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青木 森

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15_宿縁の章_24

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 クスッと小さく笑い合うヤマトとジゼ。
「さぁて……」
 改めて向き直り、フードの下からナアクスカムアとワイスカムアを睨む様に見据え、
「正直意外だったよ」
「二人を見逃すなんて」
 すると警戒心露わの顔に薄い笑みを浮かべ、
「底が知れた相手など、いつでも屠れれるでござる。然るに!」
 未だフードの下から素顔を見せない二人に対し、
「いい加減に素顔を晒したらどうでござる!」
「恥ずかしがり屋の歳で無きにありんしょう?」
 ワイスカムアも皮肉を交えた苛立ちを、妖艶な笑みを以って露わにすると、
「「…………」」
 ヤマトとジゼは頷き合い、静かにフードを下した。
「「ッ!!!」」
 二人の素顔に、これまでに無い驚きを見せるナアクスカムアとワイスカムア。
 当然である。かつて捨てた筈の「自分たち」が、眼の前に現れたのだから。
 その驚きたるや言葉で易々と表現出来るものではなく、
「き、貴様らは何者でござるゥ!」
 動揺を隠せず口籠るナアクスカムアを前に、
「俺はヤマトォ! アンタが捨てた肉体に芽生えた人格だ!」
「馬鹿なァ!」
(空になった肉体に別人格が!?)
「私はジゼ! この時代のAI(エーアイ)、人工知能よ!」
「有り得ないでありんす! この時代の人工知能などぉ! (コンピューター)言語も別物なれば、基礎理論も全く別な物の筈でありんす!」
「でも事実よ! それに私は、正確に言うなら、現代とアナタ達の言語のハイブリッドよ!」
「「…………」」
 受け入れ難い話に、黙するしかないナアクスカムアとワイスカムア。
 しかし、二人にとっていくら現実味の無い話であったとしても、自分たちが捨てた筈の肉体が人格を持って目の前に立っている事は事実であり、数え切れない様々な疑念を抱きつつ、
「良いでござろぅ」
 その全てを飲み込むと、苛立ちを以って奥歯をギリリと擦り鳴らし、
「過去に捨てた「弱き自身」に立ちはだかられるは、己と向き合い、研鑽を積み、絶えず進化を求める戦士にとって、この上ない屈辱でござるゥ!」
 ヤマトとジゼをキツク睨み、
「斬るッ! そして屍を晒し、最強を目指す我ら共の糧と化せ、過去の亡霊めぇ!」
 コーギーの三又槍の切っ先を二人に向け構え直すと、妖艶な笑みを浮かべたワイスカムアも両手の扇子を静かに構え直し、
「行くでありんす!」
 二人は予め示し合わせていたかのように弾け別れ、ヤマトとジゼ、それぞれを標的と見定め駆け迫った。
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