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第2章 ほのぼの結婚まで

32話 ワークショップ

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 セリーナは、新しい仲間たちとの出会いを経て、農業支援に向けた具体的な計画を練り始めた。
 心には、希望と期待が渦巻いていた。リラとの話し合いを通じて、地域の人々にとって何が必要かを理解することが、支援活動の第一歩であると再認識したのだ。

 数日後、セリーナは広場で農業支援ワークショップを開催することを決め、村の掲示板に告知を掲示した。

「地域の農業を支援するワークショップ開催! 共に学び、成長しよう!」

 と大きく書かれたその告知は、村の人々の目を引いた。

 当日、広場には多くの人々が集まり、期待に胸を膨らませていた。セリーナは緊張しながらも、仲間たちと共に準備を進めていく。リラは専門知識を持っており、参加者に対して分かりやすく説明する役割を担った。

「皆さん、今日は私たちがどのように地域の農業を支援できるか、一緒に考えていきましょう!」

 リラが元気に声を上げた。その言葉に参加者たちの目が輝く。

 セリーナは、参加者たちが真剣な表情でリラの話を聞いているのを見て、心の中で喜びを感じた。彼女は以前の自分なら、こんなに多くの人々が自分の提案に耳を傾けてくれるなんて想像もできなかった。

 ワークショップが進むにつれて、リラは実際の農作業や土壌管理のテクニックを教え始めた。
 セリーナは彼女の横で熱心に聞き、参加者たちの反応を見ながら自分の心を高めていった。

「土壌が健康であれば、作物も元気に育ちます。まずは、土の状態をしっかり把握することが大切です」

 とリラが説明した。

 参加者たちは質問を投げかけ、積極的に意見を交わしていた。セリーナはその様子を見て、地域の人々が自分たちの力で農業を改善しようとする姿勢に感動した。

「この村は、みんなの力を合わせて成り立っています。だからこそ、共に学び合うことが大切なんです」

 とセリーナも補足した。

 その瞬間、ある参加者が手を挙げた。

「私の農場でも、今年は特に作物の成長が悪いんです。どうすれば改善できますか?」

 と切実な質問をした。

 リラはその質問にしっかりと答え、参加者の不安を和らげるためのアドバイスを与えた。セリーナはその様子を見て、コミュニティの絆が深まっていくのを感じた。

「このワークショップが、みんなの力になれればいいな…」

 と思いながら、次のプログラムに向けて準備を進めた。



 ワークショップが終わる頃、参加者たちは笑顔で意見を交わし、感謝の言葉を口にしていた。セリーナはその姿を見て、自分がやってきたことに自信を持つことができた。

「私たちがこうして集まって学び合うことで、きっと地域の農業が活性化する!これからも、みんなで支え合っていきましょう!」

 とセリーナは締めくくった。

 その日の夕暮れ、セリーナは広場の片隅で一人、集まった人々の笑顔を振り返りながら、深い感慨に浸っていた。
 かつては孤独を抱えていたけど、今は多くの仲間と共に未来を見据えている。そのことが、何よりの幸せだった。


 セリーナは、農業支援ワークショップの成功を受けて、新たなプロジェクトに取り組む決意を固めていた。参加者たちの反響が大きかったことで、彼女はさらなる支援を必要とする地域のニーズを見極めたいと考えた。

 数日後、リラと共に、農業支援に必要な資材や情報を集めるための計画を立てることにした。セリーナは、自分たちの活動がより多くの人々に届くようにしたいという強い思いを持っていた。

「次は、農業に関する講習会だけでなく、実際の畑を使った体験型イベントもやりたいと思っているの」

 とセリーナはリラに提案した。

 リラはそのアイデアに目を輝かせて、「それはいい考え! 参加者が実際に手を動かすことで、より深く学べると思うわ」と興奮気味に答えた。

 セリーナは早速、地域の農場主たちに声をかけ、協力を依頼することにした。自分の周囲にいる人々がこのプロジェクトに賛同してくれることを願っていた。
 支援活動が広がれば、より多くの人が助けを得られると信じていたからだ。

 数日後、彼女は地域の農場主たちと話し合いの場を設けることに成功し、集まった農場主たちは、彼女の情熱に感化されたのか、セリーナの計画を手伝うことを快く承諾した。

「私たちの経験を生かして、地域の農業をもっと良くしていこう!」

 と一人の農場主が声を上げ、その言葉にセリーナは胸が熱くなる。

 その後、セリーナたちは具体的な計画を進めるために、畑での体験会の日程を決め、必要な資材をリストアップすると、彼女たちの意気込みは周囲にも伝わり、参加者の募集も始まる。

「皆さん、この体験会を通じて、自分たちの手で農業を体験し、共に成長しましょう!」

 イベントが近づくにつれ、準備が忙しくなる中、セリーナは時折、前世の記憶を思い出すことがあった。

 忘れてはいけない過去だ。
 傲慢で、わがままで、悪役令嬢だった私。

 それを糧に、今は人々のために力を尽くせている。
 セリーナは、徐々に自分の成長を感じていた。

「あの頃の私に見せてあげたい…こんなにも多くの人々が、共に支え合っている姿を」

 と心の中で呟いた。



 体験会の当日、セリーナとリラは畑に早くから集まり、参加者を迎える準備を整えると、緑の広がる畑に、心地よい風が吹き抜けた。
 集まる参加者たちは、期待の表情で満ちている。

「みんな、今日は楽しい一日になるわよ!」

 とリラが元気に声をかけると、参加者たちは笑顔で応じた。

 セリーナは、イベントが無事に進行することを願いながら、周囲を見回した。参加者たちが畑を前に興奮している姿を見て、心は温める。

 体験会が始まると、参加者たちは畑での作業に積極的に取り組み始めた。リラが手取り足取り教え、セリーナもサポートに回った。土を触り、種を植え、実際に収穫するまでの過程を楽しむ姿は、何よりの喜びだった。

「みんな、いい感じよ!この調子でいけば、素晴らしい作物が育つわ!」
 とリラが声を張り上げる。

 イベントが進むにつれて、心の中で思った。
 これが、求めていた「支え合う社会」なのだと。


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