13 / 29
13.決意
しおりを挟む
「聖獣…使い…?」
その言葉を聞くとますますここがファンタジー世界の様に思えて来てしまう。
やっぱり私が住んでいた世界とはまるで違う場所の様だ。
「ふふっ、今度シロにも会わせてあげるよ」
「…う…うん。もしかして…この世界って魔法とかも…使えるの?」
「シロは魔法に興味があるの?勿論、使えるよ…。魔法にも色々種類があって、大きく分類すると戦闘用と生活用の2種類が存在するかな。もし興味を持っているのなら、この建物の中に図書室があるからそこで本を読んだら良い」
「ありがとう…今度行ってみる…」
魔法が使える世界と聞くと、私の胸は高鳴っていく。
先程までは恐怖や不安と言った良くない事が私の心を支配していたが、曇っていた私の表情は明るくなっていった。
(魔法かぁ…。なんだか楽しそう…!私にも使えたりするのかな……)
「シロにいくつかお願いがあるんだ。これはシロを守る為に必要な事になるから…ここでは守って欲しい」
「…身を守る為…だよね…。わかった…」
「ありがとう…。まずこの離宮からは絶対に外に出ないで欲しい。ここに居る限りシロの身の安全は保障するし、生活面では何ら不自由はさせないから…。何か欲しい物などあればいつでも言って、僕に遠慮なんてする必要は無いからね。ここに呼び出したのは僕なんだし、それくらいはさせて欲しい…」
「うん…分かった。外に出なければ良いんだね…。庭とかも…ダメなの…?」
この部屋に移動してくる途中に、窓から大きな庭園が目に入った。
色とりどりの薔薇が沢山咲き誇っていて、まるでおとぎ話の一場面の様に見えて興味を持った事を思い出していた。
「シロは庭に興味があるの…?そうだね…、それなら庭に出るのは僕と一緒にいる時にしようか…」
「ありがとう、バル…」
私は嬉しそうに答えた。
「それから僕には嘘を付かないで欲しい。これはシロを守る為って目的もあるけど、シロには変に気を遣って欲しくないから僕には何でも話してくれる嬉しいかな…。あと…これを付けさせてもらってもいい?」
「ペンダント…?」
バルはポケットからペンダントを取り出すと、私の手の中に入れた。
私はそれを手に取り眺めていると、真ん中には小さな翡翠の様な色をした宝石が嵌られていた。
装飾部分もそれほど大きくは無く、とても可愛らしかったので私はそれを気に入った。
「これ…貰ってもいいの?」
「元々それはシロの為に用意させてものだからね。何か不測の事態が起こった時に役立つかもしれないから…肌身離さず付けていてね…」
「分かった…。バル…色々気に掛けてくれてありがとう…」
「当然の事だよ。早速付けてみようか…」
バルはそう言うと、私の手の中にあるペンダントを取り私の首に付けてくれた。
そして「似合ってるよ」と耳元で言われてびくっと体を震わせてしまう。
「ふふっ、シロは本当に耳が弱いね…可愛いな…」
「もうっ…からかわないでっ…」
私がむっとした顔をするとバルは「ごめんね」と笑いながら謝っていた。
正直バルの事を信じていいのかはまだわからない。
だけど私には他に頼れる人もいないし、下手に動いてバルの言う通りエーレンベルク大国の人間に見つかれば捕らえられてしまう可能性だってある。
暫くはここで大人しくして、様子を見てみることにした。
ここは私のいた世界とは異なる世界。
常識だってきっと違うはずだ。
だからまずはここでの生活に慣れる事と、この世界を知ることが先決だと思った。
それからどうすればいいのかは、またその後に考えれば良い。
その言葉を聞くとますますここがファンタジー世界の様に思えて来てしまう。
やっぱり私が住んでいた世界とはまるで違う場所の様だ。
「ふふっ、今度シロにも会わせてあげるよ」
「…う…うん。もしかして…この世界って魔法とかも…使えるの?」
「シロは魔法に興味があるの?勿論、使えるよ…。魔法にも色々種類があって、大きく分類すると戦闘用と生活用の2種類が存在するかな。もし興味を持っているのなら、この建物の中に図書室があるからそこで本を読んだら良い」
「ありがとう…今度行ってみる…」
魔法が使える世界と聞くと、私の胸は高鳴っていく。
先程までは恐怖や不安と言った良くない事が私の心を支配していたが、曇っていた私の表情は明るくなっていった。
(魔法かぁ…。なんだか楽しそう…!私にも使えたりするのかな……)
「シロにいくつかお願いがあるんだ。これはシロを守る為に必要な事になるから…ここでは守って欲しい」
「…身を守る為…だよね…。わかった…」
「ありがとう…。まずこの離宮からは絶対に外に出ないで欲しい。ここに居る限りシロの身の安全は保障するし、生活面では何ら不自由はさせないから…。何か欲しい物などあればいつでも言って、僕に遠慮なんてする必要は無いからね。ここに呼び出したのは僕なんだし、それくらいはさせて欲しい…」
「うん…分かった。外に出なければ良いんだね…。庭とかも…ダメなの…?」
この部屋に移動してくる途中に、窓から大きな庭園が目に入った。
色とりどりの薔薇が沢山咲き誇っていて、まるでおとぎ話の一場面の様に見えて興味を持った事を思い出していた。
「シロは庭に興味があるの…?そうだね…、それなら庭に出るのは僕と一緒にいる時にしようか…」
「ありがとう、バル…」
私は嬉しそうに答えた。
「それから僕には嘘を付かないで欲しい。これはシロを守る為って目的もあるけど、シロには変に気を遣って欲しくないから僕には何でも話してくれる嬉しいかな…。あと…これを付けさせてもらってもいい?」
「ペンダント…?」
バルはポケットからペンダントを取り出すと、私の手の中に入れた。
私はそれを手に取り眺めていると、真ん中には小さな翡翠の様な色をした宝石が嵌られていた。
装飾部分もそれほど大きくは無く、とても可愛らしかったので私はそれを気に入った。
「これ…貰ってもいいの?」
「元々それはシロの為に用意させてものだからね。何か不測の事態が起こった時に役立つかもしれないから…肌身離さず付けていてね…」
「分かった…。バル…色々気に掛けてくれてありがとう…」
「当然の事だよ。早速付けてみようか…」
バルはそう言うと、私の手の中にあるペンダントを取り私の首に付けてくれた。
そして「似合ってるよ」と耳元で言われてびくっと体を震わせてしまう。
「ふふっ、シロは本当に耳が弱いね…可愛いな…」
「もうっ…からかわないでっ…」
私がむっとした顔をするとバルは「ごめんね」と笑いながら謝っていた。
正直バルの事を信じていいのかはまだわからない。
だけど私には他に頼れる人もいないし、下手に動いてバルの言う通りエーレンベルク大国の人間に見つかれば捕らえられてしまう可能性だってある。
暫くはここで大人しくして、様子を見てみることにした。
ここは私のいた世界とは異なる世界。
常識だってきっと違うはずだ。
だからまずはここでの生活に慣れる事と、この世界を知ることが先決だと思った。
それからどうすればいいのかは、またその後に考えれば良い。
0
お気に入りに追加
1,128
あなたにおすすめの小説
私を捕まえにきたヤンデレ公爵様の執着と溺愛がヤバい
Adria
恋愛
かつて心から愛しあったはずの夫は私を裏切り、ほかの女との間に子供を作った。
そのことに怒り離縁を突きつけた私を彼は監禁し、それどころか私の生まれた国を奪う算段を始める。それなのに私は閉じ込められた牢の中で、何もできずに嘆くことしかできない。
もうダメだと――全てに絶望した時、幼なじみの公爵が牢へと飛び込んできた。
助けにきてくれたと喜んだのに、次は幼なじみの公爵に監禁されるって、どういうこと!?
※ヒーローの行き過ぎた行為が目立ちます。苦手な方はタグをご確認ください。
表紙絵/異色様(@aizawa0421)
黒豹の騎士団長様に美味しく食べられました
Adria
恋愛
子供の時に傷を負った獣人であるリグニスを助けてから、彼は事あるごとにクリスティアーナに会いにきた。だが、人の姿の時は会ってくれない。
そのことに不満を感じ、ついにクリスティアーナは別れを切り出した。すると、豹のままの彼に押し倒されて――
イラスト:日室千種様(@ChiguHimu)
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
ハズレ令嬢の私を腹黒貴公子が毎夜求めて離さない
扇 レンナ
恋愛
旧題:買われた娘は毎晩飛ぶほど愛されています!?
セレニアは由緒あるライアンズ侯爵家の次女。
姉アビゲイルは才色兼備と称され、周囲からの期待を一身に受けてきたものの、セレニアは実の両親からも放置気味。将来に期待されることなどなかった。
だが、そんな日々が変わったのは父親が投資詐欺に引っ掛かり多額の借金を作ってきたことがきっかけだった。
――このままでは、アビゲイルの将来が危うい。
そう思った父はセレニアに「成金男爵家に嫁いで来い」と命じた。曰く、相手の男爵家は爵位が上の貴族とのつながりを求めていると。コネをつなぐ代わりに借金を肩代わりしてもらうと。
その結果、セレニアは新進気鋭の男爵家メイウェザー家の若き当主ジュードと結婚することになる。
ジュードは一代で巨大な富を築き爵位を買った男性。セレニアは彼を仕事人間だとイメージしたものの、実際のジュードはほんわかとした真逆のタイプ。しかし、彼が求めているのは所詮コネ。
そう決めつけ、セレニアはジュードとかかわる際は一線を引こうとしていたのだが、彼はセレニアを強く求め毎日のように抱いてくる。
しかも、彼との行為はいつも一度では済まず、セレニアは毎晩のように意識が飛ぶほど愛されてしまって――……!?
おっとりとした絶倫実業家と見放されてきた令嬢の新婚ラブ!
◇hotランキング 3位ありがとうございます!
――
◇掲載先→アルファポリス(先行公開)、ムーンライトノベルズ
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ヤンデレ義父に執着されている娘の話
アオ
恋愛
美少女に転生した主人公が義父に執着、溺愛されつつ執着させていることに気が付かない話。
色々拗らせてます。
前世の2人という話はメリバ。
バッドエンド苦手な方は閲覧注意です。
推しの兄を助けたら、なぜかヤンデレ執着化しました
群青みどり
恋愛
伯爵令嬢のメアリーは高熱でうなされている時に前世の記憶を思い出し、好きだった小説のヒロインに転生していると気づく。
しかしその小説は恋愛が主軸ではなく、家族が殺されて闇堕ちし、復讐に燃える推しが主人公のダークファンタジー小説だった。
闇堕ちしない推しと真っ当な恋愛を楽しむため、推しの家族を必ず救うと決意する。
家族殺害の危機を回避するために奮闘する日々を送っていると、推しの兄であるカシスと関わるようになる。
カシスは両親殺害の濡れ衣を着せられ処刑される運命で、何より推しが心から慕う相手。
必ず生きてもらわねば……! と強く願うメアリーはカシスと仲良くなり、さらには協力者となる。
「(推しの闇落ちを防ぐために)カシス様には幸せに生き続けて欲しいのです」
メアリーはカシス相手に勘違い発言を連発する中、ついに推しの家族を守ることに成功する。
ようやく推しとの明るい恋愛を楽しめると思っていたが、何やらカシスの様子がおかしくなり──
「君は弟を手に入れるため、俺に近づいて利用しようとしていたんだね」
「俺に愛されて可哀想に」
これは推しと恋愛するため奮闘していた少女が、気づけば推しの兄の重い愛に囚われてしまったお話。
ヤンデレお兄様から、逃げられません!
夕立悠理
恋愛
──あなたも、私を愛していなかったくせに。
エルシーは、10歳のとき、木から落ちて前世の記憶を思い出した。どうやら、今世のエルシーは家族に全く愛されていないらしい。
それならそれで、魔法も剣もあるのだし、好きに生きよう。それなのに、エルシーが記憶を取り戻してから、義兄のクロードの様子がおかしい……?
ヤンデレな兄×少しだけ活発な妹
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる