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青木 森

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15_宿縁の章_41

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 集まる視線の先、おびただしい集中砲火で出来上がった巨大なクレーターのど真ん中に、薄紫のフィールドで包まれた「無傷の巨大戦艦」が瓦礫に埋もれならも、その存在感を遺憾なく見せ付けていたのである。
 その艦は、外観にこそ以前と若干の違いはあったが、まごう事なき「戦艦ガルシア」であった。
『一番砲塔ォ! 全弾撃てぇえぇぇぇ!』
 新たな制服を纏い、キャプテンシートに立つイノウエ艦長が咆哮すると、
「イエッサァー! ブチ抜きやがれクソ野郎どもぉう!」
 皆と揃いの新制服を纏った「ガブリエル・クルス」が操作パネルをぶっ叩いた。舳先に近い砲塔三門から正面の瓦礫に向かって一斉三射。
 ズドドドッドオドオドーーーーーーッ!
 レーザーにも見える青白い光跡を直線で描き、大地を削り海まで達する砲撃。
 入り口を見つけた海水は濁流となり、ガルシアへ向かって一気に流れ込み、巨体を瞬く間に浮上させ、
『フォースガルシア両舷微速前進ッ!』
「両舷微速前進! アイサァアァァ!」
 操舵桿を握るは新制服の胸元を弾き飛ばしそうな筋骨隆々の大男「ジョシュア・マーティン」。復唱して太足でアクセルを踏み込むと、四たび生まれ変わったガルシア『フォースガルシア』が艦底艦尾の射出口から勢いよく海水を吐き出し、その巨体を前に進め始めた。
 薄紫のオーラを纏ったかのような輝きを放ちつつ、悠然と動き出すフォースガルシア。
その圧倒的存在感、何者も寄せ付けぬ気迫に攻撃を忘れ、思わず後退りする両陣営。
 しかし、オーストラリア軍のパワードスーツと対峙していのは、言わずもがなアメリカ軍。ガルシアに幾度となく煮え湯を飲まされた彼らが黙って見逃す筈も無く、目の上のタンコブであったガルシアが目の前に現れた事で、
『何をしているかァ! 早く潰さぬかぁあぁぁぁぁっぁ!』
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
 天の声(司令の声)にハッと我に返る兵士たち。
 半数の機体が、自ら造った運河で洋上へ向かうガルシアを慌てて追い、残りの半数がオーストラリア軍のパワードスーツ部隊と、ガルシアが隠れ潜んでいた秘密基地へ群がろうとした。
 しかし、
 ピッ!
「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」
 一瞬の激しい閃光の後、
 ズドォドォドォドォドォーーーーーーーーッ!
 瓦礫に埋もれた南極基地は天にも届くほどの巨大な火柱を上げ、群がる「無数の人型兵器たち」と「搭乗していた兵士たち」を人身御供に灰燼と化した。
 その光景は南極大陸への上陸も果たせず、おこぼれ目当てで、洋上で小競り合いを続けていた他の国々も目にする事となり、
『『『『『『『『『『やってくれたなぁ! ガルシアがァァァァァァアアァッァア!』』』』』』』』』』
 逆恨みとしか思えない恨み節。全ての怒りはガルシアへと向かい、
『『『『『『『『『『沈めてしまえぇぇえぇぇぇぇえぇぇ!』』』』』』』』』』
 人型兵器に戦艦、巡洋艦、潜水艦に艦載機、国籍問わず、生き残っていたありとあらゆる残存部隊が、残存艦隊が、洋上へ出たガルシアに群がり始め、
『『『『『『『『『『撃てぇええぇえぇぇぇぇ!』』』』』』』』』』
 怒りで頭が沸騰した各国司令官たちのヒステリックな指令により、一斉に攻撃を開始した。
 大海に出た、生まれ変わったばかりのガルシアに迫る、巡航ミサイル、対艦ミサイル、爆撃に砲弾、そして魚雷群。
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