚えてほっとしたのは束の間で、ここがどこなのか思い出すと私は慌てて離れようとした。
「イザナ! ここ、人が来るかもっ!」
「誰もいないよ」
私は離れようとするが、イザナは私のことを解放する気がなさそうだ。
抵抗しようとすると、抱きしめる力が強くなった気がした。
そんな態度を取られて、更に私の鼓動は早まっていく。
「で、でもっ……」
「ルナは本当に恥ずかしがりだね」
イザナはどこか楽しそうに呟いていた。
「結局、今回もまたルナのことを不安にさせてしまったな。私は本当に駄目な夫だ。一番大切なものをいつも悲しませてばかりいるのだから……、ごめん」
「ううん、謝らないで! イザナの理由も分かっているから、私のことなら気にしないで大丈夫だよ。今こうやって傍にいてくれるし、もうこれだけで十分過ぎるよ! それに一昨日は付きっ切りで看病だってしてくれたし。嬉しかった……。イザナは私にとって、すごく優しくて頼りになる……だん、……っ、旦那様ですっ!」
私は半ば興奮気味に答えていた。
変に誤解をされるのは嫌だったし、何度も謝られていると私の方こそ申し訳ない気持ちでいっぱいになってきてしまう。
だけど、私の事を気遣ってくれる言葉は本当に嬉しかった。
私は胸の奥が温かくなり、ぎゅっとイザナのことを抱きしめ返した。
この冒険を始めてからイザナはいつも傍にいてくれて、私のことをちゃんと見てくれる。
何を考えているのかも、分かろうと努力してくれる。
彼の行動の一つ一つから、大事にされているのだと実感することが出来た。
こんな素敵な旦那様を持てた私は本当に幸せ者だ。
聖女として戦っていた時も、そんなイザナが傍にいてくれたからこそ、私は最後まで戦う事が出来た。
傍にいてくれたのがイザナで本当に良かったと、私は心から思っている。
「嬉しい台詞だな。だったら、今日はもっとルナに尽くさないといけないな」
「でも、イザナ今日は寝てないよね? 無理はしないでいいよ?」
「大丈夫だよ。ルナの傍に居るだけで元気を分けてもらえるからね」
「……っ」
イザナはいつも恥ずかしい台詞をサラリと言って来る。
私は恥ずかしくて堪らない気持ちになるけど、彼の気持ちを知ることが出来て嬉しかったりもする。
「ルナの不安を完全に取り除くために、今日は抱き潰しても良い? ルナのことを沢山愛したい」
「……っ!!」
イザナは私の耳元に唇を寄せると、艶っぽい声で囁いてきた。
その瞬間、私の顔は沸騰したかのように真っ赤に染まっていく。
「ふふっ、本当にルナって素直に反応するね。冗談だよ……」
「……っ、冗談……」
私が残念そうな顔を見せると、イザナは困った様に笑っていた。
「本当に私の妻は可愛いな。ルナがお願いしてくれたら、いくらだってしてあげるよ。……だけど、今は無理かな」
「……え?」
私はドキドキしながらイザナの顔を見つめていると、彼は私ではなく奥の方に目線を向けていた。
その事に気付いた私もつられるように視線をずらした。
するとそこにはゼロがいて、呆れた様子で私達のことを眺めている。
「やっと気付いたな。来てみたらイザナもルナもいて、なんかすごくいちゃいちゃしてるからさ。声をかけていいものか分からなくて参ったよ」
「……っ!?」
ゼロのその台詞を聞いて、私は慌てるようにイザナから離れた。
その後は言うまでも無く、私の体は完全に沸騰しきっていた。
古そうな木製の長椅子と机が等間隔で並べられていて、一番端の席へと移動して並ぶように腰掛けた。
周囲を見渡して見るがこの辺りには誰の姿も無く、イザナと二人きりなことになんだかドキドキしてきてしまう。
きっと私は変に意識し過ぎているのだろう。
(なんで私、こんなにもドキドキしてるの……)
私は直ぐに顔に出てしまうタイプなので、彼に悟られないように顔を正面に向けて視線を合わせないようにしていた。
「ルナ、疲れたんじゃないか? ここは案外広いからな」
「ううん、大丈夫だよ。来てからそんなに経ってないし。それにフィルが直ぐに案内してくれたから……」
私は正面を向いたまま表情だけを緩めて答えると、イザナは顔を傾けてこちらを覗き込む様に見つめて来た。
突然彼との距離が縮まり、私の鼓動がバクバクと激しく揺れ始める。
(そんなに顔を近づけて来ないでっ……)
「こちらを向かないのはどうしてか、聞いてもいい?」
「な、なんでもないよっ!」
私は慌てていることもあり、明らかに早口で答えてしまう。
するとイザナは僅かに目を細めた。
「あのフィルって男に何かされたのか? 随分親しそうに見えたけど」
「え? なにかって……。親切にして貰っただけだよ! もしかして、嫉妬とかしてる?」
私は動揺しているせいか変に焦ってしまい、普段言わないような冗談を口にしてしまう。
しかし、言った直後に自分の発言が恥ずかしくなり「今のは無し! 間違えた!」と慌てるように訂正した。
(何言ってるの、私。恥ずかしいっ、もうやだ……)
「間違ってないかもな」
「え……?」
「嫉妬しているよ」
「……っ」
イザナは私の瞳を真直ぐに見つめながら、静かにそう答えた。
そんなことを言われても私は何て答えて良いのか分からないし、徐々に頬が熱くなっていくのだけは感じていた。
「私はルナのことをいつだって独占したいと思っているからね」
「わ、私だってそうだよっ! イザナだって、ソフィアさんとばっかりいるくせにっ!」
彼の言葉を聞き、私は咄嗟にそんな事を口走ってしまった。
きっと恥ずかしくなって、思っていることがそのまま口に出てしまったのだろう。
しかし直ぐにハッと我に返ると、戸惑った表情で「今のは違う……」とまた弱弱しく訂正した。
(もうやだ。なんで今日はこんなことばかり言っちゃったんだろう。イザナのこと、困らせたくないのに……)
嫉妬深い女だと思われて、嫌われるのが怖かった。
ティアラの時もそうだ。
本当は気になって気になって仕方が無かったのに、二人の関係を聞くことも、会わないでって言うことも中々口に出せなかった。
私は本当に臆病者で小心者だ。
そんな自分が時折、本気で嫌になる。
「ソフィアのこと、やっぱり気にしていたのか。私はルナのことを不安にさせてばかりだな。ごめん……。だけどルナが不安に思うような関係では無いよ。後でそのことも含めて話そうと思っているけど、ソフィアはダクネス法国の魔法省の下で働く調査員なんだ。詳しい事はここでは話せないけど、私はダクネス法国の動向を探るためにソフィアから情報を貰っていた。だから個人的な理由で会っていたわけではないよ」
ゼロから国絡みの事だと事情はなんとなく聞かされていたので、そこまでは驚かなかった。
そして、彼の口から誤解であると聞けたことで、私の中にあった不安は少しづつ薄れていく。
はっきりとソフィアとの関係を否定してくれたことが、きっと私は嬉しかったのだと思う。
(イザナのこと信じてるのに、どうしてこんなに不安になるんだろう。それだけ好きってことなのかな……)
なんとなくだが、そんな気がする。
「……うん。ゼロから少し話を聞いていたから、そうなんだろうなとは思っていたけど。ソフィアさんって私の知らないイザナをいっぱい知ってるから、なんか不安になっちゃって……」
私は自分の掌をぎゅっと握りしめて話を続けた。
「今日だって、本当はゼロには行くのはやめておいたほうがいいって言われたのに、私……我慢出来なくて。私がイザナに会いたくて、ゼロにお願いして来たの」
私が申し訳なさそうに答えると、イザナは優しく微笑み、私の体を包み込むように抱きしめてくれた。
その温もりに安心感を覚えてほっとしたのは束の間で、ここがどこなのか思い出すと私は慌てて離れようとした。
「イザナ! ここ、人が来るかもっ!」
「誰もいないよ」
私は離れようとするが、イザナは私のことを解放する気がなさそうだ。
抵抗しようとすると、抱きしめる力が強くなった気がした。
そんな態度を取られて、更に私の鼓動は早まっていく。
「で、でもっ……」
「ルナは本当に恥ずかしがりだね」
イザナはどこか楽しそうに呟いていた。
「結局、今回もまたルナのことを不安にさせてしまったな。私は本当に駄目な夫だ。一番大切なものをいつも悲しませてばかりいるのだから……、ごめん」
「ううん、謝らないで! イザナの理由も分かっているから、私のことなら気にしないで大丈夫だよ。今こうやって傍にいてくれるし、もうこれだけで十分過ぎるよ! それに一昨日は付きっ切りで看病だってしてくれたし。嬉しかった……。イザナは私にとって、すごく優しくて頼りになる……だん、……っ、旦那様ですっ!」
私は半ば興奮気味に答えていた。
変に誤解をされるのは嫌だったし、何度も謝られていると私の方こそ申し訳ない気持ちでいっぱいになってきてしまう。
だけど、私の事を気遣ってくれる言葉は本当に嬉しかった。
私は胸の奥が温かくなり、ぎゅっとイザナのことを抱きしめ返した。
この冒険を始めてからイザナはいつも傍にいてくれて、私のことをちゃんと見てくれる。
何を考えているのかも、分かろうと努力してくれる。
彼の行動の一つ一つから、大事にされているのだと実感することが出来た。
こんな素敵な旦那様を持てた私は本当に幸せ者だ。
聖女として戦っていた時も、そんなイザナが傍にいてくれたからこそ、私は最後まで戦う事が出来た。
傍にいてくれたのがイザナで本当に良かったと、私は心から思っている。
「嬉しい台詞だな。だったら、今日はもっとルナに尽くさないといけないな」
「でも、イザナ今日は寝てないよね? 無理はしないでいいよ?」
「大丈夫だよ。ルナの傍に居るだけで元気を分けてもらえるからね」
「……っ」
イザナはいつも恥ずかしい台詞をサラリと言って来る。
私は恥ずかしくて堪らない気持ちになるけど、彼の気持ちを知ることが出来て嬉しかったりもする。
「ルナの不安を完全に取り除くために、今日は抱き潰しても良い? ルナのことを沢山愛したい」
「……っ!!」
イザナは私の耳元に唇を寄せると、艶っぽい声で囁いてきた。
その瞬間、私の顔は沸騰したかのように真っ赤に染まっていく。
「ふふっ、本当にルナって素直に反応するね。冗談だよ……」
「……っ、冗談……」
私が残念そうな顔を見せると、イザナは困った様に笑っていた。
「本当に私の妻は可愛いな。ルナがお願いしてくれたら、いくらだってしてあげるよ。……だけど、今は無理かな」
「……え?」
私はドキドキしながらイザナの顔を見つめていると、彼は私ではなく奥の方に目線を向けていた。
その事に気付いた私もつられるように視線をずらした。
するとそこにはゼロがいて、呆れた様子で私達のことを眺めている。
「やっと気付いたな。来てみたらイザナもルナもいて、なんかすごくいちゃいちゃしてるからさ。声をかけていいものか分からなくて参ったよ」
「……っ!?」
ゼロのその台詞を聞いて、私は慌てるようにイザナから離れた。
その後は言うまでも無く、私の体は完全に沸騰しきっていた。
0
お気に入りに追加
2,458
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
腹黒王子は、食べ頃を待っている
月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
美貌の騎士団長は逃げ出した妻を甘い執愛で絡め取る
束原ミヤコ
恋愛
旧題:夫の邪魔になりたくないと家から逃げたら連れ戻されてひたすら愛されるようになりました
ラティス・オルゲンシュタットは、王国の七番目の姫である。
幻獣種の血が流れている幻獣人である、王国騎士団団長シアン・ウェルゼリアに、王を守った褒章として十五で嫁ぎ、三年。
シアンは隣国との戦争に出かけてしまい、嫁いでから話すこともなければ初夜もまだだった。
そんなある日、シアンの恋人という女性があらわれる。
ラティスが邪魔で、シアンは家に戻らない。シアンはずっとその女性の家にいるらしい。
そう告げられて、ラティスは家を出ることにした。
邪魔なのなら、いなくなろうと思った。
そんなラティスを追いかけ捕まえて、シアンは家に連れ戻す。
そして、二度と逃げないようにと、監禁して調教をはじめた。
無知な姫を全力で可愛がる差別種半人外の騎士団長の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる