【本編完結】 婚約破棄された令嬢は自由に生きたい!(R18)

Rila

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52.二人だけの儀式⑧※

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「リリア……」
「んぅっ、んんっ……はぁっ」

 アレクシスの唇が剥がれると、切なげな声で私の名を呼ぶ。
 それが私をたまらない気持ちにさせる。
 体中は熱に犯され、蕩けきった頭の奥は混濁しているが、私の心は幸福感に包まれていた。

(アレクシス様、好き、大好きっ……)

 その気持ちを声に出して伝えたいけど、今は叶わないことだ。
 唇を深く塞がれ、呼吸も儘ならないのだから。
 だから心の中で何度も叫んでいた。
 
 蜜壺の中を熱く滾ったものが何度も抽挿を繰り返す。
 愛液が絡み合い、中が擦れる度に淫靡な水音を響かせる。
 中をぐちゃぐちゃに掻き混ぜられ、奥深くを何度も突かれていると、体は更に敏感になっていくようだ。
 痙攣が止まらなくて、私はびくびくとずっと腰を震わせている。

「ぁっ、ぁあっ、やあっ……」

 生理的な涙が頬を伝ってこぼれ落ち、額からはじわりと汗が滲み出る。
 小さな口元からは荒い息が嬌声と混ざり合うように漏れる。
 嫌だと口にしているが、本当はすごく気持ちがいい。
 溶けてしまいそうなこの快楽に、ずっと嵌まっていたいとさえ感じてしまう。

「……っ、すごい締め付けだ。そんなに絞る取るみたいにして。ああ、可愛い。このまま抱き潰したくなる」

 アレクシスは表情を歪め、少し苦しそうに見えるが、何故か口角は上がっている。
 この状況に興奮しているかのような表情だ。
 彼の額からも汗が滲み、綺麗な髪が乱れていて、いつもの余裕そうな顔では無くなっていた。
 どこか艶めかしくて、その姿が綺麗に思えて惹き付けられてしまう。
 普段と違う彼の姿にしているのが私だと思うと、何となく嬉しく感じてしまう。

「はぁっ、アレク、シス……さ、まっ……」
「リリア、これから少し激しくするけど、まだ意識は飛ばさないで」

「は、いっ……ひっ、……ぁああっ!!」

 私が小さく頷くと、アレクシスの動きが更に激しくなった。
 激しく肌がぶつかり合う音が室内に響き渡る。
 最奥を何度も貫かれ頭の中が真っ白になり、息をするのも忘れてしまいそうになる。
 何かを考える余裕すら奪われていくようだ。

(激しっ……)

「奥が吸い付いてくる。ああ、すごい悲鳴だな。顔もそんなにぐちゃぐちゃにして。そんなに気持ちいい?」
「ぁああっ、……やっ、ぁああっ!!」

「ドロドロに溶けているリリアはすごく素敵だ。ふふっ、はは……。もう私だけのものだ。リリアは、私だけの――」

 荒い息を漏らしながら、アレクシスは笑っていた。
 そして奥に勢い良く熱いものを吐き出した。
 彼の腰の動きが緩まり、私は少しだけほっとしていた。

(奥に出てる……)

「リリア、大丈夫か?」
「はぁっ……、はぁっ……」

 アレクシスは心配そうな声で、私の顔を覗き込んでいるようだ。
 意識はあるが、荒い息遣いを繰り返しているせいで声を出すことが出来ない。
 なので小さく頷くことにした。

「良く耐えたね。これで儀式は完了だ。私の魔力が完全にリリアに融合したよ。これからは常に一緒にいなくてはならない。私達は二人で一つだ」

 アレクシスはうっとりとした顔で何やら呟いていたが、私には何を言っているのかその意味が良く分からなかった。
 だけど儀式が完了したと言うことは、私は助かったということなのだろう。
 そう思うと急に安心して、この気怠さに堕とされていくようだ。
 意識が遠ざかり、アレクシスの声が奥の方で響いている。

(この後話をしなければならないのに、……なんだか、すごく眠い)

「眠そうな顔だね、今日は疲れただろうからゆっくり休んで。リリアが眠っている間に、全て済ませておくよ。お休み、私の愛しい人」
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