上 下
9 / 33
本編

9.負け戦の女

しおりを挟む
 ペロペロピチャピチャッチューーッスポンッ。

「……はっ……はっ……あああ……ううう……」

 クリクリクリクリッぐにぐにぐにっぎゅーーーーっ

「ああああっ!!」

 許してくださいっ! 大魔王さまっ! いやっお代官さまっ!! もーーむりーーーーっ!!

 アキちゃんの指や口による執拗な先端攻めで、わたしは限界にきていた。
 若干生理的な涙が出てきて今にも溢れそうだ。いや、溢れそうなのは絶対言ってはいけない台詞のほうか……。

 ちゅくちゅくちゅく。
 がっつり吸いついている……かれこれ30分……ま、まだ20分もあるじゃないかっ! お前どんだけおっぱい星人なんだ! 飽きるということを知らないのかっ!

 こんなに胸ばかり長時間集中的に弄られるのは、はっきり言って初めてだ。もう、ほんとに、気持ちよすぎて、地獄。むしろこの状態で下半身触られないことのほうが不憫に感じるようになってきたではないか……。

「……はあ……」
 大分おっぱい星人、もとい、アキちゃんの息もあがってきている。そりゃそうだ、お前さん、30分かぶりついてんだよずっと。
 じいーーと見つめられる。やめてその顔っ! エロい顔! エロが宿りすぎてますよっ!

 くにくにくにくに。
 ……くっ! ガン見しながら弄くってきやがるっ!
 思わず顔を横に反らすと、すかさず耳から胸元に向かってつつつと舌を滑らせ、中心にきたとたん、ベロンと舌全体を使って舐めあげた。

「やっ!!」
 ビクビクッとわたしの意識とは離れた所で全身が痙攣する。
 ……や、やばい……今、軽くイッてしまった……。ば、ばれてないよね……?

「ナツミ……おっぱいでイケるの?」
 バレとるやないかっ……。

「ほんと、ナツミってフシダラだよね……」
 ちょ……ちょっと待て……なぜにわたしが言われる?
「あ、アキちゃん……もう、許して……ギブアップ……」
「でも、まだナツミからオーケーが出てないから」

 ……いつ、そんなシステムに?
「ご、ごめんください……その、オーケーとやらは何を示されているのでしょうか……」
「まだ、ナツミの口から『気持ちいい』って聞いてない」

 え? そうなの?! むしろわたしはソレを言わないように必死に耐えてたというのに……。
 そうか、これは練習なんだもんね。アキちゃんが自信をつける為なんだもんね、褒めないといけないってことか。褒めればすぐ終わる?
 いやまてまてまて、はやまるな! やっぱ言っちゃいけない! 大人としてっ! 何かが欠落してしまう!

 わたしが悶々と葛藤してる間にアキちゃんの愛撫が再開してしまった。
 ペロペロちゅくちゅく。
「あっあああっ」
 ぐにぐにぐにっ。
「ああああ!……いっ……!」

 パッとアキちゃんの顔が上がる。
「い?……ナツミ、イクならちゃんと教えて」
 ピタリと指先の動きが止まって、このどうしようもない熱が発散できずわたしは身悶えた。
「はっ……はっ……はっ……」
「ナツミ……気持ちいい?」
 そう言うやいなや、ピンッと先端を弾かれた。
「あああっ!! い……っき、っきもち……い……」
「……気持ち、いい?」
「……う、うん……」
「ちゃんと言って、気持ちいい?」
「あっあっ、だめっ!! それだめっ! き、きもちいいっきもちいいよー!」

 ……言ってしまったーーーー。
 アキちゃんの表情がみるみると、それはもう鮮やかなほどにみるみると美しくも恐ろしげな笑顔になった。
「じゃあ、もっとがんばるな!」
 そしてまた、胸に顔を埋めてしまった。

 ほらーーーー!! やっぱ言っちゃダメなパターンじゃんかっ!!

 だがしかし、わたしはすでに二度イかされた為に限界突破していて、もう声も抑えられなくなっていた。
「あっあああ!! きもちいいよっ!! あ、アキちゃん!! だめだめっ!!」
「やっと声出すようなったじゃん。俺は嬉しいけどあんま大きいとおばさんに聞こえるぞ」
 うげっ!! 鬼!! 鬼めーーっ!!

 ベロベロと、今まではまだセーブしてたのかというくらいの猛攻撃を受ける。追加でさらに二度ほどイッてしまった……。あきらかに下着がベチョベチョなのがわかる……。我慢できなくて内股で腿を擦りあわせる。
 ……やばい、下触ってほしい……ばかっ! なに考えた自分!!
 なむあみだぶつなむあみだぶつ成仏してくださいわたしの煩悩……。

 念仏唱えてるとアキちゃんの動きが止まっていて、ヒタと視線がわたしの下着を捕らえていた。ガバッと内股になり両手で隠す。
 く、暗いから見えてないよね? 大丈夫、よね?

 ゴクッと、アキちゃんの喉が鳴ったよう、な……。
「……ナツミ……辛い?……下」
「いっ?! いえいえっ全然っ!! ほんとっおかまいなくっ!!……あっ! 見て見てアキちゃん!! 時間だよ!! 二十一時だよ!!」
 ふと時計の掛かる壁を見上げてアキちゃんの口から「チッ」という音が漏れた。

 ……ちょっと……今、アキちゃん、し、舌打ちした??

「……まあ、約束だし……おばさんもいるし……終わろうか……」
 めっちゃ渋々!! すごいよ眉間のシワ、アキちゃん!!
 た、助かった……ほんとに危なかったいろんな事が……。

 わたしはそそくさと、めくれあがってたブラとシャツを直してベッドから立ち上がる。
「じゃ、じゃあアキちゃん、帰るね! ご飯ちゃんと食べてよ。洗い物は明日ゆいさんにしてもらってねっ」
 じとーーと見つめられている。

 部活現役時代のわたしですらビックリするくらいの華麗な身のこなしで、部屋を飛び出し玄関にダッシュ。すぐ隣の玄関をガチャリと開けてサンダルを蹴散らし上げながら自室に飛び込む。
「夏美おつかれさまー、アキラ君ちゃんと食べてたあ?」
 リビングから呑気な母の声が届く。

 はい、おかあさま、わたしは疲れましたし、なんだったらアキラ君に食べられてました……。

 自分のベッドに抱きつくように目をつむった。

 ……パンツ……穿き替えたい……。


 新しい週があけて、うちの母が日勤週間に突入してくれたので、いつものように平和な日常生活を迎えられることになった。
 いたってアキちゃんは何事もなかったように団欒をするし、宿題見ていてもテレビ見ていても襲われることもない。

 そして、恐れていた夜勤週間に突入していたが、わたしは無事であった。奇跡ですこれ。

 どうやら学生達は夏休みに入っていたようで、アキちゃんは部活に夏季限定の塾に、そして友達や彼女との交流にいそしんでたようだ。我が家でめったに晩御飯を食べることがなかった。疲れているのか、自分の家に直帰することが増えた。
 中学生の生活としては頂けない状態ではあるが、わたしは自分の身の安全のほうが大事なもんで、見て見ぬふりをした。

 たまーにかち合って、「充電させて」というからキッチンカウンターのコンセントをどうぞどうぞと薦めるとなぜか濃厚な上、異常に長い接吻を強要されたりするが、もはやそれぐらいで済むのなら万々歳と受け入れた。……これは麻痺してる? 大丈夫?


 この上ない解放感。
 脅えて家に帰ることもなくなり、遠慮なく職場の同期達とビアガーデンめぐりしたり、とても充実した日々を味わって、いや噛み締めていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初恋をこじらせた騎士軍師は、愛妻を偏愛する ~有能な頭脳が愛妻には働きません!~

如月あこ
恋愛
 宮廷使用人のメリアは男好きのする体型のせいで、日頃から貴族男性に絡まれることが多く、自分の身体を嫌っていた。  ある夜、悪辣で有名な貴族の男に王城の庭園へ追い込まれて、絶体絶命のピンチに陥る。  懸命に守ってきた純潔がついに散らされてしまう! と、恐怖に駆られるメリアを助けたのは『騎士軍師』という特別な階級を与えられている、策士として有名な男ゲオルグだった。  メリアはゲオルグの提案で、大切な人たちを守るために、彼と契約結婚をすることになるが――。    騎士軍師(40歳)×宮廷使用人(22歳)  ひたすら不器用で素直な二人の、両片想いむずむずストーリー。 ※ヒロインは、むちっとした体型(太っているわけではないが、本人は太っていると思い込んでいる)

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜

茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。 ☆他サイトにも投稿しています

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

冷徹御曹司と極上の一夜に溺れたら愛を孕みました

せいとも
恋愛
旧題:運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜 神楽坂グループ傘下『田崎ホールディングス』の創業50周年パーティーが開催された。 舞台で挨拶するのは、専務の田崎悠太だ。 専務の秘書で彼女の月島さくらは、会場で挨拶を聞いていた。 そこで、今の瞬間まで彼氏だと思っていた悠太の口から、別の女性との婚約が発表された。 さくらは、訳が分からずショックを受け会場を後にする。 その様子を見ていたのが、神楽坂グループの御曹司で、社長の怜だった。 海外出張から一時帰国して、パーティーに出席していたのだ。 会場から出たさくらを追いかけ、忘れさせてやると一夜の関係をもつ。 一生をさくらと共にしようと考えていた怜と、怜とは一夜の関係だと割り切り前に進むさくらとの、長い長いすれ違いが始まる。 再会の日は……。

腹黒王子は、食べ頃を待っている

月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。

処理中です...