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第17話・後 ビッチ共に、一途になる素質はない!!

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 さっきの道路に戻ってきた。このまま道路を下っていけばN県から出られます。

「お?雲母ちゃんうぇーい!用事終った系?じゃあそろそろいいちゃうし?!」

 脇が臭くてチンポが大きそうなサッカー部のチャラい先輩が走る雲母ちゃんの前に立ちました。

「どけ。あたしには用があるんだ。今のあたしは寛大だ。どけばゆるしてやる」

 実際今の雲母ちゃんは機嫌がいい。いつもならそのまま走って体当たりされたやつはミンチになって死んでます。わざわざ止まってあげてる辺りに寛大な心が感じられます。

「あれ?なに?雲母ちゃんツンデレ期?うぇーいwwあれっしょ?ちょっとビビってる系でしょ?大丈夫大丈夫!最高の初体験キメてやるし!まかせろし!!」

 そういって脇の臭(以下略)男は雲母ちゃんの両肩に手を置きます。恋人同士ならよく見る風景です。実際この二人はNTR契劃の一環とは言え付き合っていますし。ですがそれはもう過去のです。

「…ふえぇ。触られた?男があたしに触ってる?」

「え?そりゃ付き合ってるんだし触るっしょwwwもっときもちよくしてやっからさwww」

「気持ち悪い。いや。いや。いやぁああああああああああああああああああああ!!!!」

 雲母ちゃんが半狂乱で叫びました。すると彼女の後ろが蜃気楼のように歪みます。そして。ひゅんと風を切る音がしました。

「え…うぎゃあああああああああああああああああああああ手が!手がぁあアアアアアアアアアア!!!!ああああああ!!!」

 サッカー部のキャプ(以下略)男の両腕がその場でポロリと地面に落ちました。何かによって切られたのです。蜃気楼から手が生えていました。その手には剣が握られていて、刃にはべっとりと血がついていました。

「きたないきたないきたないきたない!いやだいやだいやだ!ああ!ああああ!我に忠誠を近いし騎士どもよ!汝らが主の処女おとめを穢さんとする不届き者に懲罰を与えよ!」

 陽炎の中から蝋でできた白い人形たちが出てきます。それらは外に出た途端に燃えはじめ苦悶のような呻き声をあげ出しました。

『うおぉおお』『ごぼぉおお』『あついぃあついぃい』『ひめぇ!ひめぇ!』

 なんとも悍ましい軍勢が現れました。蝋人間たちは先輩を取り囲み。

「やめ!やめろぉ!!!」

 もっている武器で男を殴ります。とても酷いことに一撃で殺せるはずなのに、明らかに加減がされていることです。弄るためのリンチが行われています。

「もっとだもっともっともっともっともっともっとぉ!!そいつはあたしに触れた!あたしに触れていい男は一人だけなのにぃ!!その男はお前たち騎士が愛するあたしを汚そうとした!!汚い汚い汚いぃ!汚物には分を弁えさせろ!至天の姫たるこのあたしに触れた罰を下せ!」

「ぎゃぁやめてやめ…ごめんなさい…ごめんなさい…許してぇ!!」

「その男の臭い口を灼け!!言葉などこのような蛮人には相応しくない!命乞いなど許すな!!何も許すな!許さないぃ!!!絶対に許さないィ!!」

「うぼぉぉxxxxx!!!!!!!!!!!!」

 灼けた剣の先を口の中に入れられた男は苦悶の音だけを漏らします。あまりにも憐れな光景。でも仕方ないんです。だって雲母ちゃんは恋する乙女だから。好きな人にだけ触れたい。好きな人にだけ許したい。好きな人とだけ交わりたい。

「お前はあたしの体を厭らしい目で見ていたな!許さない!!目を灼け!お前はあたしの匂いを嗅いで劣情をもよおしていたんだろう?許せない!鼻を灼け!!お前はあたしの声に夜伽の期待をしたな?!許せない!耳を灼け!!」

 蝋人形たちに焼き鏝代わりの剣をあてられてどんどん焼かれていく男。でも仕方ないんです。雲母ちゃんはもとより罪人。他者への哀れみなんて欠片も持ち合わせていないんですから。

「あれを潰して灼け。あたしの中に入ろうと画策するだけでもはや悍ましい罪である。許さない!そう企図することそのものが許せない!!」

 そして蝋人形たちは男の股間を燃える剣で叩いて潰して焼き払いました。たぶんちんちん大きかっただろうに可哀そう。でも仕方ないことです。好きな人以外のちんちんなんてこの世にない方が絶対にいいに決まってる。わたくしだってそう思います。

「お前はきっと頭の中であたしを何度も何度も淫らに抱いたな?そんなの許せない!許さない!!轢き潰せ!!脳髄をぶちまけてすべて踏みつぶし焼き払え!!!あたしの淫らな姿を想像した細胞!一片たりともこの世に残すな!!!」

 そして男の頭が割られます。地面にぶちまけられた脳みそを蝋人形たちが丁寧に踏みつぶしながら燃やしていきます。そしてとうとう男の死体のすべてがはいとなってこの世から消えたのです。蝋人形たちも仕事を終えて消えていきました。

「わーお最高にいかれてる!さすがファンタスティックビッチ雲母ちゃん!」

「ごめんごめんごめんごめんレオォレオォ!あたし触れられちゃったよう!肩を汚いやつに触れられちゃったの!許して!許してぇ!こんな汚いあたしを許してぇ!!」

 雲母ちゃんはまだ肩に触れられたことを気にしてます。さすがに鬱陶しいのでわたくしはフォローしてあげることにしました。ウェットティッシュをカバンから出して雲母ちゃんに渡します。

「これで拭いてください。大丈夫ですよ。キスより先がなければたいていの場合セーフです!ネットにそう書いてありました!!」

「そうなのか?レオはこんなあたしでも許してくれるのか?」

「大丈夫大丈夫!レオ先輩を信じましょう!あの人は優しいことだけが取りえです!わたくしたちの事もきっと受け止めてくれます!」

 そう、あの人は優しい。優しいことが取りえだと胸を張って言えるくらいに優しい。だから大丈夫。わたくしたちがどれほど悍ましい存在であっても、どれほどの罪を過去に犯していても、きっと受け入れてくれる。愛してくれるのだ。

「じゃあ行きましょう!レオ先輩を探しに!」

「待て。その前に家に帰って着替える。こんな服でレオに会ったらビッチだと思われてしまう…それは避けたい」

 旅立つ瞬間におかしなグズを言い出した。いますよね。出かける直前に忘れものとか言い出して部屋の中を漁り始める女。そのうち化粧とかも気になって直し始めたり、化粧に合わせて服変えたりしていつまでもぐずぐずして出かけられない女。

「あーもう!締まらない人だなぁ!!ここはそこにあるバイクに乗って二人で旅立つシーンでしょ!!」

「あんな脇の臭う男のバイクになど乗りたくない」

「解りましたよ!!もう!でも着替えだけにしてくださいね!!わたくしだって早くレオ先輩に会いたいんですから!!」

 そしてわたくしと雲母ちゃんはN県から出てレオ先輩を探す旅にでたのです。

*/

/*ここから先はコメントアウトです!読み飛ばしてください!*/

//過去はいつでも後ろにいる。
//いつか必ず追いつかれる。
//捨てたはずのものが、足元に縋ってくる。
//振り払いたくても追い払いたくても。
//罪からは逃れられない。


/*読み飛ばしましたか?!では次回予告です!!*/

次回予告!

ツインテール。それはツンデレの代名詞。
ツインテール。それは現実でやると痛い女扱いされる禁忌の髪型。
ツインテール。それは長さによって落とすまでの時間がわかるパラメーター。


ある日突然巧美たんの髪型がツインテールからサイドテールに代わり、おれは激しく動揺する!
女が髪型を変えた時、それは大抵の場合恋をした時か、失恋した時と相場が決まってるって陰キャの間ではもっぱら有名なミーム(偏見)である!
取り合えず女が髪型を変えた時は「髪切った?って言えば好感度がうなぎ上りになる」の法則を使い探りを入れることにした!

「へ…へぇ…髪切ったんだ…」

「え?切ってはいないけど…」

よく見ればマジで長さは変わっておらず、ただ結び目を変えていただけの状態に打つ手なしになる俺!
何かを期待するように髪の毛のさっきっぽを弄る赤い顔の巧美たんに俺は激しく萌えて何も言えなくなってしまう。
そこへやってきたレイカが。

「あれ?髪型変えたんだ!それに去年の誕生日にあげたリボン使ってくれたんだ!嬉しいな。可愛いよ巧美!」

とすごくスマートな褒め言葉を口にするレイカ。どことなく中古の匂いを漂わせる刕彁のイケメンぶりに俺の嫉妬の炎は激しくヒートする!

「え?このリボンレイカからもらったやつだったっけ?えー。あーそっかー。うーん。あはは。(てか空気読んでよ…はぁ…せっかくリオンと2人っきりでいれたのになぁ)」

 いつもならここで。

「別にあんたのために髪型を変えたんじゃないんだからね!リオンに褒められたかっただけなんだからね!」

っていうはずなのに、まるでリアル女子的な曖昧な態度を取る巧美たんに俺は激しく狼狽える。
それに無自覚イケメンチート系やれやれ鈍感難聴非自発的ボッチの俺にかっこの中の言葉は聞き取れない!
だがそこで俺はある閃きに至る。

「俺自身も髪型を変えればいい!」

そして俺は最近流行りの前髪ばってんクロス型俺TUEEE主人公の如く髪の毛を下ろす。顔の半分が前髪に隠れた途端、突然窓をぶち破ってファンタスティックビッチが教室にダイナミック転校してきた!

「(レオンの)チンポが大好きな楓雲母です!よろしくお願いします!」

当然かっこの中が聞き取れない俺は突然のビッチ発言に激しくドン引きする。いやかっこの中が聞こえても普通にドン引きレベルの発言だったが、美少女なのでスルーされる。

「ん?どうしたん?話聞こうか?」

「あたし(レオンの)チンポが好きなの。あたしって変な子だよね…」

そこへラノベ業界ではよくいる優しいだけが取りえのボッチが、理解ある彼くんムーブで雲母に近づく!

「そんなことないよ!雲母ちゃんはかわいいよ!」

「かわいい?!そんなこと言われたの初めて…」

 いっそそのまま2人で「推しのキミはチンポが好きすぎるので、ボクは理解ある彼くんでいいよ」みたいなよくありそうなラブコメラノベみたいになればいいのにと俺は必死に祈りを捧げる!
だがこの世界の神は残酷だった。

「あたし(チンポ見るの)はじめてじゃないの」

「それでも君が好きだ」
 
 理解ある彼くんの理解あるムーブが処女厨共が嫌う彼女の過去を受け入れる男の器の大きな感動の光景を産み出す。だがそれは雲母ちゃんの卑劣なる罠!

「うん!あたしまだそこにいる元カレのレオンが大好きなの!だから応援してくれるよね!」

「…うん。ボクはチンポが好きなキミを推してるから…」

 突然元カレ設定をぶち込んできたあげく、俺がまるで中古であるかのような設定をぶち込んできたファンタスティックビッチ雲母ちゃん!
理解ある彼くんの宇宙レベルの理解力によって導かれたレオン攻略法により、俺と雲母が付き合ったこともないのに、再び付き合うことになるような流れになっていく。
だが俺には今や助けてくれる親友がいる!そこでレイカが一発逆転の秘策を打ち出す。

「その理解力で好きな人と付き合えないんだから、結局理解力なんてないんじゃない?理解力があると思っているだけで彼女の事がわかっているわけでもなく、ただただ女の言いなりになっていることを理解ある誠実な振る舞いだと勘違いしてるんじゃない?むしろ女の子って自分の言いなりになるような弱っちい男の事を激しく軽蔑するもんだよ。それに優しいだけが取りえの人と付き合うと疲れるってこの間マッチングアプリで二番目のセフレになった女の子もボクのムスコをちゅぱちゅぱしながら言ってたよ」

あまりのド正論に俺まで心が痛くなり、理解ある彼くんの心は壊れ果てる。
とりあえず現実逃避することにした俺は巧美たんの手を引っ張って九十九里浜に逃げることを決意したのであった。

次回! 

『俺に、普通に女の子とデートできる素質はない!(もう…リオンたらゴーインなんだからぁ♡)』


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