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第2章 ほのぼの結婚まで
41話 うごめくもの
しおりを挟むある日だった。
活動が地域に浸透していく中、不穏な空気が漂う。
それは最近、地域で奇妙な現象が続いていたからだ。
作物の不作や急な天候の変化、さらには住民たちの間に不安が広がっていた。
ある日、セリーナが参加者たちとハイキングの反省会を開いていると、地元の農家の一人が顔を曇らせて入ってきた。
「セリーナさん、聞いてくれ。最近、作物が異常に成長していると思ったら、急に枯れ始めたんだ」
と、彼は震える声で告げた。
セリーナは驚き、思わず立ち上がった。「それは大変ですね。何か原因が分かれば、私たちも助けられるかもしれません」
農家は深いため息をついた。「わからないんだ。天候が急変したり、周囲の環境も影響しているかもしれない」
その言葉に、セリーナは不安を抱えた。これまで地域の支援を続けてきた自分たちに、これ以上の困難が訪れるのではないかと恐れた。ライオネルは不安を感じ取り、「一旦、落ち着こう。何か原因があるはずだ」
と優しく言った。
セリーナは深呼吸し、周囲の人々を見回した。参加者たちの表情には不安が色濃く、今後の活動に影響を及ぼすのではないかと心配しているのが伝わってきた。「皆さん、心配しないでください。私たちはこの問題に立ち向かいます。地域の力を合わせて乗り越えましょう!」
と声を上げる。
その言葉に、参加者たちは少しずつ安心した様子を見せた。しかし、セリーナ自身は心の中で嵐のような不安が渦巻いていた。
数日後、セリーナはライオネルと共に、問題の原因を探るために地域を巡ることにした。
今日はエリスとマルクも一緒だ。
地元の農家を訪れ、現状を詳しく聞き取ることにした。農家たちからは、作物の異変だけでなく、最近の気象変動や地面の変化についても語られた。
ある農家は言った。
「土が何か変な感じがするんだ。見たこともない色の虫が湧いてきたり、植物が急に枯れたりするんだ」
セリーナは、その言葉に胸がざわついた。これが単なる気象の問題ではない可能性を感じ始めていた。
「私たちが何か見落としているのかもしれない」
と思った。そう考えながらも、心の奥底に不安が広がっていく。
その日の夜、セリーナは自分の部屋で、過去の記憶を思い返す。
過去の自分の登場は久しぶりだ。
傲慢で他人の気持ちを考えない悪役令嬢が、目の前にいる。
自分の欲望だけを追い求め、他人を蹴落とすことに喜びを感じていた。とんでもない悪女だ。
でも、今の自分は違う。
セリーナは、人々の幸せを願い、共に助け合うことを選んでいると思った。
「でも、これが正しい道なのか?」
しかし、心の中の葛藤が悩ませる。過去の自分の影がちらつき、過去の行いが今の自分に影響を及ぼすのではないかと。
翌朝、セリーナは再びライオネルと共に現地調査をすることにした。彼らはある畑に向かい、農家たちの話をもとに異常を確認することにした。
畑に着くと、目の前には信じられない光景が広がっていた。作物は不自然に変色し、周囲には見たこともない虫がうごめいていた。セリーナは驚き、思わず後退りした。
「これは…本当におかしい」
ライオネルの顔にも緊張が漂っていた。
その時、周囲から異様な音が聞こえてきた。何かが動いているのか、土が揺れているのか、明らかに普通ではない。セリーナは不安な気持ちを抑え、声を震わせながら言った。「ライオネル、ここから離れよう。何か危険なことが起こるかもしれない」
その瞬間、土の中から黒い影が浮かび上がり、彼らの方へ向かってきた。セリーナは息を呑んだ。
逃げようとしたが、体が動かなかった。心臓が早鐘を打ち、目の前の現実が信じられなかった。
「セリーナ、後ろだ!」
ライオネルの叫び声が響き、セリーナは我に返る。
急いで振り返ると、黒い影はすでに近くまで迫っていた。
二人で心臓が高鳴るのを感じながら、全力でセリーナはライオネルの後ろに隠れた。
「こんなこと、想像もしていなかった…!」
セリーナは心の中で叫ぶ。
不安が募る中、強く決意する。
「私たちがこの地域を支えるために、絶対に立ち向かわなければならない!」
そう思った瞬間、セリーナは心の中の恐れを振り払い、前を見据えた。
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