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第1章 病気が完治するまで
22話 新たな冒険
しおりを挟むセリーナが病室でライオネルと過ごす日々は、彼の言葉で少しずつ明るくなっていった。
時折、病室を訪れていた、エリザとローズも微笑ましかった。
皆で、ライオネルが目指す治癒魔法のために必要な素材を集めるため、仲間たちとの旅が始まることを心待ちにしていた。
「みんな、集まってくれてありがとう。今日はセリーナを救うために、必要な素材を集めに行く」
ライオネルの言葉に、仲間たちの顔が一斉に明るくなった。
「私たちもセリーナのために頑張るよ!」
と、リーダー格のエリスが元気よく言った。
「行く場所は、禁断の森だ。そこには治癒の力を持つ草が生えているという話だ」
ライオネルが続ける。
「禁断の森…あそこは危険だよね」
と、慎重な性格のマルクが言った。
「確かに危険は伴う。覚悟が必要だ」
仲間たちはそれぞれの決意を胸に秘め、出発の準備を整え始めた。
出発の日、ライオネルはセリーナの病室に立ち寄った。ベッドに横たわりながらも、セリーナは期待に満ちた目を向ける。
「ライオネル、気をつけてね」
不安そうに言うセリーナに、
「大丈夫、必ず戻る。君のために、全力を尽くす」
ライオネルは力強く答え、セリーナの手を優しく握った。
「私もここで応援しています」
セリーナの言葉に、ライオネルは勇気をもらう。
禁断の森へ向かう途中、仲間たちは道中で様々な話を交わしながら進んでいく。緊張感が漂う中、エリスが話しかけてきた。
「ライオネル、セリーナと過ごした時間がすごく大事だって、最近感じるの。彼女は変わったわ」
ライオネルは頷いた。
「そうだな、セリーナの笑顔は何だか力になる。だから、俺も絶対に治してみせる、って気になる」
マルクも横から口を出す。
再びライオネルが頷くと、
「大丈夫だって! お前のことも俺たちが支えるから、安心しなっ」
マルクはそう笑顔で続けた。
仲間たちの絆は深まっていく。それぞれの思いを抱きながら、森の入口に到着する。
禁断の森は、暗く厚い木々が生い茂り、異様な静けさに包まれていた。ライオネルは仲間たちに指示を出す。
「まずは周囲を警戒しながら進もう。何が起こるかわからないから」
皆は頷き、慎重に進んでいく。
その時、ふと茂みが揺れた。ライオネルは身構えた。
「何かいる!」
と、エリスが叫ぶ。
次の瞬間、巨大な魔獣が現れた。仲間たちは一瞬驚き、すぐに戦闘体制に入った。
「ライオネル、どうする?」
心臓はドキドキと高鳴る。ライオネルは剣を抜き、決意を新たにした。
「みんな、一緒に戦おう!」
仲間たちは彼の言葉に奮起し、魔獣に立ち向かう。剣と魔法が交錯し、激しい戦闘が始まった。
ライオネルはその中で冷静さを保ちつつ、仲間たちの連携を意識した。
「マルク、右側から回り込んで!」
「了解!」
マルクが動き、ライオネルも続く。魔獣の攻撃をかわしながら、仲間たちと連携を取り、一撃を加えた。
「今だ、エリス!」
エリスが魔法の力を放ち、魔獣に致命的な一撃を与える。仲間たちの力が結集し、魔獣はついに倒れた。
「やった…!」
みんなは安堵の息をつく。
しかし、ライオネルの心には緊張が残っていた。
まだ、こんなもんじゃないだろう。
次は何が?
不安は募るが、ライオネルは仲間たちがいる限り、どんな試練にも立ち向かう覚悟があった。
そして、これからも、
セリーナのために。
そう誓う。
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