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青木 森

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8.朋友の章_23

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 その頃、自警団の本部では―――
 メラニー婆ちゃんの家がヤングマフィアの手により燃やされた事や、メラニー婆ちゃんが町を離れた事の報告を受け、アレックスをはじめとする幹部達は高笑い。
「昔気質のマフィアだか何だ知らねぇが、ざまぁねぇ~よなぁ!」
「マファイの連中も、たまにはイイ仕事をしてくれるぜぇ!」
「まったくだよねぇ!」
 自席のソファーでニヤつくアレックスを前に、対抗組織の行いを称賛していると、扉の向こうから、
『オマエ等、何の用だ!』
 怒声が聞こえたかと思うと、
「うわぁあぁぁぁぁぁぁ!」
 団員の一人が閉ざされた扉を突き破り、アレックス達の前まで転がった。
「誰だァ!」
 各々武器を手に立ち上がって身構え、入り口を睨むアレックス達。
 するとそこへ、憤怒の形相したヴァイオレットを先頭に、変わらぬ作り笑顔に怒りを滲ませるコーギーと、激しい怒りから唇を噛み締めるエラが姿を現した。
「やってくれたじゃないかァ、アレックスッ!」
 心臓を射抜きそうな怒気をはらんだヴァイオレットの声。
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
 その変貌ぶりに、怯む自警団団員たち。
 アレックスも息を飲んだが、
「め、メラニーのババァの事を言ってやがるのかぁ! それならマファイの連中を、」
 言いかけたアレックスの前に、ヴァイオレットは書類束を投げ置き、
「アンタと、ヤングマフィアのボス、『リアン』との通信ログだ!」
「なっ!?」
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
 おののくアレックスと、ザワつく団員たち。
 動揺を隠せない団員たちの疑惑の視線に、アレックスは狼狽を露わ、
「は、ハッタリだぁ! だ、だいいち、そんなモノが一般人に手に入る筈が無い!」
「私はガーディアンの隊員です!」
「なっ!? ドジ女ぁ! お前ガーディアンだったのかぁ!?」
 エラが国の機関の一員であった事実に後退ると、ヴァイオレットはアレックスを見下す様に一瞥くれ、
「この最悪の、裏切り者の馬鹿をどうするかはアンタ達で決めるんだねぇ!」
 自警団幹部たちに促し背を向けると、コーギーとエラを従え部屋から出て行った。
 残されたアレックスに降り注ぐ、団員達からの怒りの視線。
「はは、ははっ、はははは……」
 引きつり笑いを浮かべるアレックス。この後、信頼への裏切りは、高い代償を支払うと知る。

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