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9.黎明の章_21
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(ツヨクてぇ、やさしくてぇ、オンナにデレデレしなくてぇ、でもオンナをまもれるオトコって……)
「そうだぁ!」
とある人物を思い浮かべると、タイミング良く、
「ソウシ!? 一人でいるなんて珍しいな」
思い浮かべた人物が、背後から声をかけて来た。
「ヤマトォ!」
キラキラした眼差しで見上げるソウシ。
「ど、どうしたぁ?」
若干引き気味のヤマト。いつもイサミかトシゾウの背に隠れ、自己主張のないソウシが、憧れの眼差しを以って迫って来たのだから、ヤマトの後退りも無理からぬ事。
しかし、答えを追い求め歩き続けて来たソウシは、ヤマトの戸惑いなど眼中に無く、
「ツヨイオトコになるには、どうしたらイイのぉ!」
「「え?」」
呆気にとられたヤマトとジゼは一先ず落ち着く様に促し、事の経緯を順追って聞いた。
「なるほどなぁ~」
「なるほどねぇ~」
幼いながらも「気になる女の子に好かれたい」と言う微笑ましい悩みに、目を細めるヤマトとジゼであったが、
「ボク、オトコとして、どうしてもツヨクなりたいんだ!」
身を乗り出すソウシの表情は真剣そのもの。
(茶化すのはソウシに失礼だなぁ)
ヤマトはニコリと笑みを浮かべ、
「別に、オトコとして強くなろうとしなくてイイんじゃないか?」
「え? どういうこと?」
「う~ん、そぉ~うだなぁ~」
少し考え、
「強い漢って「女の子を守れる位に」みたいな感じだろぅ?」
「う、うん!」
「でも誰かを守りたいって気持ちは、男も女も関係ないんじゃないか?」
「で、でも!」
「もしソウシがイサミの立場だったとして、ソウシを守る為に、イサミやトシゾウが大怪我したらどう思う?」
「イヤだ……」
「だろぅ? そりゃあ体を鍛えたりする事も大事だけど、人として強くなる方がもっと大事なんじゃないか?」
「ヒトとしてぇ?」
「嘘をついて騙したり、嫌がらせをしたりしない事さぁ。まぁ難しく考えないで、自分がされて嫌な事を人にしないって事だよ」
ソウシより少なからずも長く人間社会を見て来たヤマトが、人生の先輩としての貫禄を見せると、ジゼが悪い顔してニヤリ。
「あれあれぇ~ヤマトってば、「女の子を守れる強い漢に」とか言ってなかったけぇ~?」
「め、目が覚めたんだよぉ」
ヤマトはバツが悪そうに、
「女子にこっ酷くのされて……その時思ったんだよ、男も女も関係ないってなぁ!」
「えぇ!? 誰に誰にぃ!? 私の知ってる人ぉ!?」
興味津々のジゼに、ハッとするヤマト。
(ヤバイ、口が滑ったぁ!)
「だ、誰でもいいだろぅ!」
慌ててはぐらかすと、
「だいたい今の俺じゃ、マリアやナクア、それにシャーロットやナヤスに挑んだって負けるだろぅ?」
論点を逸らそうとしている言動が見え見え。
「ふぅ~~~ん」
疑いのジト目を向けるジゼに、苦笑いのヤマトは、
「だ、だからな、ソウシ、幼い今、無理に体を鍛えると一生モノのケガをしたりするから、無理のない範囲でトレーニングをしつつ、人間として「やって良い事、悪い事」を覚える方が良いと思うんだ! じゃ、じゃぁな!」
そそくさと逃げる様に走り去り、
「ちょ、ちょっとヤマトぉ! 話はまだ終わってないよぉ!」
ジゼは後を追いかけようとしつつ、
「悩む事も、考える事も、強い漢への第一歩だよ♪」
ソウシに笑顔を残し、
「こらぁ待ちなさいヤマトぉーーー! 相手が誰か白状しなさぁーーーい!」
走り去って行った。
「…………」
ポツンと一人、取り残されるソウシ。
「そうだぁ!」
とある人物を思い浮かべると、タイミング良く、
「ソウシ!? 一人でいるなんて珍しいな」
思い浮かべた人物が、背後から声をかけて来た。
「ヤマトォ!」
キラキラした眼差しで見上げるソウシ。
「ど、どうしたぁ?」
若干引き気味のヤマト。いつもイサミかトシゾウの背に隠れ、自己主張のないソウシが、憧れの眼差しを以って迫って来たのだから、ヤマトの後退りも無理からぬ事。
しかし、答えを追い求め歩き続けて来たソウシは、ヤマトの戸惑いなど眼中に無く、
「ツヨイオトコになるには、どうしたらイイのぉ!」
「「え?」」
呆気にとられたヤマトとジゼは一先ず落ち着く様に促し、事の経緯を順追って聞いた。
「なるほどなぁ~」
「なるほどねぇ~」
幼いながらも「気になる女の子に好かれたい」と言う微笑ましい悩みに、目を細めるヤマトとジゼであったが、
「ボク、オトコとして、どうしてもツヨクなりたいんだ!」
身を乗り出すソウシの表情は真剣そのもの。
(茶化すのはソウシに失礼だなぁ)
ヤマトはニコリと笑みを浮かべ、
「別に、オトコとして強くなろうとしなくてイイんじゃないか?」
「え? どういうこと?」
「う~ん、そぉ~うだなぁ~」
少し考え、
「強い漢って「女の子を守れる位に」みたいな感じだろぅ?」
「う、うん!」
「でも誰かを守りたいって気持ちは、男も女も関係ないんじゃないか?」
「で、でも!」
「もしソウシがイサミの立場だったとして、ソウシを守る為に、イサミやトシゾウが大怪我したらどう思う?」
「イヤだ……」
「だろぅ? そりゃあ体を鍛えたりする事も大事だけど、人として強くなる方がもっと大事なんじゃないか?」
「ヒトとしてぇ?」
「嘘をついて騙したり、嫌がらせをしたりしない事さぁ。まぁ難しく考えないで、自分がされて嫌な事を人にしないって事だよ」
ソウシより少なからずも長く人間社会を見て来たヤマトが、人生の先輩としての貫禄を見せると、ジゼが悪い顔してニヤリ。
「あれあれぇ~ヤマトってば、「女の子を守れる強い漢に」とか言ってなかったけぇ~?」
「め、目が覚めたんだよぉ」
ヤマトはバツが悪そうに、
「女子にこっ酷くのされて……その時思ったんだよ、男も女も関係ないってなぁ!」
「えぇ!? 誰に誰にぃ!? 私の知ってる人ぉ!?」
興味津々のジゼに、ハッとするヤマト。
(ヤバイ、口が滑ったぁ!)
「だ、誰でもいいだろぅ!」
慌ててはぐらかすと、
「だいたい今の俺じゃ、マリアやナクア、それにシャーロットやナヤスに挑んだって負けるだろぅ?」
論点を逸らそうとしている言動が見え見え。
「ふぅ~~~ん」
疑いのジト目を向けるジゼに、苦笑いのヤマトは、
「だ、だからな、ソウシ、幼い今、無理に体を鍛えると一生モノのケガをしたりするから、無理のない範囲でトレーニングをしつつ、人間として「やって良い事、悪い事」を覚える方が良いと思うんだ! じゃ、じゃぁな!」
そそくさと逃げる様に走り去り、
「ちょ、ちょっとヤマトぉ! 話はまだ終わってないよぉ!」
ジゼは後を追いかけようとしつつ、
「悩む事も、考える事も、強い漢への第一歩だよ♪」
ソウシに笑顔を残し、
「こらぁ待ちなさいヤマトぉーーー! 相手が誰か白状しなさぁーーーい!」
走り去って行った。
「…………」
ポツンと一人、取り残されるソウシ。
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