504 / 535
15_宿縁の章_16
しおりを挟む
苛立ちを増し、歯ぎしりしながらジャックを見据え、
「キサマ、その体ァ……」
異常な急加速とスティーラーの枠を超えた破壊力から、ある可能性に気が付いた。
ニヤリと笑うジャック。
「ちぃとばっかイジって、クローザーと同等の体にしてあんぜぇ」
(オマエ(コーギー)が受けた辱めのヒトカケラ、マズは支払わせたぞ!)
見せた余裕の笑みは、一瞬にして怒りの形相へと豹変し、
「オレら兄妹をナメてんじゃネェ!」
背後にダブる、コーギーの姿。
(サイジャクどもがァ……)
アナスは歯ぎしりしながらワナワナと打ち震え、
「最弱がァアァァァッァァぁっぁアァァアァァァ!」
今にも噛みつきそうな、狂気染みた怒りで咆哮し、空気は激しくビリビリと振動した。
怒りで我を忘れるアナスの姿に、
(愚かでありんすな……)
嘲るアナクスであったが、口元に浮かべた妖艶な笑みは崩す事は無く、
「ファティ坊、少し離れているでありんす」
「ッ!」
不安げな顔で見上げるファティマ。
するとアナクスは、あえて自分たちを悪役のポジションに置き、
「物語とは、常に正義が勝利する訳ではありんすぇ」
皮肉った笑みを浮かべ、
「のぉ、ヌシよ? 故に、坊を人質に取ったり、傷つけたりはしぃせんやろぅ?」
視線を移すと、そこにはアナスへの加勢を阻止せんと立ちはだかるマリアの姿が。
「無論ですわ。幼女に手を掛けるほど、落ちぶれてはいませんですわ!」
「流石は正義の味方でありんすなぁ~」
笑みを浮かべ、
「ファティ坊、しばし離れているでありんすぇ」
強く頷くファティマは「勝って!」ジェスチャーを見せてから離れ、アナクスはその後ろ姿を見送ると、
「さぁてぇ、こちらも宴を始めるでありんすぅ」
身構え、
「来るでありんす♪」
優美な動きを以って、両手に雅びな扇子を出現させた。
「リストォ、ロードォ!」
ダブルレイピアを出現させて身構えるマリア。
「一つ聞いてもよろしいですの!」
「?」
「護るべき「確かな者(ファティマ)」がありながら、何故に最強などと「不確かな物」に固執しますですの!」
「根っこの生真面目は変わらぬでありんすなぁ~」
「え?」
「何でんありんせんぇ」
小さく笑い、
「言うなれば……」
脳裏にチラつく「金欲と権力欲」にまみれた王族たちの下卑た笑顔。
「言うなれば?」
固唾を呑み答えを待つと、妖艶な笑みは崩さず、
「癖(へき)でありんしょうかぁ?」
「へき……」
「強き者を押し倒して屈服させとぅなるぅ、性(さが)」
単に「強い者を求める性癖」と言ってのけ、
「ヌシの妹は、妾を満足させてはくれんせぇんしたでありんすが、」
「分かりましてございますわ」
マリアはギリッとアナクスを睨み、
「情けは無用と言う事ですわねぇ!」
身構え直すと地を激しく蹴りアナクスに迫った。
「良きに気概でありんすなぁ、第三位」
悠然と笑みを浮かべ待ち構えるアナクス。
「キサマ、その体ァ……」
異常な急加速とスティーラーの枠を超えた破壊力から、ある可能性に気が付いた。
ニヤリと笑うジャック。
「ちぃとばっかイジって、クローザーと同等の体にしてあんぜぇ」
(オマエ(コーギー)が受けた辱めのヒトカケラ、マズは支払わせたぞ!)
見せた余裕の笑みは、一瞬にして怒りの形相へと豹変し、
「オレら兄妹をナメてんじゃネェ!」
背後にダブる、コーギーの姿。
(サイジャクどもがァ……)
アナスは歯ぎしりしながらワナワナと打ち震え、
「最弱がァアァァァッァァぁっぁアァァアァァァ!」
今にも噛みつきそうな、狂気染みた怒りで咆哮し、空気は激しくビリビリと振動した。
怒りで我を忘れるアナスの姿に、
(愚かでありんすな……)
嘲るアナクスであったが、口元に浮かべた妖艶な笑みは崩す事は無く、
「ファティ坊、少し離れているでありんす」
「ッ!」
不安げな顔で見上げるファティマ。
するとアナクスは、あえて自分たちを悪役のポジションに置き、
「物語とは、常に正義が勝利する訳ではありんすぇ」
皮肉った笑みを浮かべ、
「のぉ、ヌシよ? 故に、坊を人質に取ったり、傷つけたりはしぃせんやろぅ?」
視線を移すと、そこにはアナスへの加勢を阻止せんと立ちはだかるマリアの姿が。
「無論ですわ。幼女に手を掛けるほど、落ちぶれてはいませんですわ!」
「流石は正義の味方でありんすなぁ~」
笑みを浮かべ、
「ファティ坊、しばし離れているでありんすぇ」
強く頷くファティマは「勝って!」ジェスチャーを見せてから離れ、アナクスはその後ろ姿を見送ると、
「さぁてぇ、こちらも宴を始めるでありんすぅ」
身構え、
「来るでありんす♪」
優美な動きを以って、両手に雅びな扇子を出現させた。
「リストォ、ロードォ!」
ダブルレイピアを出現させて身構えるマリア。
「一つ聞いてもよろしいですの!」
「?」
「護るべき「確かな者(ファティマ)」がありながら、何故に最強などと「不確かな物」に固執しますですの!」
「根っこの生真面目は変わらぬでありんすなぁ~」
「え?」
「何でんありんせんぇ」
小さく笑い、
「言うなれば……」
脳裏にチラつく「金欲と権力欲」にまみれた王族たちの下卑た笑顔。
「言うなれば?」
固唾を呑み答えを待つと、妖艶な笑みは崩さず、
「癖(へき)でありんしょうかぁ?」
「へき……」
「強き者を押し倒して屈服させとぅなるぅ、性(さが)」
単に「強い者を求める性癖」と言ってのけ、
「ヌシの妹は、妾を満足させてはくれんせぇんしたでありんすが、」
「分かりましてございますわ」
マリアはギリッとアナクスを睨み、
「情けは無用と言う事ですわねぇ!」
身構え直すと地を激しく蹴りアナクスに迫った。
「良きに気概でありんすなぁ、第三位」
悠然と笑みを浮かべ待ち構えるアナクス。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~
存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?!
はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?!
火・金・日、投稿予定
投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』
断罪
宮下里緒
ファンタジー
三丸町、のどかでなんの変哲もない少し寂れた街。
それ以外の特徴なんてこれといってないはずだった。
街の一角にある時実養護施設、身寄りのない子供たちを預かるその施設の院長が死んだ。
それを皮切りにしたかのように次々と起きる凶悪な事件。
呪われたように街に惨劇が降り注ぐ。
そして少年少女は真実にたどり着く。
『罪には罰を』
誰かがそう言った。
チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~
ふゆ
ファンタジー
私は死んだ。
はずだったんだけど、
「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」
神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。
なんと幼女になっちゃいました。
まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!
エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか?
*不定期更新になります
*誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください!
*ところどころほのぼのしてます( ^ω^ )
*小説家になろう様にも投稿させていただいています
ライゼン通りの錬金術師さん~錬金術工房はじめます~
水竜寺葵
ファンタジー
あらすじ
錬金術大国と呼ばれるオルドーラ。そこには王宮お抱えの若き女流錬金術師の少女がいた。
しかし、彼女は地位も名声も何もかも捨てて自分の事を誰も知らない隣国コーディル王国へと向かう。ここから少女の新しい物語が幕を開ける事となった。
お針子さんに繫がる錬金術師さんの物語が今幕を開ける。お待たせいたしました。アルファポリスでも投稿開始です。R15設定で暴力的表現及び残酷模写が含まれるシーンもシリーズによって今後出てきますが、最初は熊を倒すなどのソフト表現のみですので安心してご拝読下さい。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
無能とされた双子の姉は、妹から逃げようと思う~追放はこれまでで一番素敵な贈り物
ゆうぎり
ファンタジー
私リディアーヌの不幸は双子の姉として生まれてしまった事だろう。
妹のマリアーヌは王太子の婚約者。
我が公爵家は妹を中心に回る。
何をするにも妹優先。
勿論淑女教育も勉強も魔術もだ。
そして、面倒事は全て私に回ってくる。
勉強も魔術も課題の提出は全て代わりに私が片付けた。
両親に訴えても、将来公爵家を継ぎ妹を支える立場だと聞き入れて貰えない。
気がつけば私は勉強に関してだけは、王太子妃教育も次期公爵家教育も修了していた。
そう勉強だけは……
魔術の実技に関しては無能扱い。
この魔術に頼っている国では私は何をしても無能扱いだった。
だから突然罪を着せられ国を追放された時には喜んで従った。
さあ、どこに行こうか。
※ゆるゆる設定です。
※2021.9.9 HOTランキング入りしました。ありがとうございます。
能力1のテイマー、加護を三つも授かっていました。
暇野無学
ファンタジー
馬鹿の巻き添えで異世界へ、召喚した神様は予定外だと魔法も授けずにテイマー神に丸投げ。テイマー神もやる気無しで、最低限のことを伝えて地上に降ろされた。
テイマーとしての能力は最低の1だが、頼りは二柱の神の加護だけと思ったら、テイマーの能力にも加護が付いていた。
無責任に放り出された俺は、何時か帰れることを願って生き延びることに専念することに。
魔力0の俺は王家から追放された挙句なぜか体にドラゴンが棲みついた~伝説のドラゴンの魔力を手に入れた俺はちょっと王家を懲らしめようと思います~
きょろ
ファンタジー
この異世界には人間、動物を始め様々な種族が存在している。
ドラゴン、エルフ、ドワーフにゴブリン…多岐に渡る生物が棲むここは異世界「ソウルエンド」。
この世界で一番権力を持っていると言われる王族の“ロックロス家”は、その千年以上続く歴史の中で過去最大のピンチにぶつかっていた。
「――このロックロス家からこんな奴が生まれるとは…!!この歳まで本当に魔力0とは…貴様なんぞ一族の恥だ!出ていけッ!」
ソウルエンドの王でもある父親にそう言われた青年“レイ・ロックロス”。
十六歳の彼はロックロス家の歴史上……いや、人類が初めて魔力を生み出してから初の“魔力0”の人間だった―。
森羅万象、命ある全てのものに魔力が流れている。その魔力の大きさや強さに変化はあれど魔力0はあり得なかったのだ。
庶民ならいざ知らず、王族の、それもこの異世界トップのロックロス家にとってはあってはならない事態。
レイの父親は、面子も権力も失ってはならぬと極秘に“養子”を迎えた―。
成績優秀、魔力レベルも高い。見捨てた我が子よりも優秀な養子を存分に可愛がった父。
そして――。
魔力“0”と名前の“レイ”を掛けて魔法学校でも馬鹿にされ成績も一番下の“本当の息子”だったはずのレイ・ロックロスは十六歳になったこの日……遂に家から追放された―。
絶望と悲しみに打ちひしがれる………
事はなく、レイ・ロックロスは清々しい顔で家を出て行った。
「ああ~~~めちゃくちゃいい天気!やっと自由を手に入れたぜ俺は!」
十六年の人生の中で一番解放感を得たこの日。
実はレイには昔から一つ気になっていたことがあった。その真実を探る為レイはある場所へと向かっていたのだが、道中お腹が減ったレイは子供の頃から仲が良い近くの農場でご飯を貰った。
「うめぇ~~!ここの卵かけご飯は最高だぜ!」
しかし、レイが食べたその卵は何と“伝説の古代竜の卵”だった――。
レイの気になっている事とは―?
食べた卵のせいでドラゴンが棲みついた―⁉
縁を切ったはずのロックロス家に隠された秘密とは―。
全ての真相に辿り着く為、レイとドラゴンはほのぼのダンジョンを攻略するつもりがどんどん仲間が増えて力も手にし異世界を脅かす程の最強パーティになっちゃいました。
あまりに強大な力を手にしたレイ達の前に、最高権力のロックロス家が次々と刺客を送り込む。
様々な展開が繰り広げられるファンタジー物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる