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40.繋がる④※
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ザシャの言葉はいつも通り優しかった。
聞き慣れている声だからこそ、私は安心出来ていたのかもしれない。
(……気持ちいい、ずっとこうしていたいな)
そのまま抱き合っていたのだが、暫くするとザシャは私から離れて行った。
私はザシャの肌の温もりに包まれているのがとても気持ち良くて、もっとこうしていたいと思っていた所剥がされてしまい、少し残念そうな顔をしてしまう。
「エミリーは抱きしめられるのは好き?」
私の表情に気付いたザシャは私の顔を覗き込む様に聞いて来た。
「ザシャさん温かいから、……好き」
私が恥ずかしそうに小さく答えると、ザシャは「後で沢山してあげるよ」と言ってくれた。
私はその言葉につい嬉しそうな顔を浮かべてしまった。
「ふふっ、そうか。それなら今日眠りに付く時は、エミリーを抱きしめながら寝る事にするよ」
「……っ」
ザシャは意地悪そうに私の耳元で囁き、私はビクッと体を震わせてしまう。
私が耳が弱いのを分かっていて、わざとしているのだろう。
全く意地悪な人だ。
(だけど……。私、ザシャさんのこと嫌いじゃない)
嫌いじゃないけど、好きなのかは良く分からなかった。
最初から手の届かない存在だと分かっていたからこそ、ザシャに対してそんな気持ちは持たない様にしていた。
だけどザシャは何かと私に構って来る。
最初はただの興味本位で私に手を出して来たのかと思っていた。
私も契約だから、それでも構わないと思った。
まだ出会ったばかりなのに…、体を見られて、意地悪されて…だけどそれが不思議と嫌では無かった。
ザシャに触れられると、見つめられるとドキドキしてしまう。
抱きしめられると心が穏やかになってほっとする。
もっと一緒にいたいと思ってしまう。
(私、ザシャさんのこと、好き……なのかな)
揺れ動く心の中で、私は迷っていた。
自分の本当の気持ちにはきっともう気付いている。
多分私はザシャのことが好きだ。
だけど、この気持ちを認めてしまうのが怖かった。
私とザシャでは立場が違い過ぎる。
ザシャは私の事を婚約者にすると言ってくれてはいるけど、それが本気なのかは分からない。
ただの気まぐれだってこともあるだろう。
だって私達は出会ってまだ間もないのだから。
それでもザシャの与えて来る快楽はとても魅惑的で、甘く淫靡なあの刺激をまた味わいと期待している自分がいるのは確かだった。
ザシャは私から離れると体を起こし、私の足元へと移動していた。
「ザシャさん、なんで足なんですか?」
私は少し残念そうな顔でつい聞いてしまった。
(どうして……)
やっと熱くなっている場所に触れてもらえると期待していた。
この疼きを解放してもらえると思っていた。
それなのにザシャは何故か足に触れていて、私の一番触れて欲しい所には触ってくれない。
それがもどかしくてたまらなかった。
「そんな残念そうな顔しないで」
「そっ、そんな顔してませんっ!」
ザシャの言葉でハッと我に返ると、そんな顔をしていた自分が恥ずかしくなり慌てて否定した。
「足に痕を残したら、エミリーの一番熱くなってる所、沢山可愛がってあげるからもう少しだけ我慢して」
「……っ」
ザシャは口端を上げて不敵な笑みを漏らしていた。
私の心の中が簡単に読み取られてしまい恥ずかしくてたまらない気持ちでいっぱいになる。
だけど今は我慢するしかなかった。
ザシャが私の足の甲に触れると思わずビクッと体を震わせてしまう。
足の甲なんて普段感じる場所では無いはずなのに。
「エミリーは足を触れられただけでも感じるの?」
「……感じませんっ!」
私が否定するとザシャは可笑しそうに笑い、足首から膝にかけて愛撫を始めていく。
ザシャの唇が足に触れているだけなのに、感触を感じる度にビクンと体は素直に反応してしまう。
「……ぁっ……」
「エミリーは足にキスをされただけでも甘い声を出すんだね。ああ、可愛いな」
ザシャはちゅっと音を立てながら私の足にキスを落としていく。
軽く吸われるとそこから甘い快感が広がっていき、私は思わず甘い声を漏らしてしまった。
「……やぁ、そんなところに痕をつけないでっ」
「全身付けるって言ったからね。こうしておけばどこを見ても私のモノだと分かるはずだ」
ザシャはそう言って愛撫を続けていく。
「そんなに痕を残しても、私に興味がある人なんて他に居ないと思うんですけど……」
「……いるだろう? 一番近くに、……ね」
ザシャは僅かに目を細めて小さく呟いた。
私は考えてみたけど、そんな相手は一切思い浮かばない。
(ザシャさん、何を言っているの……?)
そんなやり取りをしていると、ザシャの唇は私の太腿へと辿り着いていた。
そして私の膝を曲げ、持ち上げられるとそのまま大きく左右に開かれる。
私の熱くなった部分がザシャの目の前で全て晒されてしまい、恥ずかしさで顔の奥が熱を持ち始める。
(……っ、この格好恥ずかしいっ!)
「ザシャさん、その体勢なんか嫌ですっ」
「でもこうしないと、ここに痕を残せないからね。少し我慢して」
ザシャは艶やかな声で囁くと、私の内腿の唇を這わせた。
聞き慣れている声だからこそ、私は安心出来ていたのかもしれない。
(……気持ちいい、ずっとこうしていたいな)
そのまま抱き合っていたのだが、暫くするとザシャは私から離れて行った。
私はザシャの肌の温もりに包まれているのがとても気持ち良くて、もっとこうしていたいと思っていた所剥がされてしまい、少し残念そうな顔をしてしまう。
「エミリーは抱きしめられるのは好き?」
私の表情に気付いたザシャは私の顔を覗き込む様に聞いて来た。
「ザシャさん温かいから、……好き」
私が恥ずかしそうに小さく答えると、ザシャは「後で沢山してあげるよ」と言ってくれた。
私はその言葉につい嬉しそうな顔を浮かべてしまった。
「ふふっ、そうか。それなら今日眠りに付く時は、エミリーを抱きしめながら寝る事にするよ」
「……っ」
ザシャは意地悪そうに私の耳元で囁き、私はビクッと体を震わせてしまう。
私が耳が弱いのを分かっていて、わざとしているのだろう。
全く意地悪な人だ。
(だけど……。私、ザシャさんのこと嫌いじゃない)
嫌いじゃないけど、好きなのかは良く分からなかった。
最初から手の届かない存在だと分かっていたからこそ、ザシャに対してそんな気持ちは持たない様にしていた。
だけどザシャは何かと私に構って来る。
最初はただの興味本位で私に手を出して来たのかと思っていた。
私も契約だから、それでも構わないと思った。
まだ出会ったばかりなのに…、体を見られて、意地悪されて…だけどそれが不思議と嫌では無かった。
ザシャに触れられると、見つめられるとドキドキしてしまう。
抱きしめられると心が穏やかになってほっとする。
もっと一緒にいたいと思ってしまう。
(私、ザシャさんのこと、好き……なのかな)
揺れ動く心の中で、私は迷っていた。
自分の本当の気持ちにはきっともう気付いている。
多分私はザシャのことが好きだ。
だけど、この気持ちを認めてしまうのが怖かった。
私とザシャでは立場が違い過ぎる。
ザシャは私の事を婚約者にすると言ってくれてはいるけど、それが本気なのかは分からない。
ただの気まぐれだってこともあるだろう。
だって私達は出会ってまだ間もないのだから。
それでもザシャの与えて来る快楽はとても魅惑的で、甘く淫靡なあの刺激をまた味わいと期待している自分がいるのは確かだった。
ザシャは私から離れると体を起こし、私の足元へと移動していた。
「ザシャさん、なんで足なんですか?」
私は少し残念そうな顔でつい聞いてしまった。
(どうして……)
やっと熱くなっている場所に触れてもらえると期待していた。
この疼きを解放してもらえると思っていた。
それなのにザシャは何故か足に触れていて、私の一番触れて欲しい所には触ってくれない。
それがもどかしくてたまらなかった。
「そんな残念そうな顔しないで」
「そっ、そんな顔してませんっ!」
ザシャの言葉でハッと我に返ると、そんな顔をしていた自分が恥ずかしくなり慌てて否定した。
「足に痕を残したら、エミリーの一番熱くなってる所、沢山可愛がってあげるからもう少しだけ我慢して」
「……っ」
ザシャは口端を上げて不敵な笑みを漏らしていた。
私の心の中が簡単に読み取られてしまい恥ずかしくてたまらない気持ちでいっぱいになる。
だけど今は我慢するしかなかった。
ザシャが私の足の甲に触れると思わずビクッと体を震わせてしまう。
足の甲なんて普段感じる場所では無いはずなのに。
「エミリーは足を触れられただけでも感じるの?」
「……感じませんっ!」
私が否定するとザシャは可笑しそうに笑い、足首から膝にかけて愛撫を始めていく。
ザシャの唇が足に触れているだけなのに、感触を感じる度にビクンと体は素直に反応してしまう。
「……ぁっ……」
「エミリーは足にキスをされただけでも甘い声を出すんだね。ああ、可愛いな」
ザシャはちゅっと音を立てながら私の足にキスを落としていく。
軽く吸われるとそこから甘い快感が広がっていき、私は思わず甘い声を漏らしてしまった。
「……やぁ、そんなところに痕をつけないでっ」
「全身付けるって言ったからね。こうしておけばどこを見ても私のモノだと分かるはずだ」
ザシャはそう言って愛撫を続けていく。
「そんなに痕を残しても、私に興味がある人なんて他に居ないと思うんですけど……」
「……いるだろう? 一番近くに、……ね」
ザシャは僅かに目を細めて小さく呟いた。
私は考えてみたけど、そんな相手は一切思い浮かばない。
(ザシャさん、何を言っているの……?)
そんなやり取りをしていると、ザシャの唇は私の太腿へと辿り着いていた。
そして私の膝を曲げ、持ち上げられるとそのまま大きく左右に開かれる。
私の熱くなった部分がザシャの目の前で全て晒されてしまい、恥ずかしさで顔の奥が熱を持ち始める。
(……っ、この格好恥ずかしいっ!)
「ザシャさん、その体勢なんか嫌ですっ」
「でもこうしないと、ここに痕を残せないからね。少し我慢して」
ザシャは艶やかな声で囁くと、私の内腿の唇を這わせた。
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