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第1章 病気が完治するまで
19話 過去との別れ
しおりを挟むライオネルは、心の奥にある強い決意を感じながら、祭壇の前に立っていた。目の前の水晶から放たれる光が、包み込み、神秘的な力を感じさせていた。
周囲の空気が重くなり、心拍数が上がる。
「この試練を乗り越えなければ、セリーナを救う力を得られない…」
仲間たちが心配そうに見守る中、ライオネルは水晶に向かって一歩前に出た。
すると、水晶の光が一層強くなり、目の前に幻想的な景色が広がった。目の前には、再び過去の記憶が映し出され、彼はその中に引き込まれるように感じた。
「また過去か?」
思い出が鮮やかに映し出される中で、セリーナが病気で倒れた出来事を思い起こした。
そして、次第に記憶は暗い影を帯び始めた。
その影は、セリーナを守れなかった瞬間だった。
彼女の悪態が目に余り、少しばかり距離を置いていた時期とも重なる。心の中で葛藤し、彼女の笑顔を見守ることしかできなかった自分を責めていた。
「どうして、もっと強くなれなかったのか…」
その思いが、再びライオネルの心に重くのしかかる。
私は、この過去の自分を受け入れなければ、きっとここで命を落とすことになる。
ライオネルは、そう何となく察していた。
すると、目の前に現れたのは、心の中の不安や恐れの具現化だった。それは、まさに自身が直面すべき「自分自身」だった。
「お前はただの弱虫だ。セリーナを救えないお前が、何をできる?」
その声は耳元で響き、心の奥深くに潜む自己嫌悪が呼び起こされる。
「私は、弱虫じゃない!」
自分の声を大にして叫び、試練の幻影に向かって歩み寄った。心の中の恐れと対峙し、かつての自分に向き合う。
「私はセリーナを救うために、強くなりたいんだ!」
その言葉が響くと、周りの空気が一変した。
幻影は揺らぎ、少しずつその姿を消し去っていく。
自分の心の中にある決意を強く感じ、次第に自分の弱さを受け入れていった。
「私には仲間がいる。セリーナを守るために、みんながいる!」
その瞬間、ライオネルは仲間たちの顔を思い出した。
彼らが共に戦い、支え合っている姿が脳裏に浮かび、心の力を与えてくれた。彼は心からの感謝の気持ちを抱き、再び前を向く。
「どんな試練があっても、私は負けない!」
その叫び声と共に、ライオネルは強い光を放つ水晶に手を伸ばした。光は彼の体を包み込み、彼の心の奥底から湧き上がる力を解放する。
「これが、私の決意だ!」
その瞬間、周囲の空気が変わり、ライオネルの中に新たな力が宿った。今まで感じたことのないほどの強さを得た気がした。
目の前には、試練を乗り越えた証としての光が現れ、彼を導くように輝いていた。
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