36 / 46
第2章 ほのぼの結婚まで
36話 トラブル発生⁉︎
しおりを挟むステージに立ち、観客の熱気を感じながらセリーナは心を躍らせる。周囲には、地元の農家やシェフ、そして参加者たちが集まり、期待と興奮に包まれている。
「皆さん、ようこそ!今日の料理フェアでは、私たちの地域の特産品の魅力を存分に味わっていただけるよう、たくさんの美味しい料理をご用意しています!」
と声を張り上げると、観客からは拍手が湧き起こり、セリーナの心は高鳴っていた。
彼女の言葉に応えるように、隣には新たに加わったシェフが立っている。彼は特産品を使ったオリジナル料理を振る舞うことになっており、皆の期待は膨らんでいた。
「これから、特産品を使った料理の試食コーナーが始まります! ぜひ、皆さんで地元の味を楽しんでください!」
その言葉と共に、シェフが腕を振るい始めた。セリーナはその様子を見守りながら、心の中で新たな仲間たちとの絆を感じていた。一人ではなく、たくさんの人々がこのイベントを成功させるために集まっているのだ。
しばらくして、料理が出来上がり、観客たちに振る舞われ始めた。美味しそうな香りが広がり、参加者たちは口々に絶賛の声を上げていた。
「このトマト、甘みがあって最高だ!」
「この料理、ほんとうに美味しい!」
セリーナは、胸がいっぱいに、自分の努力が報われている瞬間を感じながら、観客の反応を楽しむことができた。
しかし、順調に進んでいたフェアの途中、突然トラブルが発生してしまう。
出店していた農家の一人が、急に具合が悪くなってしまったのだ。セリーナはその知らせを聞くと、一瞬で緊張が走った。
「大丈夫ですか?」
急いで駆け寄り、農家の方に声をかけた。周囲の人々も心配そうに集まってきた。
農家の方は、苦しそうに息を整えながらも、「申し訳ない、今日は参加できないかもしれない…」と呟いた。セリーナはすぐにライオネルを呼び寄せた。
「ライオネル、手伝って! このままだと、彼の出店ができなくなってしまう」
セリーナは焦っていた。
ライオネルは迅速に動き、周囲の人々に声をかけて協力を求めた。
「皆さん、この出店を助けてあげてください! 少し手伝ってくれる人はいませんか?」
その呼びかけに応じて、他の農家たちや参加者たちが集まり始めた。「私たちが手伝う!」と声を上げ、彼らは即座に協力を申し出た。
セリーナはその様子に目を細めた。
これが私の描いていた未来。
皆で支えて、生活を築いていく。
人々が互いに助け合う姿は、セリーナが目指していた地域の一体感そのものであった。
心の中で、「これが本当の地域振興なのだ」と確信した。
「皆さん、本当にありがとう! 一緒に頑張りましょう!」
と、セリーナ感謝の気持ちを伝え、再びステージに立ち上がった。
「みんなの力で、この料理フェアを成功させましょう! それでは、特産品を使ったもう一品、地元の名物料理をご紹介します!」
次の料理の紹介に移った。参加者たちの興味を引きつけ、観客もその熱意に応えてくれている。
感無量だった。
私は期待を胸に料理を楽しむことができた。
ライオネルはその光景を見守りながら、セリーナの姿に感動していた。「彼女は本当に成長した」と思いつつ、自らも全力でサポートする決意を新たにしていた。
うん、うん、うん、と満足げに頷いている。
料理フェアは次第に盛り上がり、観客の笑顔が広がる中、セリーナは心の中で新たな夢を描いていた。これからも地域を支え、共に成長していく仲間たちと共に、より良い未来を築いていくことができると。
20
お気に入りに追加
264
あなたにおすすめの小説
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉。節約令嬢、書籍化進行中
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
モブに転生したので前世の好みで選んだモブに求婚しても良いよね?
狗沙萌稚
恋愛
乙女ゲーム大好き!漫画大好き!な普通の平凡の女子大生、水野幸子はなんと大好きだった乙女ゲームの世界に転生?!
悪役令嬢だったらどうしよう〜!!
……あっ、ただのモブですか。
いや、良いんですけどね…婚約破棄とか断罪されたりとか嫌だから……。
じゃあヒロインでも悪役令嬢でもないなら
乙女ゲームのキャラとは関係無いモブ君にアタックしても良いですよね?
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜
晴行
恋愛
乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。
見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。
これは主人公であるアリシアの物語。
わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。
窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。
「つまらないわ」
わたしはいつも不機嫌。
どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。
あーあ、もうやめた。
なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。
このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。
仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。
__それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。
頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。
の、はずだったのだけれど。
アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。
ストーリーがなかなか始まらない。
これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。
カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?
それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?
わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?
毎日つくれ? ふざけるな。
……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?
断罪ルートを全力で回避します~乙女ゲームに転生したと思ったら、ヒロインは悪役令嬢でした~
平山和人
恋愛
平凡なOLの私は乙女ゲームのヒロインに転生した。貧乏な男爵家の娘ながらも勉強を頑張って、奨学生となって学園に入学したのだが、蓋を開ければ、悪役令嬢が既にハーレムを作っていた。どうやらこの世界は悪役令嬢がヒロインのようで、ざまぁされるのは私のようだ。
ざまぁを回避すべく、私は徹底して目立たないようにした。しかし、なぜか攻略対象たちは私に付きまとうようになった。
果たして私は無事にざまぁを回避し、平穏な人生を送ることが出来るのだろうか?
【完結】バッドエンドの落ちこぼれ令嬢、巻き戻りの人生は好きにさせて貰います!
白雨 音
恋愛
伯爵令嬢エレノアは、容姿端麗で優秀な兄姉とは違い、容姿は平凡、
ピアノや刺繍も苦手で、得意な事といえば庭仕事だけ。
家族や周囲からは「出来損ない」と言われてきた。
十九歳を迎えたエレノアは、侯爵家の跡取り子息ネイサンと婚約した。
次期侯爵夫人という事で、厳しい教育を受ける事になったが、
両親の為、ネイサンの為にと、エレノアは自分を殺し耐えてきた。
だが、結婚式の日、ネイサンの浮気を目撃してしまう。
愚行を侯爵に知られたくないネイサンにより、エレノアは階段から突き落とされた___
『死んだ』と思ったエレノアだったが、目を覚ますと、十九歳の誕生日に戻っていた。
与えられたチャンス、次こそは自分らしく生きる!と誓うエレノアに、曾祖母の遺言が届く。
遺言に従い、オースグリーン館を相続したエレノアを、隣人は神・精霊と思っているらしく…??
異世界恋愛☆ ※元さやではありません。《完結しました》
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる