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第16話・エピローグ ボクたちに、大切な人を見捨てる素質はない!!

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 涅杜君を抱えて走り続け、ボクは何とか9階層についた。気絶した涅杜君を木の幹によりかからせて、ボクは彼の肩を揺さぶる。

「起きて。起きてくれ涅杜君」

「ん…ふわぁ。お?レイカじゃん。あれ?ここどこ?欹愛んとフワワちゃんは?」

「ダンジョンの9階層。あの二人ならほら聞こえるだろ?」

 10階層の方から爆音が断続的に続いていた。あの二人の戦闘はあまりにも激しすぎてここまで音が響いていた。それが神霊の域に達した者たちの戦闘。

「いいかいよく聞いて。涅杜君はアイテムを使ってこのダンジョンから脱出して」

「え?それは駄目だろ。欹愛んが残ってんだろ。俺だけ帰るなんてなしでしょ」

「ボクが残って姐さんの脱出のサポートをする。だから安心してくれ」

 ただ正直きついかも知れない。欹愛姐さんはもはや正気ではないはずだ。暴走状態のはず。

「勇者だからか?一人残りたいのは?」

「そうだよ。って言いたいところだけど。違う。欹愛姐さんが涅杜君がここに残ることを望んでないから。きっと見られたくないはずだよ。神の域に達してしまった姿を君にはね」

 欹愛姐さんは正体を今日初めて知ってしまった。吉備津彦命。桃太郎伝説の原典に当たる人物。どういう経緯かはわからないけど、現代に蘇ってきたのだろう。桃太郎伝説の原典は血なまぐさい抗争が元だったという説がある。欹愛姐さんは恐らくその罪故に『鬼神』に堕ちてしまったのだろう。多くの人々に信仰されるものは、同じくらい呪われる。その罪の源であるかつての姿を好きな人に見られたいなどと思うだろうか?

「君だって怖いだろう?今の欹愛姐さんは大地を砕き、海を割るような怪物だよ。暴走状態だから不用意に近づけば僕たちなんて一瞬で死ぬよ。怖いだろ?」

 ボクは涅杜君が戻ることを諦めてくれるようにできるだけ厳しい声で語りかけた。だけど涅杜君はけろりとした笑みで言った。

「え?別に。ちっとも怖くないけど?」

「ふぇ?涅杜君わかってないの?ボクたちなんて一瞬で殺されるような世界だよ!怖くないわけないはずだよ!」

 きっと彼はわかってないんだと思う。この人は最近異能者になったと聞いている。だから異能が当たり前の世界の恐ろしさをきっと何もわかってないんだ。いつまでも一般人のまま能天気な人なんだ。そう思った。だけど。

「レイカ。人間はトラックごときに挽かれて死ぬような弱っちい生き物なんだよ。トラックより強いものは全部誤差だよ!誤差!」

「はぁ?トラック?」

「そう!トラック!トラックは怖いぞ!俺一回引かれて死にかけたからな!わはは!そう言えばその時自称神に会ったぞ!殴り殺してやったけどな!フハハ!」

 能天気だ。バカみたい。いつもヘラヘラとしていて、何にも考えないでフラフラしてるだけの男に過ぎないんだ。皆なんでこの人に好意を寄せるんだろう?顔以外に何のとりえもないバカなのに。

「だからさ。別に怖くないよレイカ。それより欹愛んとこのまま離れ離れになっちゃう方がきっとつらいよ。別にさ、その正体が神様なのか何なのか知らないけど、そんなのどうでもよくない?欹愛んが神様だろうが鬼だろうが俺の傍にいてくれるならかまわないよ」

「触れるだけで死ぬかもしれないのに?」

「傍にいなくて心が傷つくよりずっと良くない?俺はそう思うよ。昔のことだ。ある男がいた。その男には大切な人たちがいた。だけどその人たちは傍にいたのにその男と心を通じ合わせることがなかった。体は近くにいたのに、心は遠かった。だからその男の心はカサカサに乾いてそして壊れてしまったんだ。俺がここで欹愛んから離れて逃げたらさ。欹愛んきっと傷つくよ。俺はそう思うんだ。一緒に住んでるしそれくらいの情はあるって思う。それは嫌だよ。離れたくない。繋がっていたいんだ。だからここから逃げない。死ぬのは怖くない。心が離れて死ぬ方がずっと怖い」

 涅杜君はどこか悲し気に笑った。でも言葉に嘘はきっとない。そう理解してしまった。

「っ…。君は…そうか…君が大切にしたいものはそれなんだね…そうか。そうか!」

 ボクも彼の笑顔につられて笑う。だけどボクは悲しくなんて笑ってやらない。だってボクは勇者になるから。

「ボクは勇者になる男だ」

「おう知ってるぞ」

「だからこれから君を助ける!だから君は欹愛姐さんを助けてくれ!」

 ボクは彼に手を伸ばす。涅杜君はボクの手を掴む。ボクは彼の手を引っ張る。頭一つ分以上彼の方が背が高い。背の高さは正直羨ましい。

「涅杜君さっきフンババに乳首吸われてたよね?彼女と仲いいの?」

「…ああ…うーん。いい方だと思うよ。うん。でもレイカはさっきのあれは他の人には言わないでくれ…どうしても乳首ちゅぱりたいって頼まれて。俺どうしても断れなくて…。だってフワワって神話じゃかわいそうな奴だし。目がウルウルしてたし。義父とは仲わるいからおぎゃりたがってて。ホンと言わないでくれよ。これが童貞厨共に知られたら、おれは中古のレッテルを張られてしまう」

 童貞厨ってなに?中古扱い?涅杜君の言葉はよくわからない。だけどフンババとコミュニケーションが取れるレベルには好かれているのは間違いない。

「いや言わないから。むしろ信じてもらえないからね。まあいいよ。じゃあ最悪の場合フワワは説得可能ってことだよね?なら何とかなる」

「なんかこの状況をなんとかできるのか!さすが勇者!さすゆう!」

「ボクがフワワを数分だけどなんとか足止めしてみせる。君はその間に欹愛姐さんを止めてくれ。止まったら三人でフンババに許しを乞う、最悪もう一度君の乳首をちゅぱちゅぱさせれば何とかなるんじゃないかな?」

「え?やだ!乳首ちゅぱちゅぱされるのはもう勘弁!やめて!あいつまじでねっとり舐めてくるんだよ!もういやにござる!」

「それが嫌ならちゃんと欹愛姐さんを止めてね。じゃなきゃ君をフンババに売り払ってしまうからそのつもりで」

「わかった!まかせろ!」

 ボクと涅杜君は互いに拳をこつんとぶつけ合う。ちょっと楽しいって思った。こういうの初めてだ。ボクにはあまり友達がいない。男同士で一緒に戦ったこともあんまりない。なんかこういうのちょっといいかもしれない。そう思った。そしてボクたちは走る。欹愛姐さんとフンババのところへ。




 10階層に入ってすぐに二人の姿を見つけることができた。超高速で木々を飛び回りながら互いに光弾や斬撃を飛ばし合って牽制し合っていた。攻撃の余波でどんどん木々が倒れていく。

「涅杜君!今ボクが隙を作る!!うおおおおおおおお!!」

 欹愛姐さんとフンババが切り結ぶ間にボクは飛びこむ。

「権能解放!世界を救う力を我に与えたまえ!!」

 ボクだけがもつオリジナルスキル『勇者』。その力は条件付きだが万能。今発動したのは身体能力や反射速度を一時的に超強化する力だ。人間の身で神域に至ることができるボクの切り札。もちろんノーリスクではない。使った後は反動でほぼ何もできなくなってしまう。あくまでも短期決戦用の力なのだ。

「神々廻流!奥義彁謳陣せいおうじん

 気功を纏わせた太刀と刀の二刀流の剣技でもって二人の攻撃を一瞬だけいなす。

「ほう?!ほうほう!!なんじゃ!汝戻ってきたのか!!よいのう!それでこそ当代の勇者候補じゃ!!」

「鬼ヲ討ツ邪魔ヲスルナァ!」

 欹愛姐さんはそれはそれは酷い様子だった。姿は美しいのに、その殺気の禍々しさ、存在そのものが放つプレッシャーの畏ろしさ。見られたくないのもわかるよ。

「ごめんねぇさん!!」

 ボクは姐さんの鳩尾を思い切り蹴る。そしてその反動でもってフンババに体当たりして。2人の距離を離してみせた。そしてボクとフンババは戦闘状態に突入した。

「ナイスだレイカ!あとはまかせろ!!」

 そして隠れていた涅杜君が欹愛姐さんに向かって走っていく。

「…リ…オン…いや!いやああああああああああああああああ!!!」

 姐さんの周りに神力が吹き荒れる。甘い桃の匂いが鼻を鋭くついてくる。それは嵐によく似ていた。違うのは一発でも当たればその場でアウトってこと。だけど涅杜君はその嵐を恐れずに突っ込んでいく。

「我が王権果てしなく!我が王威轟き!我が王国に万民の安らぎ在り!!…えーっと…とにかくダイブ!!!」

 何かの技のはずなのに技名がグダグダだった。だけど彼の体はとても煌めいて美しい虹の光に包まれていた。その虹の光は姐さんが放った嵐をかき消していく。

「そんないやだ!いやだ!こないでこないでぇ!いやなの!見ないで!この角を!この角を見ないでぇ!!」

 欹愛姐さんはさらに嵐を噴き上げる。だけどその嵐はすべて涅杜君にかき消される。そして涅杜君はとうとう欹愛姐さんの所に辿り着き、

「捕まえたぞ!!ひゃっはー!がまんできねぇ!!」

 涅杜君は欹愛姐さんを押し倒したのだった。そして涅杜君は何と欹愛姐さんの角をちゅぱちゅぱと舐め始めたのだ!!

「「?!」」

?!!!??!?!?!?%$#””UU(())””~=!!あまりの光景に一瞬脳みそがバグってしまった。それはボクと戦っていたフンババも同じだったらしい。僕たち二人は手を止めて呆然と目の前の光景を見ていた。

「ちゅぱじゅぼぼぼぼぼぼちゅあぱ」

「いやっ!そこぉん!だめぇ!ああっ!ん!だめ!あんあんん!んっだめだめだめ」

「おじゅぶぶちゅぱちゅぱれろぉじゅじゅ!」

 二つの角を交互にそれそれはなんかこう…ね?あれなビデオの女優さんの如く舐め倒している。

「ぁはぁだめなのぉ!りおん!だめ!いやん!いやいやいや!んっあっ…んっ…っくっあ…」

 イヤイヤ言ってるのに欹愛姐さんは顔を真っ赤にして口をだらしなく開いてまるで笑っているように見えた。…すごく見たくなかったか顔だ。ボクは今日何回淡い恋の思い出を裏切られればいいんだろう?そして。

「いや!ああああんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん♡♡!!」

 一瞬特大の神力の嵐が天に向かって吹き荒れた。そしていつもより太くて大きくなっていた角は小さく細いものに戻った。それと共に彼女を包んでいた良くない気配も消え去った。そして安らかな顔で欹愛姐さんは倒れた。

「…リオン…私は罪人なんだ…それでも…綺麗なお前のそばにいていいのか?」

 倒れた姐さんを涅杜君はお姫様抱っこで抱える。
 
「その罪ってさ。欹愛んが望んでやったこと?」

「違う。やりたくなかったんだ!でも国の為に後の世の為に!必要だと私は私は!」

「ならいいさ。正直言って罪の償い方とか許し方とかは俺にはわかんない。だけど俺は欹愛んの傍にいるよ。欹愛んが自分で自分を許せる日まで一緒にいるさ」

「うん!うん!一緒にいてくれ!りおん!りおん!うわあああああああああああああああああああん!」

 欹愛姐さんはまるで子供の様に泣いた。そっかこういうところが好かれる理由なんだな。

「…ズルい!ちゅぱちゅぱされるなんてズルいのじゃ!許せん!お前らなんて顔も見たくない!!」

 フンババは不機嫌そうな声でそう言った。そして指を弾くとボクと涅杜君たちの周りに葉っぱが渦を巻く。あの時と同じおそらく転送の術だろう。

「フワワちゃん!またなぁ!」

 涅杜君が呑気にフンババに別れを告げた。

「次は乳首以外もちゅぱちゅぱしてやるからのう!覚悟しておくのじゃ!!」 

 そして涅杜君たちの姿は消えた。ダンジョンの外に転送されたようだ。

「勇者候補生。一つ神からのお告げをくれてやろう。お主とリオン。お主らは良き友となるだろう。ギルガメッシュとエンキドゥの様に。だから予言しよう。お前たち二人のどちらか一方が今もっている夢を諦める・・・・・ことになる。かつてのわが友エンキドゥがギルガメッシュの夢を叶えたあとに天罰で死んだように。どちらかの夢が散るのだ」

「なんだその戯言!ボクも涅杜君もそんなこと絶対にしない!夢を諦めるなんてことありえない!」

「ありえるのじゃ。わっちにはわかる。これは天啓じゃ。そして神話の変奏。王子は死に、そして王は永遠に生きるのじゃ」

 ボクは思わず息を呑む。フンババの声は冷たい。そしてそれは予言が事実であることを告げている。そう思えてならなかった。

「だからいやなのじゃ。神というものは…。お主ら人間の悲劇をいつも見過ごすばかりで、何もできやせん。義父上もギルガメッシュをこんな気持ちで見送ったのかのう。求めるものなどみつかりはしないのに、それでも送り出さねばならぬ。リオンに伝えておいてくれ。汝の笑顔が曇ることがあればいつでもこの森に来いとな。あの子が何もかもを失ったとしてもせめてわっちはそばにいてやると」

 フンババは儚げに笑ってボクに伝言を残した。そしてボクもまた地上に転送された。こうして今回の騒動は幕を下ろしたのだった。







/*ここから先はコメントアウトです!読み飛ばしてください*/


//さあ予言は下された。
//予定された悲劇まであと少し
//2人の王子の夢は同時には叶わない
//同じ箱庭の財を分かち合うことはできない
//だけどせめて神の悪夢との和解を果たせるものがいることを祈る

/*読み飛ばしましたか?!では次回予告です!!*/


次回予告!

ギャル!それはトップカースト女子!
ギャル!それは非モテ陰キャの高根の花!
ギャル!それは童貞を焼き尽くす太陽!
ギャル!それはサイドテールにして髪の毛明るくして爪伸ばしてキャラデザすればだいたいそう見えるわりと安直な設定!


百合百合教師ズとの同居生活でおなぴー出来ずにいた俺はケーブルテレビなる伝説のAV見放題のチャンネルを求め一人繁華街に繰り出す!
ラブホのテレビならばそのチャンネルが見られることを知った俺は、ティッシュを抱えてラブホに突撃する!
だがそこにあったのは古き良き時代のやり手婆の窓口ではなく、タッチパネル型の全自動チェックインシステム!!
当然使い方のわからない俺は激しく狼狽える。
なんとかスマホで検索して部屋に入ることに成功した俺は最高の一人遊びを終えてお顔を艶々にして部屋を出ようとする。
しかし今度はチェックアウトの方法がわからず、部屋に閉じ込められてしまう!!
そこへどう考えても経験済みなギャルビッチが俺の部屋に間違えて入ってきてしまった!
「あっれー?部屋間違えちゃった!やべまじうけるんですけどwwwとりまタピオカキメない?」
「いやおれナタデココ派なんで…」
ギャルの持つ圧倒的な陽のオーラに当てられた陰キャの俺は全くうまくコミュニケーションできない!
俺の事を放っておいて、ギャルは一人で部屋の中の探索を始める。
「ゴムがマジである!」「なにこれ?え?何の自販機?」「え?なんでこれブルブル震えてるの?!」「ふえぇゴムって裏表あるし、なんかぬるぬるしてるんだね」
などとどう考えても経験済みな感じじゃない台詞を放ち、俺は妙な気持ちになってしまう。そして明かされる驚愕の事実!
「じつはうち。元カレはいっぱいいるけど、キスもしてないし、そこから先もまだなんだよね…」
またも処女厨を悩ませる設定、カレピはいたけど粘膜は新品です問題が発生し、俺は頭を抱えてしまう。
「あたし、二番目のセフレでいいから…」などとギャルは俺に向かって甘く囁く。
思わぬ童貞卒業のチャンスにそもそも1番目のセフレさえいないのに頷きかける俺だった。
だがそれこそが敵の罠!

なぜならこの部屋はセックスをしないと出られない部屋だったのだ!!


次回

『俺に、流されビッチ(未遂)ギャルにガチ説教する素質はない!!』





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