支配するなにか

結城時朗

文字の大きさ
上 下
14 / 19
第二章

別人格誕生のきっかけ

しおりを挟む
麻衣は西野に自分の過去を打ち明け始めた

麻衣「私、過去にいじめにあったの。  突然理由もなく」
西野「・・・」
麻衣「理由は、ただの嫉妬」
西野「嫉妬?」
麻衣「なぁちゃんさ、だいぶん前にこの傷のこと聞いてきたよね?」

西野にこめかみの傷を見せる

西野「あぁ!  あの時何も知らんから聞いて、めっちゃ睨まれたやつ」
麻衣「その時は、触れて欲しくなくて、この子無神経だなって思ったけど、よく考えたら、理由知らないもんね!」
西野「その傷ってまさか?」
麻衣「そのまさかだよ。  私をいじめたのは4人。」

ーーーーー麻衣の学生時代ーーーーー
学校の小さな倉庫に麻衣と他の生徒が4人いた。

生徒A「お前さ、顔が腹立つんだよね。 男子に媚び売った感じとか」
麻衣「そんなことしてない!」
生徒C「その目!私何しても可愛いんです!みたいな顔」
生徒D「マジムカつく!傷つけたいよね!」

何かを発見する生徒B

麻衣N「何しても、ムカつく、謝ってもムカつくって言うだけで、挙句・・・」
生徒B「ねぇ!コレ見てよ!」

デザインカッターを取り出す生徒B

生徒A「麻衣を 押さえて!顔の皮膚めくってやろうよ!」
麻衣「やめて!ねぇ!」
生徒B「動くなよ!動くと、深く刃が入っちゃうよ!」

笑い合う4人

麻衣「私が気に食わないだけでしょ?  ならもう学校に来ないから!」
生徒C「その態度がムカつくって言ってんの!まだ、わかんないかなー?」
麻衣「私にできることならなんでもするから!」
生徒D「なら、黙っててよ!すぐ終わるし!」

生徒Bがこめかみに刃を当てる。
皮膚に食い込んでいく刃先。
やがて、こめかみから一筋の血が流れ落ちる。
この時、麻衣の中に激しい憎悪が生まれる。

麻衣N「この時だと思う。  自分の感覚がおかしくなっていたのは」

ーーーーー後日・学校の廊下ーーーーー

廊下を歩く麻衣。
長い髪で隠しているが、傷の痕がある。
前から歩いてくる生徒AとC
2人に当たらないように道を避けるが、足を引っ掛けられ転ぶ麻衣
大笑いしてる2人
その時、麻衣の中にあった憎悪は、殺意へと変換される。
そして、その殺意が麻衣の心を支配していった。

声にならない小さな声で話している

麻衣「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す・・・・・・」

この時、麻衣ではなく、別人格であるカイが誕生したのであった。

ーーーーー放課後・学校の屋上ーーーーー

屋上に1人でいる麻衣
そこに笑いながら来る生徒AとC
生徒A「ねぇ!  私たちに何の用?」
麻衣「・・・」
生徒C「なんか言えよ!」

胸ぐらを掴みに行こうとしたCの腕から血が吹き出す。
その血は、Aの顔に掛かる
何が起こったのか分からなかったCだが、自分の状態を見て患部を押さえながら呻き声をあげる。
Aは、Cに近寄る

生徒A「大丈夫?ねー?」

振り向いて麻衣のもとへ行く。

生徒A「お前何して・・・」

途中まで言いがかった時、自分の置かれている状況を把握したA
首元に、千枚通しが突きつけられていた。

ーーーーー現在・西野の部屋ーーーーー

麻衣「何があったかは、うっすらとしか記憶にないんだけど、もうひとつの人格に支配されてたことは確か」
西野「その後は?」
麻衣「殺す気だったと思う・・・」

眉間にシワがよる麻衣

ーーーーー放課後・学校の屋上ーーーーー

麻衣「お前らさ、オレが理由聞いた時答えもせずに、顔傷つけたよな?」
生徒A「オ、オレ?」
麻衣「どうなんだよ?」

刺さらないようにゆっくりと頷くA

麻衣「どうする?この傷、一生消えないってさ!」
生徒A「とりあえず、これ降ろそうよ!」
麻衣「随分都合が良いんだな」
生徒A「謝るから!  ね!  だったら他のさ、BとかDとかも呼ぶから!  なんでもするから!」

立ち上がり、Aを追い詰めて行く

麻衣「あんなやつよりさ、とりあえずお前ら2人を殺そうかなって」
生徒C「やめてよ!謝るから!」
麻衣「何?  怖いの?  自分らがやった事はどうでも良くて、自分たちの保身のためで、命が欲しいだけだろ?」
生徒A「違う!」
麻衣「だったら、お前さ、これで、コイツ殺せよ!」
生徒A「そんなの無理だよ!」
麻衣「さっき、なんでもするって言ったよね?」
生徒A「言ったけど、殺すことなんて出来ないよ!」
麻衣「仕方ねぇなー。  今日は解放してやるよ!   お前らに何かあればさ、BとDも来るだろ?」
生徒C「これからは何もしない!  アンタに近づかないから!  だから、BもDも近づかせないから!」
麻衣「そうだなー、別に良いけど、気が向いたら殺すかも。  お前らは、今日は殺さないだけ!  お前の傷が治った時かなー。  変に傷あったらさ、殺人ってなるからさ!」
生徒C「・・・」
麻衣「首から血が吹き出すの見たかったら、残れば?  遠慮なくあの世に送ってあげる」

傷口を抑えて逃げるC。その後を追うA。

ーーーーー現在・西野の部屋ーーーーー

西野「それで、その2人は?」
麻衣「死んだ・・・  ずっと脅迫してたら、精神病んだみたい。」
西野「それって、麻衣の意思?  それとももう1人の?」
麻衣「どっちだろうね?」

少し微笑んでいる麻衣に、恐怖を感じる西野

西野「麻衣?」
麻衣「なーちゃんって、人を殺したいって思ったことある?」
西野「えっ?  麻衣?  急にどうしたの?」
麻衣「私はね、あるよ!現に、3人手にかけたから・・・」
西野「まさか!  今って」
麻衣「(目が笑っていないが微笑んでいる麻衣)どっちだと思う?」
西野「(唾液を飲み込む)えっ?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友よ、お前は何故死んだのか?

河内三比呂
ミステリー
「僕は、近いうちに死ぬかもしれない」 幼い頃からの悪友であり親友である久川洋壱(くがわよういち)から突如告げられた不穏な言葉に、私立探偵を営む進藤識(しんどうしき)は困惑し嫌な予感を覚えつつもつい流してしまう。 だが……しばらく経った頃、仕事終わりの識のもとへ連絡が入る。 それは洋壱の死の報せであった。 朝倉康平(あさくらこうへい)刑事から事情を訊かれた識はそこで洋壱の死が不可解である事、そして自分宛の手紙が発見された事を伝えられる。 悲しみの最中、朝倉から提案をされる。 ──それは、捜査協力の要請。 ただの民間人である自分に何ができるのか?悩みながらも承諾した識は、朝倉とともに洋壱の死の真相を探る事になる。 ──果たして、洋壱の死の真相とは一体……?

ARIA(アリア)

残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうかしてるから童話かして。

アビト
ミステリー
童話チックミステリー。平凡高校生主人公×謎多き高校生が織りなす物語。 ____ おかしいんだ。 可笑しいんだよ。 いや、犯しくて、お菓子食って、自ら冒したんだよ。 _____ 日常生活が退屈で、退屈で仕方ない僕は、普通の高校生。 今まで、大体のことは何事もなく生きてきた。 ドラマやアニメに出てくるような波乱万丈な人生ではない。 普通。 今もこれからも、普通に生きて、何事もなく終わると信じていた。 僕のクラスメイトが失踪するまでは。

深淵の迷宮

葉羽
ミステリー
東京の豪邸に住む高校2年生の神藤葉羽は、天才的な頭脳を持ちながらも、推理小説の世界に没頭する日々を送っていた。彼の心の中には、幼馴染であり、恋愛漫画の大ファンである望月彩由美への淡い想いが秘められている。しかし、ある日、葉羽は謎のメッセージを受け取る。メッセージには、彼が憧れる推理小説のような事件が待ち受けていることが示唆されていた。 葉羽と彩由美は、廃墟と化した名家を訪れることに決めるが、そこには人間の心理を巧みに操る恐怖が潜んでいた。次々と襲いかかる心理的トラップ、そして、二人の間に生まれる不穏な空気。果たして彼らは真実に辿り着くことができるのか?葉羽は、自らの推理力を駆使しながら、恐怖の迷宮から脱出することを試みる。

少年の嵐!

かざぐるま
ミステリー
小6になった春に父を失った内気な少年、信夫(のぶお)の物語りです。イラスト小説の挿絵で物語を進めていきます。

虹の橋とその番人 〜交通総務課・中山小雪の事件簿〜

ふるは ゆう
ミステリー
交通総務課の中山小雪はひょんなことから事件に関わることになってしまう・・・無駄なイケメン、サイバーセキュリティの赤羽涼との恋模様もからんで、さて、さて、その結末やいかに?

処理中です...