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青木 森

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15_宿縁の章_33

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 室内の大型モニタに映る、誰の眼にも『ジゼ優勢』と見える戦いを、苛立ちを以って見つめる「とある国」のお歴々の方々。
 最前線で本隊の侵攻を優位にすべく奮戦する先発隊の苦労など顧みず、
「何をもたもたしているのだ!」
「このままでは貴重なサンプルが更に失われてしまうではないか!」
「多少の犠牲もやむなし!」
「必要悪だ!」
 しかしこれは、この国に限った話ではなく、ロストテクノロジーの奪取を目論み、戦いに参加する各国共通で、硬直状態にしびれを切らした首脳たちは自軍の総司令官の頭上を飛び越え、
「「「「「「「「「「直ちに前進せよォ!」」」」」」」」」」
 進撃を勅令。
 奇しくも時をほぼ同じく、先発隊の活躍を足蹴にする様に上陸を開始せざるを得なくなった総司令官たちが、
「「「「「「「「「「クッ!」」」」」」」」」」
 苦虫を噛み潰したような顔するさ中、洋上艦のレーダー監視員が突如声を張り上げる。
「後方より急速に接近する機影多数アリッ! ロックオンされましたァ!」
「何だとォ!!」
 艦長の怒号が飛ぶが先か、
「正体不明の各機よりミサイルの発射を確認ッ!」
「機関前進! 回避運動開始しつつフレア(おとり)を射出! 僚艦との距離を留意せよォオォォ!」
「「「「「「イエッサァーーーッ!」」」」」」
 先発隊からの朗報を、タダひたすら待っていた各国の後続艦隊は、突然の「謎の来訪者」に混乱のるつぼと化した。

 南極大陸西側の海上が乱脈を極めるさ中、東側の海中では――
 ヘッドホンを耳に当てたソナーマンが、各国艦隊の急激な動き出しに、
「艦長、上で何かあった様です。まるで蜂の巣をつついたような騒ぎです」
「通信員! 直ちに旗艦に確認!」
「イエッサー!」
 返事を返すが先か、
「まっ、待って下さい!」
 ソナーマンが顔色を変え、
「魚雷発射管の注水音を確認!」
「ナニ!!」
 ピコォオォッォォン!
 船体に鳴り響くソナー音。
「アクティブソーナーを確認! 続けて魚雷発射音を確認!!」
「何処からだ!」
「ちょ、直下でぇす!」
「本艦の限界深度の更に下からだとォ!?」
 信じ難いハイスペックの攻撃におののく艦長であったが、すかさず、
「機関前進! 後部発射管の一番から四番にデコイ(おとり)装填! 直ちに射出! 探針音打てぇえぇぇ!」
「「「「イエッサァー!」」」」
 海中の各国潜水艦たちも、錯乱染みた慌ただしい動きを見せ始める。
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