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13_流転の章_43
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耳をつんざく発射音や炸裂音が絶え間なく鳴り響き、砂塵がもうもうと立ち込め視界を遮る中、
「ハァーーーッハッハッハ!」
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
高笑いと共に砂煙を突き抜け飛び出して来たのは、
「うぬらの気概をもっとぉ! もっと拙者に示すでござうぅぅぅぅうぅうぅ!」
赤き光に包まれたクローザーの男であった。
「なッ!?」
「まったく効いてないだとぉ!?」
「ばっ、バケモノだぁあぁぁぁぁッ!」
一部の兵士が怯え始め士気は一気に下がりかけたが、そんな中でも窮境を跳ね返そうと、
「怯むなァーーーッ! 撃って撃って撃ち続けぇ、活路を見い出すんだァーーーッ!」
自らをも鼓舞し、士気を高めようと声高らかに叫ぶ兵士もいたが、男は彼らの一縷の望みさえ嘲笑うかのように、
「気概だけで拙者に勝てぬでござるよ!」
「ゲッ!?」
その驚きの声が、兵士の最期の言葉であった。
未だ百メートル近くあった筈の距離を、クローザーの男は瞬間移動でもしたかの様に一瞬にして迫り、
シュシュピィーーーンン!
剣を鞘から一閃。
剣先が光の弧を描いた次の瞬間、兵士たちの気概の象徴的存在であった兵士は、胴を薙ぎ払われ絶命した。
「「「「「「「「「「ッ!」」」」」」」」」」
精神的支柱を失った兵士たち。
「こ、こんなヤツに勝てるかよぉおっぉぉお!」
そこから先は総崩れ。
武器を放り投げて逃げ出そうとする者、迫る死の恐怖から錯乱し、半狂乱で無差別に銃を乱射する者、しかし彼らの下に「死」は等しく訪れ、
「ハァーーーッハッハッハ! 先程までの気概はどうしたでござるかぁ!」
乱れ舞う刃に命は易々と蹂躙されて行き、
「クソがァ!」
捨て鉢気味に男を踏みつぶそうと迫った装甲車や戦車でさえ、操縦者ごとチーズの様に真っ二つにされ、
「ハァーーーッハッハッハ!」
男の高笑い声が響く戦場は、一方的な修羅場と化した。
無数の亡骸が横たわる地獄絵図の中、人々の命を易々と奪い続ける悪鬼羅刹が如き男の姿に、
(ヤメテなぉぅ……)
後悔の意味を知ったファティマは自身が招いた結果におののき、
「ヤメテぇなぉぅうぅぅぅぅぅぅ!」
必死に声を絞り出して叫ぶと、ほぼ時を同じく町も白旗を上げ、多量の血にまみれたクローザーの男の、
「なんとぉ、もぅ終わりでござるかぁ」
残念そうな声と共に、一方的な蹂躙は終結を迎えた。
死屍累々たる町の入り口は、正に惨状。
辛うじて即死を免れた兵士たちの呻き声がアチラコチラから聞こえる中、野盗たちの血で真っ赤に染まった経験を持つ町の入り口は、期せずして、町を守ろうとした人々の大量の血により再び赤く染まる事となった。
それは因果応報か。
平穏そうに見える町の陰で、高値で売れそうな容姿を持つよそ者を捕えては、金品を巻き上げたうえで、闇マーケットで売り飛ばしていた『報い』と言ってしまえばそれまでではあるが。
ファティマは突き付けられた過酷な現実に、
「あぁ……」
今にも泣き出しそうな顔で絶句。
自らが望み、作り出した諍いにより、その幼く小さな両肩に、比肩するモノが無いほどの業因を背負う結果となってしまった。
「ハァーーーッハッハッハ!」
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
高笑いと共に砂煙を突き抜け飛び出して来たのは、
「うぬらの気概をもっとぉ! もっと拙者に示すでござうぅぅぅぅうぅうぅ!」
赤き光に包まれたクローザーの男であった。
「なッ!?」
「まったく効いてないだとぉ!?」
「ばっ、バケモノだぁあぁぁぁぁッ!」
一部の兵士が怯え始め士気は一気に下がりかけたが、そんな中でも窮境を跳ね返そうと、
「怯むなァーーーッ! 撃って撃って撃ち続けぇ、活路を見い出すんだァーーーッ!」
自らをも鼓舞し、士気を高めようと声高らかに叫ぶ兵士もいたが、男は彼らの一縷の望みさえ嘲笑うかのように、
「気概だけで拙者に勝てぬでござるよ!」
「ゲッ!?」
その驚きの声が、兵士の最期の言葉であった。
未だ百メートル近くあった筈の距離を、クローザーの男は瞬間移動でもしたかの様に一瞬にして迫り、
シュシュピィーーーンン!
剣を鞘から一閃。
剣先が光の弧を描いた次の瞬間、兵士たちの気概の象徴的存在であった兵士は、胴を薙ぎ払われ絶命した。
「「「「「「「「「「ッ!」」」」」」」」」」
精神的支柱を失った兵士たち。
「こ、こんなヤツに勝てるかよぉおっぉぉお!」
そこから先は総崩れ。
武器を放り投げて逃げ出そうとする者、迫る死の恐怖から錯乱し、半狂乱で無差別に銃を乱射する者、しかし彼らの下に「死」は等しく訪れ、
「ハァーーーッハッハッハ! 先程までの気概はどうしたでござるかぁ!」
乱れ舞う刃に命は易々と蹂躙されて行き、
「クソがァ!」
捨て鉢気味に男を踏みつぶそうと迫った装甲車や戦車でさえ、操縦者ごとチーズの様に真っ二つにされ、
「ハァーーーッハッハッハ!」
男の高笑い声が響く戦場は、一方的な修羅場と化した。
無数の亡骸が横たわる地獄絵図の中、人々の命を易々と奪い続ける悪鬼羅刹が如き男の姿に、
(ヤメテなぉぅ……)
後悔の意味を知ったファティマは自身が招いた結果におののき、
「ヤメテぇなぉぅうぅぅぅぅぅぅ!」
必死に声を絞り出して叫ぶと、ほぼ時を同じく町も白旗を上げ、多量の血にまみれたクローザーの男の、
「なんとぉ、もぅ終わりでござるかぁ」
残念そうな声と共に、一方的な蹂躙は終結を迎えた。
死屍累々たる町の入り口は、正に惨状。
辛うじて即死を免れた兵士たちの呻き声がアチラコチラから聞こえる中、野盗たちの血で真っ赤に染まった経験を持つ町の入り口は、期せずして、町を守ろうとした人々の大量の血により再び赤く染まる事となった。
それは因果応報か。
平穏そうに見える町の陰で、高値で売れそうな容姿を持つよそ者を捕えては、金品を巻き上げたうえで、闇マーケットで売り飛ばしていた『報い』と言ってしまえばそれまでではあるが。
ファティマは突き付けられた過酷な現実に、
「あぁ……」
今にも泣き出しそうな顔で絶句。
自らが望み、作り出した諍いにより、その幼く小さな両肩に、比肩するモノが無いほどの業因を背負う結果となってしまった。
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