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15_宿縁の章_34
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海上では――
飛来する無数のミサイル群に対し、各国艦艇が回避運動を行いながら赤白い火の球のフレアを飛ばし合い、さながら飾り気のない花火大会の様相を呈しつつ迎撃態勢に入ると、
パカァーーーン!
突如ミサイル達が空中分解。
「「「「「「「「「「ッ!」」」」」」」」」」
何事が起きたのかと驚く乗組員たちの前で内包していた紙吹雪を舞い散らせ、途端にレーダー監視システムの「システム傷害」と「通信障害」が発生。
「「「「「「「「「「な!?」」」」」」」」」」
敵の位置の把握する事も、僚艦との通信連絡を取る事も出来なくなった。
飛んで来たミサイル群は無差別的な艦隊撃破を目的としたモノではなく、各国艦隊の眼と耳を潰す為の、チャフ(レーダー妨害紙)が仕込まれていたのであった。
攻撃と防御の手段が「人間の目頼り」とされてしまった中、双眼鏡で周辺監視をしていた乗組員が、
「後方上空より大型輸送機、多数来まぁす!」
「何だとォ!」
見上げる雲の切れ間から、幾つもの大型輸送機が轟音を響かせ姿を現した。
しかし、
「な、何だ……アレ……」
回避運動を続ける各国艦艇のクルー達は空を見上げたまま、見た事も無い光景に言葉を失った。
輸送機たちはハッチの下部を大きく開いた状態で飛来し、そこには黒い何かが、幾つも吊り下げられていた。
それは、
((((((((((人型ロボット!?))))))))))
マリアがオーストラリアの女王に就いていた頃に活躍していたパワードスーツに比べると、幾分無骨な外観をした人型兵器。
見上げる全てのクルー達が語る言葉を見い出せずにいるさ中、輸送機下部に吊り下げられた人型は、おもむろに、手にする細筒の先端を洋上艦隊に向け下し、
((((((((((なんだ?))))))))))
固唾を呑んだ次の瞬間、
ピィーーーッ!
独特な高周波音を筒から発し、先端から青いレーザー光線を照射。洋上の一隻をいとも容易く艦橋ごと射貫き撃沈させると、それを皮切りに他の人型からも雨あられの如く全ての船を餌食として降り注がれ、世界の海軍力を凝縮展示していた様であった海上は、瞬く間に炎の海と化した。
西側の海が火炎地獄と化すさ中、東側の海中でも――
深淵の海底から迫る無数の魚雷に逃げ惑い、我先にと四散する各国の潜水艦たち。無数の潜水艦が右往左往するその様は、まるで鯨のラッシュアワー。そんな中で各艦はデコイを放ち回避運動を行うも、魚雷群は囮に惑わされる様子も見せず、生真面目に海面を目指してひたすら直進。
((((((((((どう言う事だ!?))))))))))
各国潜水艦のソナーマン達が魚雷群の一挙手一投足に耳を傾けていると、
シュバァガァーーー!
「「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」
深度式、またはタイマー式で自壊がセットされていたのか、魚雷たちは海中で突然の破裂。
しかしそれは単なる自滅ではなかった。
破裂と同時に中から鉄球の様な物が全方位に無数に飛び散り、海中で感染症三密状態の様にあった潜水艦たちの巨体を次々貫通。
ある船は制御を失い沈降して水圧で圧壊。またある船は機関に直撃され爆沈。またある船は僚艦と接触して共に沈んで行き、手つかずの自然に恵まれた極南の海は「潜水艦の墓場」と化す。
そんなさ中、混迷を極める海中の間隙を縫い、漆黒の海底から矢の様に海面に向かう、無数の巨大な黒い塊。
やがて「巨大な黒い塊」達は、慌てふためく洋上艦たちの間を突き破り、青空へと飛び立つ様に海中から飛び出た。
飛来する無数のミサイル群に対し、各国艦艇が回避運動を行いながら赤白い火の球のフレアを飛ばし合い、さながら飾り気のない花火大会の様相を呈しつつ迎撃態勢に入ると、
パカァーーーン!
突如ミサイル達が空中分解。
「「「「「「「「「「ッ!」」」」」」」」」」
何事が起きたのかと驚く乗組員たちの前で内包していた紙吹雪を舞い散らせ、途端にレーダー監視システムの「システム傷害」と「通信障害」が発生。
「「「「「「「「「「な!?」」」」」」」」」」
敵の位置の把握する事も、僚艦との通信連絡を取る事も出来なくなった。
飛んで来たミサイル群は無差別的な艦隊撃破を目的としたモノではなく、各国艦隊の眼と耳を潰す為の、チャフ(レーダー妨害紙)が仕込まれていたのであった。
攻撃と防御の手段が「人間の目頼り」とされてしまった中、双眼鏡で周辺監視をしていた乗組員が、
「後方上空より大型輸送機、多数来まぁす!」
「何だとォ!」
見上げる雲の切れ間から、幾つもの大型輸送機が轟音を響かせ姿を現した。
しかし、
「な、何だ……アレ……」
回避運動を続ける各国艦艇のクルー達は空を見上げたまま、見た事も無い光景に言葉を失った。
輸送機たちはハッチの下部を大きく開いた状態で飛来し、そこには黒い何かが、幾つも吊り下げられていた。
それは、
((((((((((人型ロボット!?))))))))))
マリアがオーストラリアの女王に就いていた頃に活躍していたパワードスーツに比べると、幾分無骨な外観をした人型兵器。
見上げる全てのクルー達が語る言葉を見い出せずにいるさ中、輸送機下部に吊り下げられた人型は、おもむろに、手にする細筒の先端を洋上艦隊に向け下し、
((((((((((なんだ?))))))))))
固唾を呑んだ次の瞬間、
ピィーーーッ!
独特な高周波音を筒から発し、先端から青いレーザー光線を照射。洋上の一隻をいとも容易く艦橋ごと射貫き撃沈させると、それを皮切りに他の人型からも雨あられの如く全ての船を餌食として降り注がれ、世界の海軍力を凝縮展示していた様であった海上は、瞬く間に炎の海と化した。
西側の海が火炎地獄と化すさ中、東側の海中でも――
深淵の海底から迫る無数の魚雷に逃げ惑い、我先にと四散する各国の潜水艦たち。無数の潜水艦が右往左往するその様は、まるで鯨のラッシュアワー。そんな中で各艦はデコイを放ち回避運動を行うも、魚雷群は囮に惑わされる様子も見せず、生真面目に海面を目指してひたすら直進。
((((((((((どう言う事だ!?))))))))))
各国潜水艦のソナーマン達が魚雷群の一挙手一投足に耳を傾けていると、
シュバァガァーーー!
「「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」
深度式、またはタイマー式で自壊がセットされていたのか、魚雷たちは海中で突然の破裂。
しかしそれは単なる自滅ではなかった。
破裂と同時に中から鉄球の様な物が全方位に無数に飛び散り、海中で感染症三密状態の様にあった潜水艦たちの巨体を次々貫通。
ある船は制御を失い沈降して水圧で圧壊。またある船は機関に直撃され爆沈。またある船は僚艦と接触して共に沈んで行き、手つかずの自然に恵まれた極南の海は「潜水艦の墓場」と化す。
そんなさ中、混迷を極める海中の間隙を縫い、漆黒の海底から矢の様に海面に向かう、無数の巨大な黒い塊。
やがて「巨大な黒い塊」達は、慌てふためく洋上艦たちの間を突き破り、青空へと飛び立つ様に海中から飛び出た。
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