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2.異世界召喚と追放が一緒だなんて酷すぎる②
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「はい。私の事はクリスと気軽にお呼びください」
「そ、そう? じゃあクリスと呼ぶわね。私は可憐よ。カレンって呼んでくださいね」
二人は早くも打ち解けた様子で話を続けている。
「カレンか。なんて素敵な名だ。可憐な貴女に相応しい名ですね」
「まぁ、お上手ね。だけど良く言われるわ」
このどうでもいい会話を聞き流しながら、私は少し冷静さを取り戻し色々と考え始めていた。
私達はあの時、確かに廊下にいたはずなのに、眩しい光の後、再び目を開いたら見慣れない部屋に飛ばされていた。
体感ではほんの一瞬の出来事のように感じたが、人間が瞬時で別の場所に飛ぶなんてことはどう考えてもあり得ない。
それに奇妙な出来事はこれだけではなかった。
フードを下ろした赤髪の男は自らを王子だと名乗り、その真意は分からないが、容姿から見て日本人ではないことは明らかだ。
だけど普通に言葉が通じている辺り、日本に長く滞在している者という可能性は高いだろう。
この時代、外国人は決して珍しい存在ではない。
そしてもう一つ気掛かりな事と言えば、足元に魔法陣らしきものが描かれていたという問題だ。
まるで何かの儀式を行っているように見えて、より怪しさを感じてしまう。
実は私は昔からアニメや漫画を見るのが好きで、今でも変わらずそう言ったものを好んで見ている。
この展開にはどこか既視感を持っていて、それはアニメや漫画の世界で見たものと酷似していた。
(もしかして、これって異世界召喚ってやつ……? さすがにそれはないか。アニメオタクがそれっぽいセットを作ったって考えるのが妥当かな。でも、瞬間移動したのはどう説明すればいいんだろう)
冷静に考えているつもりでも、胸の奥は興奮でバクバクと鼓動がうるさい程に鳴っている。
馴染の無い容姿をしているクリストフを眺めていると、そのまさかが今起こっているのではないかとつい考えてしまう。
考え事をしながら彼の事を凝視していると、私の強い視線に気付いたのか目が合ってしまった。
「そちらの女性も……」
(や、やばっ……)
クリストフは私に気付くと、真直ぐ視線を向けて来た。
私は小心者だったりするので、驚いて慌てる様に目を逸らしてしまう。
「聖女が二人……!? 殿下、ここは鑑定をするべきかと」
「そうだね。あれを……」
クリストフが呟くと、直ぐに奥から水晶のような物が運ばれてきた。
「それはなんですか?」
「これはね。潜在能力を図る為の魔道具の一つだよ。私達は聖女を探しているんだ」
興味を示すように彼女が問いかけると、クリストフは説明を始めた。
「もしかして私がその聖女だと?」
「うん、その可能性は高い。鑑定に協力してもらえないかな。この水晶の上に手をかざすだけでいい」
「わかりました」
彼女が水晶の前に立ち手をかざすと、突然眩しい程の白い光に包まれる。
それと同時に大歓声が沸き起こる。
「おお、この方こそ聖女様だ!」
「間違いない。これ程の輝きとは……」
周囲にいた者達は叫び、拍手まで上がる。
その姿は本気で喜んでいるように見えた。
「カレンは魔力量もかなり高いね。君が聖女であることは間違いなさそうだ」
「私が、聖女……。やだ、どうしよう」
「是非、君には我が国の為に協力してもらいたい。勿論、出来る限りのことは何だってするつもりだ。望みがあれば何でも遠慮せず言って欲しい」
「……どうしようかな」
彼女は困った素振りを見せている様だが、声はなんとなく喜んでいるようにも聞こえる。
(白鳥さんが聖女って……。本当なのかな)
私が疑うように彼女の後ろ姿を眺めていると、薄らと何かの画面が現れていることに気付いた。
意識を向けてじっと見つめていると、文字が鮮明に表れてくる。
そこには彼女のステータスが詳細に表示されていた。
(これって……、異世界召喚のテンプレ的展開の、あのステータスオープン! とか言うやつだったりするのかな? うそ……、やっぱりここは異世界なの!?)
こんなものまで出るくると、ますます現実味が離れていき、ここが私のいた世界では無いのだと言われているような気分だった。
頭は混乱気味だが、心を落ち着かせながら彼女のステータス画面を覗いてみた。
職業は聖女(仮)と書かれていて、属性は光になっている。
他にも色々な数値が並んでいるが他に判断基準がない為、これが高いのか低いのかは良く分からない。
一番気になるのは、常時発動スキルに魅了と書かれている事だ。
(これって白鳥さんのステータスってこと? 聖女であることには間違いないんだ。仮ってあるのは、これから覚醒するってことなのかな? だけど、魅了って……。数値は良く分からないな。他の人の画面を覗いて比較してみたら良いのかな)
「君もお願い出来るかな?」
「え?」
私が他の人のステータス画面を見ようと思っていたら、クリストフから声を掛けられてしまった。
皆の視線が私に集まり、断りづらい状況になっている。
私は小さな声で「はい」と呟くと、彼女がしたように水晶の上に手を乗せてみせた。
すると光どころか、なにも起こらない。
「あ、あれ……?」
「これは……」
私は戸惑った声を上げる。
クリストフは目を細めて険しい表情で何かを考えている様子だ。
その姿に不安を抱いてしまう。
「言いづらいんだけど、多分君はカレンの傍にいて巻き込まれて召喚されてしまったのだと思う」
「…………」
「反応がないということは、君には魔力が宿っていないという事になるからね」
「あら……」
彼女は口元に手を当てて驚いた様子を見せている。
「私の傍に偶然いたせいで巻き込まれてしまったのね。クリス、彼女を元の世界に返してあげて。勿論、私は貴方に協力するわ」
「カレン、ありがとう。残念だけど、元の世界に戻すことは出来ないんだ」
「は!? ど、どういうことよ!?」
戻れないという事実を聞いて、彼女の顔色が変わる。
私もその事実を聞いてかなり驚いていた。
(帰れないって……)
自分達で呼び出したくせに、帰る方法が分からないというのはあまりにも無責任過ぎる。
理由があるにしても呼び出された方からしたら、たまったものではない。
平凡な日常生活ではあったが、私はそれに満足していた。
仲の良い友達に囲まれて毎日それなりに楽しんでいたし、将来の事も考え始めたところだった。
それをこんな形で壊されてしまうなんて、到底受け入れらるわけがない。
「帰る方法は探せばあるかもしれないけど、今の時点では見つかっていない」
「そんなっ……、困ります!!」
私は必死な声で訴えていた。
だけどクリストフは私の言葉を無視し、彼女の方に視線を向けた。
私には能力がない、ただ巻き込まれて来てしまっただけの言わばおまけのような人間だからそんな態度を見せるのだろうか。
それに比べて彼女は聖女であり、この国には必要な人間だ。
きっと、引き止めたいのは彼女だけなのだろう。
彼の態度を見ていると、そうとしか思えなかった。
「申し訳ない。だけど、この世界にいる限り君達には特別待遇を取らせてもらうつもりだ。王族に並ぶ爵位も与える。だからどうか力を貸して欲しい」
「……それって。分かりました。戻れないのでしたら仕方がありませんし、私はクリスの力になります。だけど……、その子はどうするつもりですか? 聖女で無いのなら、なんの役にも立ちません」
(ちょっと、何を言うつもりなの……?)
彼女は小さくため息を吐くと、私の方に視線を向けた。
それはとても冷たくて、見下した様な瞳にも見える。
なにかすごく嫌な予感がする。
「たしかに、彼女は聖女ではない。だけどこちらの都合で呼んでしまったことには変わりない」
「召喚されたのが二人だと周囲に知られたら、困るんじゃないですか?」
「どういうことだ?」
「混乱の原因にもなるし、一人は全く関係のない人間です。失敗したって思われるかも知れないし、この国の名誉の為にもあまり良い事とは言えないですよね?」
「その心配は……」
「私はクリスの役に必ず立ちます。聖女として選ばれたからには努力は惜しみません。そして、この事はここにいる私達しか知らないこと、ですよね?」
「ああ、そうだね」
「だったら、召喚されたのは私だけってことにしてしまえば良いんじゃないですか? そうすれば誰も不安に思うことは無いでしょ?」
「それは、そうだが……、でも」
「この子なら大丈夫。人に好かれやすいタイプのようだし……、ねえ? きっとこの世界でも上手くやっていけるんじゃないかな。なので、ここはお金で解決しちゃいましょう?」
彼女はにっこりと微笑みながら、とんでも無い台詞を吐いた。
そしてその意見に賛同する者まで出始めてしまう。
(嘘でしょ……?)
「というわけで、貴女。名前は忘れたけど、これから頑張って生きていって。帰れる方法が見つかったら教えてあげるから」
周囲は「聖女様の言う事なら」と納得し、最後まで渋っていたクリストフもその案を受け入れてしまった。
私は強制的に慰謝料を受け取り、王宮から追い出されることになった。
「そ、そう? じゃあクリスと呼ぶわね。私は可憐よ。カレンって呼んでくださいね」
二人は早くも打ち解けた様子で話を続けている。
「カレンか。なんて素敵な名だ。可憐な貴女に相応しい名ですね」
「まぁ、お上手ね。だけど良く言われるわ」
このどうでもいい会話を聞き流しながら、私は少し冷静さを取り戻し色々と考え始めていた。
私達はあの時、確かに廊下にいたはずなのに、眩しい光の後、再び目を開いたら見慣れない部屋に飛ばされていた。
体感ではほんの一瞬の出来事のように感じたが、人間が瞬時で別の場所に飛ぶなんてことはどう考えてもあり得ない。
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だけど普通に言葉が通じている辺り、日本に長く滞在している者という可能性は高いだろう。
この時代、外国人は決して珍しい存在ではない。
そしてもう一つ気掛かりな事と言えば、足元に魔法陣らしきものが描かれていたという問題だ。
まるで何かの儀式を行っているように見えて、より怪しさを感じてしまう。
実は私は昔からアニメや漫画を見るのが好きで、今でも変わらずそう言ったものを好んで見ている。
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(もしかして、これって異世界召喚ってやつ……? さすがにそれはないか。アニメオタクがそれっぽいセットを作ったって考えるのが妥当かな。でも、瞬間移動したのはどう説明すればいいんだろう)
冷静に考えているつもりでも、胸の奥は興奮でバクバクと鼓動がうるさい程に鳴っている。
馴染の無い容姿をしているクリストフを眺めていると、そのまさかが今起こっているのではないかとつい考えてしまう。
考え事をしながら彼の事を凝視していると、私の強い視線に気付いたのか目が合ってしまった。
「そちらの女性も……」
(や、やばっ……)
クリストフは私に気付くと、真直ぐ視線を向けて来た。
私は小心者だったりするので、驚いて慌てる様に目を逸らしてしまう。
「聖女が二人……!? 殿下、ここは鑑定をするべきかと」
「そうだね。あれを……」
クリストフが呟くと、直ぐに奥から水晶のような物が運ばれてきた。
「それはなんですか?」
「これはね。潜在能力を図る為の魔道具の一つだよ。私達は聖女を探しているんだ」
興味を示すように彼女が問いかけると、クリストフは説明を始めた。
「もしかして私がその聖女だと?」
「うん、その可能性は高い。鑑定に協力してもらえないかな。この水晶の上に手をかざすだけでいい」
「わかりました」
彼女が水晶の前に立ち手をかざすと、突然眩しい程の白い光に包まれる。
それと同時に大歓声が沸き起こる。
「おお、この方こそ聖女様だ!」
「間違いない。これ程の輝きとは……」
周囲にいた者達は叫び、拍手まで上がる。
その姿は本気で喜んでいるように見えた。
「カレンは魔力量もかなり高いね。君が聖女であることは間違いなさそうだ」
「私が、聖女……。やだ、どうしよう」
「是非、君には我が国の為に協力してもらいたい。勿論、出来る限りのことは何だってするつもりだ。望みがあれば何でも遠慮せず言って欲しい」
「……どうしようかな」
彼女は困った素振りを見せている様だが、声はなんとなく喜んでいるようにも聞こえる。
(白鳥さんが聖女って……。本当なのかな)
私が疑うように彼女の後ろ姿を眺めていると、薄らと何かの画面が現れていることに気付いた。
意識を向けてじっと見つめていると、文字が鮮明に表れてくる。
そこには彼女のステータスが詳細に表示されていた。
(これって……、異世界召喚のテンプレ的展開の、あのステータスオープン! とか言うやつだったりするのかな? うそ……、やっぱりここは異世界なの!?)
こんなものまで出るくると、ますます現実味が離れていき、ここが私のいた世界では無いのだと言われているような気分だった。
頭は混乱気味だが、心を落ち着かせながら彼女のステータス画面を覗いてみた。
職業は聖女(仮)と書かれていて、属性は光になっている。
他にも色々な数値が並んでいるが他に判断基準がない為、これが高いのか低いのかは良く分からない。
一番気になるのは、常時発動スキルに魅了と書かれている事だ。
(これって白鳥さんのステータスってこと? 聖女であることには間違いないんだ。仮ってあるのは、これから覚醒するってことなのかな? だけど、魅了って……。数値は良く分からないな。他の人の画面を覗いて比較してみたら良いのかな)
「君もお願い出来るかな?」
「え?」
私が他の人のステータス画面を見ようと思っていたら、クリストフから声を掛けられてしまった。
皆の視線が私に集まり、断りづらい状況になっている。
私は小さな声で「はい」と呟くと、彼女がしたように水晶の上に手を乗せてみせた。
すると光どころか、なにも起こらない。
「あ、あれ……?」
「これは……」
私は戸惑った声を上げる。
クリストフは目を細めて険しい表情で何かを考えている様子だ。
その姿に不安を抱いてしまう。
「言いづらいんだけど、多分君はカレンの傍にいて巻き込まれて召喚されてしまったのだと思う」
「…………」
「反応がないということは、君には魔力が宿っていないという事になるからね」
「あら……」
彼女は口元に手を当てて驚いた様子を見せている。
「私の傍に偶然いたせいで巻き込まれてしまったのね。クリス、彼女を元の世界に返してあげて。勿論、私は貴方に協力するわ」
「カレン、ありがとう。残念だけど、元の世界に戻すことは出来ないんだ」
「は!? ど、どういうことよ!?」
戻れないという事実を聞いて、彼女の顔色が変わる。
私もその事実を聞いてかなり驚いていた。
(帰れないって……)
自分達で呼び出したくせに、帰る方法が分からないというのはあまりにも無責任過ぎる。
理由があるにしても呼び出された方からしたら、たまったものではない。
平凡な日常生活ではあったが、私はそれに満足していた。
仲の良い友達に囲まれて毎日それなりに楽しんでいたし、将来の事も考え始めたところだった。
それをこんな形で壊されてしまうなんて、到底受け入れらるわけがない。
「帰る方法は探せばあるかもしれないけど、今の時点では見つかっていない」
「そんなっ……、困ります!!」
私は必死な声で訴えていた。
だけどクリストフは私の言葉を無視し、彼女の方に視線を向けた。
私には能力がない、ただ巻き込まれて来てしまっただけの言わばおまけのような人間だからそんな態度を見せるのだろうか。
それに比べて彼女は聖女であり、この国には必要な人間だ。
きっと、引き止めたいのは彼女だけなのだろう。
彼の態度を見ていると、そうとしか思えなかった。
「申し訳ない。だけど、この世界にいる限り君達には特別待遇を取らせてもらうつもりだ。王族に並ぶ爵位も与える。だからどうか力を貸して欲しい」
「……それって。分かりました。戻れないのでしたら仕方がありませんし、私はクリスの力になります。だけど……、その子はどうするつもりですか? 聖女で無いのなら、なんの役にも立ちません」
(ちょっと、何を言うつもりなの……?)
彼女は小さくため息を吐くと、私の方に視線を向けた。
それはとても冷たくて、見下した様な瞳にも見える。
なにかすごく嫌な予感がする。
「たしかに、彼女は聖女ではない。だけどこちらの都合で呼んでしまったことには変わりない」
「召喚されたのが二人だと周囲に知られたら、困るんじゃないですか?」
「どういうことだ?」
「混乱の原因にもなるし、一人は全く関係のない人間です。失敗したって思われるかも知れないし、この国の名誉の為にもあまり良い事とは言えないですよね?」
「その心配は……」
「私はクリスの役に必ず立ちます。聖女として選ばれたからには努力は惜しみません。そして、この事はここにいる私達しか知らないこと、ですよね?」
「ああ、そうだね」
「だったら、召喚されたのは私だけってことにしてしまえば良いんじゃないですか? そうすれば誰も不安に思うことは無いでしょ?」
「それは、そうだが……、でも」
「この子なら大丈夫。人に好かれやすいタイプのようだし……、ねえ? きっとこの世界でも上手くやっていけるんじゃないかな。なので、ここはお金で解決しちゃいましょう?」
彼女はにっこりと微笑みながら、とんでも無い台詞を吐いた。
そしてその意見に賛同する者まで出始めてしまう。
(嘘でしょ……?)
「というわけで、貴女。名前は忘れたけど、これから頑張って生きていって。帰れる方法が見つかったら教えてあげるから」
周囲は「聖女様の言う事なら」と納得し、最後まで渋っていたクリストフもその案を受け入れてしまった。
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