悪役令嬢に転生したら病気で寝たきりだった⁉︎完治したあとは、婚約者と一緒に村を復興します！

第2章 ほのぼの結婚まで

30話 過去との対峙

　掲示板が完成した翌日、仲間たちとともに新たな活動を始めることに決めた。
　村の人々とのコミュニケーションを深め、支援の輪を広げるために、もっと多くの人々を巻き込んでいくのだ。セリーナの心には前日の成功体験がまだ残っていた。

　集会の日、セリーナは再び広場に人々を呼び寄せた。周囲には色とりどりの花が咲き乱れ、春の訪れを感じさせる。仲間たちと共に掲示板を見つめながら、皆が集まってくれることを期待していた。

「おはようございます！　今日は、支援活動の計画をさらに進めたいと思います！」

　セリーナは元気に声をかけた。人々は集まってくるにつれ、顔をほころばせた。

　集まった人々は、セリーナの言葉に耳を傾け、熱心に意見を交わしていた。そこに、以前の自分が抱えていた孤独感は影を潜めていた。彼女はその光景を見て、心が温かくなるのを感じた。

「今日は、新しいアイデアを出し合って、みんなで助け合える方法を考えましょう！」

　とセリーナは提案した。

　人々はすぐに意見を出し始め、活気に満ちた会話が広がっていく。その中で、セリーナはふと、過去の記憶が頭をよぎるのを感じた。

　前世の自分がどれほど孤独で、他人を拒絶していたか。その思い出が、胸を締め付ける。

　それと、聞かされた、悪役令嬢として過ごした凍りつくような日々。

「どうしてこんなにも傲慢なことをして、他人を傷つけていたんだろう…」

　セリーナは心の中で自問した。

　かつての自分を思い出し、苦しみながらも人々との絆を築こうとする今の自分と対比させた。

「私は、もうあの悪役令嬢には戻りたくない。今度こそ、みんなと共に生きていくんだ」

　そんな思いを抱えながら、仲間たちの発言を聞き続けた。ふと、横に立つライオネルが言った。

「みんなの意見、素晴らしいと思う。特に、互いに助け合うことが大事だ」

　その言葉を聞いたとき、セリーナは心が軽くなった。今、仲間たちと共に支援活動を進める姿は、過去の自分には想像もつかないものだった。

「私も、もっと多くの人を支えたい！　みんなの力を合わせれば、もっと素晴らしい未来を作れるはず」

　セリーナは声を張り上げた。

　参加者たちは頷き、次々にアイデアを出し合う。セリーナはその流れの中で、以前の自分がいかに無知であったかを思い知らされた。周囲の人々が支え合い、互いに助け合う姿勢がどれほど大切かを実感した。


　その日の集会が終わる頃、セリーナは皆とともに掲示板に新しい情報を追加した。心には、希望の光が差し込んでいた。

「これからも、みんなと共に支援の輪を広げていきましょう」

　セリーナは力強く宣言した。

　人々はその言葉に応え、笑顔を交わしながら一緒に頷いた。その瞬間、自分が生まれ変わったことを実感した。
　もう一度、自分の過去を背負いながらも、今は未来に向かって歩んでいる。


　日が暮れると、セリーナは村の外れにある小さな丘に立ち寄った。そこから見える夕焼けは美しく、彼女の心を静めた。

「私はもう、あの頃の私ではない」

　と、自分に言い聞かせた。

　視線の先には、仲間たちと共に築いた未来が広がっていた。