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18.心配
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「お…おはよう…」
こんなに至近距離にバルの顔があるとは思わず、私は驚いた顔を見せてしまった。
「シロ…、どこか具合でも悪いの?」
「え…?」
バルはその距離は縮めることなく、心配そうに私の顔を見つめては掌を私の額にそっと付けた。
(なんで…こんなに距離が近いのっ…!?)
「朝から食事を何も摂ってないと聞いた…、どうしてか聞いても良い?」
「そ…それは…」
バルは本気で心配そうにしている様に見えた。
しかしバルが知らない女性と仲良さそうに話していて、それがショックでそのまま寝てしまっただなんて言えるはずもなかった。
「昨日の夜眠れなくて…。図書室で本を読んでいたら少し眠くなって来たから少しだけお昼寝しようかなって思っただけだよ…。だから具合が悪いとかではないよっ…、心配させて…ごめんなさい」
私は咄嗟に思いついた言い訳を伝えた。
本当の事は言えないし、だからといってバルに余計な心配も掛けたくはなかった。
(きっと、こう言っておけば大丈夫…だよね…)
しかしバルは私の瞳をじっと見たまま何も答えようとしない。
そんなに真直ぐに瞳の奥を覗かれると、嘘がバレてしまいそうな気がして私は思わず視線を逸らしてしまった。
するとバルは僅かに目を細めた。
「シロ、それなら夕食は早めようか。僕と一緒に摂ろう…」
「う、うんっ…。バル…ありがとう…」
バルはやっと私から離れると、いつもの優しい表情に戻っていた。
それを見て私はほっとした様に笑顔で答えた。
(なんとか誤魔化せたみたいかな…)
***
そしてその後は早めの夕食を摂り、朝から何も食べていなかった事もあり私は普段以上に沢山食べてしまった。
それを見ていたバルも安心した顔をしていたので、私はほっとした。
つい嘘を付いてしまい、バルに掛けなくても良い心配を掛けてしまったことを申し訳なく思っていたからだ。
食事を終えて部屋に戻ろうとしていると、何故かバルに呼び止められた。
「シロ、今日はこの後もシロと一緒に過ごしたいと思っているんだけど…構わない?」
「え…?」
突然呼び止められてそんな事を言われると、私は動揺してしまう。
バルは最近忙しい様で、夕食の時以外は殆ど顔を合わせることが無かった。
だから少しでも一緒の時間を過ごせることは、私にとってはとても嬉しい事だ。
きっと昨日までの私なら素直に喜んでいたことだろう。
でも…、今日はあんな場面を見てしまい、バルを見ているとどうしても心の奥がもやもやしてしまう。
(バルは…まだ心配してくれているのかな…)
申し訳ない気持ちと、今は傍にいたくなくて私は断ることに決めた。
「心配してくれているんだよね…?バルも最近忙しそうだし…疲れているんじゃない…?私の事なら心配してくれなくても大丈夫だよ、食事も沢山取れたし、元気だしっ…!」
私はへらっと緩く笑いながら答えた。
すると突然バルに手を握られて私の心臓はドキッと飛び跳ねた。
「シロが元気である事は確認出来たけど、僕は最近シロの傍に居てあげられなかったから…ね。申し訳なく思ってる…、シロは突然この世界に呼ばれて一人で心細いのに…傍にいてあげられなくてごめん…」
バルは申し訳なさそうに謝っていた。
そんな姿を見て、私は顔を何度も横に振り「そんなことないよ」と訴えた。
するとバルは柔らかく微笑み「シロは優しいな」と答え、私は思わずドキッとして顔を赤く染めてしまう。
「シロ、今日は一緒に居させて欲しい。僕達は仮にも恋人同士なんだし、傍に居ることは当然の事だよ」
「……っ…」
バルは空いた片手を私の頬に伸ばすと、優しく添える様に触れてきた。
私は驚いた顔で、ただ顔を赤く染めたままバルを見つめていた。
「ふふっ、照れているの?シロは本当に可愛いね…」
バルはふっと小さく笑うと、そっと私の額に口付けた。
突然そんな事をされると、私の顔はますます熱を持ち赤く染まっていく。
(どうして…?私達…恋人なの…?私……諦めなくて良いの…?)
「どうしたの…?驚いて固まっているのかな…?」
バルは暫く私の動揺した姿を眺めていた様だったが、私の耳元に唇を寄せた。
「僕達が繋がった事、忘れちゃった…?シロが思い出せるように…沢山また愛してあげるよ…」
「……っ…!!」
突然耳元で囁かれ私はビクッと体を震わせると同時に、まるで沸騰したかのように顔を真っ赤に染めてしまった。
「シロ、今日はこのまま抱っこして連れて行ってあげるよ…。しっかり僕の首に手を回していてね…」
「…えっ?…わぁっ…!!」
突然体がふわっと浮き上がり、私は慌てる様にバルの首に手を回した。
「手を離すのは危ないからだめだよ…。そのまましっかり掴まっていてね」
「……うん…」
この体勢でいると、どうしてもバルとの顔の距離が近くなり落ち着いてなんていられない。
恥ずかしさと、嬉しさと、動揺で私は困った顔をしていた。
(なんで…こんなことになってるのっ…!?)
それに…バルは私の事を恋人だと言った。
あの日私が恋人になって欲しいと言ったことも、抱いてと頼んだことも…バルにとっては仕方なくでは無かったのだろうか。
私はまた期待してしまっても…いいのだろうか。
私がじっとバルの顔を見つめていると、それに気付いたバルと視線が絡み、バルは優しく微笑んでいた。
その顔を見た瞬間胸の奥が熱くなり、更に鼓動が速くなる。
「わ、私って…バルの恋人…なの?」
どうしようもなく気になって、聞かずにはいられなかった。
「え…?僕はそうだと思っていたけど…、シロは違うの?」
バルは少し驚いた顔をしながら答えた。
「ううんっ…!私達…こ…恋人…だった」
「だった…?」
私が慌てて答えると、バルは少し不満そうに聞き返して来た。
そして私が慌てて困っていると、バルは可笑しそうにクスクスと笑っていた。
「本当にシロは可愛いね…。こんな所で言うのもアレだけど…、僕は最初からシロの事を恋人だと思っているよ」
「そ…それなら…、今日会ってた人は…?」
バルが突然そんな事を言うものだから恥ずかしくなり、咄嗟に私は口走ってしまった。
「今日会ってた人…?……ああ、リゼのこと?でも、どうしてシロが知っているの?」
「……図書室に寄った帰りに、話し声が廊下に響いていたから…少し気になっちゃって…」
「そうか…。見られていたのか…」
「………」
バルは少し困った様に溜息を漏らした。
私はそれを見てなんだか不安になってしまう。
こんなに至近距離にバルの顔があるとは思わず、私は驚いた顔を見せてしまった。
「シロ…、どこか具合でも悪いの?」
「え…?」
バルはその距離は縮めることなく、心配そうに私の顔を見つめては掌を私の額にそっと付けた。
(なんで…こんなに距離が近いのっ…!?)
「朝から食事を何も摂ってないと聞いた…、どうしてか聞いても良い?」
「そ…それは…」
バルは本気で心配そうにしている様に見えた。
しかしバルが知らない女性と仲良さそうに話していて、それがショックでそのまま寝てしまっただなんて言えるはずもなかった。
「昨日の夜眠れなくて…。図書室で本を読んでいたら少し眠くなって来たから少しだけお昼寝しようかなって思っただけだよ…。だから具合が悪いとかではないよっ…、心配させて…ごめんなさい」
私は咄嗟に思いついた言い訳を伝えた。
本当の事は言えないし、だからといってバルに余計な心配も掛けたくはなかった。
(きっと、こう言っておけば大丈夫…だよね…)
しかしバルは私の瞳をじっと見たまま何も答えようとしない。
そんなに真直ぐに瞳の奥を覗かれると、嘘がバレてしまいそうな気がして私は思わず視線を逸らしてしまった。
するとバルは僅かに目を細めた。
「シロ、それなら夕食は早めようか。僕と一緒に摂ろう…」
「う、うんっ…。バル…ありがとう…」
バルはやっと私から離れると、いつもの優しい表情に戻っていた。
それを見て私はほっとした様に笑顔で答えた。
(なんとか誤魔化せたみたいかな…)
***
そしてその後は早めの夕食を摂り、朝から何も食べていなかった事もあり私は普段以上に沢山食べてしまった。
それを見ていたバルも安心した顔をしていたので、私はほっとした。
つい嘘を付いてしまい、バルに掛けなくても良い心配を掛けてしまったことを申し訳なく思っていたからだ。
食事を終えて部屋に戻ろうとしていると、何故かバルに呼び止められた。
「シロ、今日はこの後もシロと一緒に過ごしたいと思っているんだけど…構わない?」
「え…?」
突然呼び止められてそんな事を言われると、私は動揺してしまう。
バルは最近忙しい様で、夕食の時以外は殆ど顔を合わせることが無かった。
だから少しでも一緒の時間を過ごせることは、私にとってはとても嬉しい事だ。
きっと昨日までの私なら素直に喜んでいたことだろう。
でも…、今日はあんな場面を見てしまい、バルを見ているとどうしても心の奥がもやもやしてしまう。
(バルは…まだ心配してくれているのかな…)
申し訳ない気持ちと、今は傍にいたくなくて私は断ることに決めた。
「心配してくれているんだよね…?バルも最近忙しそうだし…疲れているんじゃない…?私の事なら心配してくれなくても大丈夫だよ、食事も沢山取れたし、元気だしっ…!」
私はへらっと緩く笑いながら答えた。
すると突然バルに手を握られて私の心臓はドキッと飛び跳ねた。
「シロが元気である事は確認出来たけど、僕は最近シロの傍に居てあげられなかったから…ね。申し訳なく思ってる…、シロは突然この世界に呼ばれて一人で心細いのに…傍にいてあげられなくてごめん…」
バルは申し訳なさそうに謝っていた。
そんな姿を見て、私は顔を何度も横に振り「そんなことないよ」と訴えた。
するとバルは柔らかく微笑み「シロは優しいな」と答え、私は思わずドキッとして顔を赤く染めてしまう。
「シロ、今日は一緒に居させて欲しい。僕達は仮にも恋人同士なんだし、傍に居ることは当然の事だよ」
「……っ…」
バルは空いた片手を私の頬に伸ばすと、優しく添える様に触れてきた。
私は驚いた顔で、ただ顔を赤く染めたままバルを見つめていた。
「ふふっ、照れているの?シロは本当に可愛いね…」
バルはふっと小さく笑うと、そっと私の額に口付けた。
突然そんな事をされると、私の顔はますます熱を持ち赤く染まっていく。
(どうして…?私達…恋人なの…?私……諦めなくて良いの…?)
「どうしたの…?驚いて固まっているのかな…?」
バルは暫く私の動揺した姿を眺めていた様だったが、私の耳元に唇を寄せた。
「僕達が繋がった事、忘れちゃった…?シロが思い出せるように…沢山また愛してあげるよ…」
「……っ…!!」
突然耳元で囁かれ私はビクッと体を震わせると同時に、まるで沸騰したかのように顔を真っ赤に染めてしまった。
「シロ、今日はこのまま抱っこして連れて行ってあげるよ…。しっかり僕の首に手を回していてね…」
「…えっ?…わぁっ…!!」
突然体がふわっと浮き上がり、私は慌てる様にバルの首に手を回した。
「手を離すのは危ないからだめだよ…。そのまましっかり掴まっていてね」
「……うん…」
この体勢でいると、どうしてもバルとの顔の距離が近くなり落ち着いてなんていられない。
恥ずかしさと、嬉しさと、動揺で私は困った顔をしていた。
(なんで…こんなことになってるのっ…!?)
それに…バルは私の事を恋人だと言った。
あの日私が恋人になって欲しいと言ったことも、抱いてと頼んだことも…バルにとっては仕方なくでは無かったのだろうか。
私はまた期待してしまっても…いいのだろうか。
私がじっとバルの顔を見つめていると、それに気付いたバルと視線が絡み、バルは優しく微笑んでいた。
その顔を見た瞬間胸の奥が熱くなり、更に鼓動が速くなる。
「わ、私って…バルの恋人…なの?」
どうしようもなく気になって、聞かずにはいられなかった。
「え…?僕はそうだと思っていたけど…、シロは違うの?」
バルは少し驚いた顔をしながら答えた。
「ううんっ…!私達…こ…恋人…だった」
「だった…?」
私が慌てて答えると、バルは少し不満そうに聞き返して来た。
そして私が慌てて困っていると、バルは可笑しそうにクスクスと笑っていた。
「本当にシロは可愛いね…。こんな所で言うのもアレだけど…、僕は最初からシロの事を恋人だと思っているよ」
「そ…それなら…、今日会ってた人は…?」
バルが突然そんな事を言うものだから恥ずかしくなり、咄嗟に私は口走ってしまった。
「今日会ってた人…?……ああ、リゼのこと?でも、どうしてシロが知っているの?」
「……図書室に寄った帰りに、話し声が廊下に響いていたから…少し気になっちゃって…」
「そうか…。見られていたのか…」
「………」
バルは少し困った様に溜息を漏らした。
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