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青木 森

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7.岐路の章_28

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 同時刻のガルシアサードの治療室―――
 イサミ、トシゾウ、ソウシの三人が、長テーブルに並んで座り、マリアの残していった時間割に従い自習をしていたが、
「もぅあきたぁ~~~!」
 トシゾウが、鉛筆を長テーブルの上に放り投げた。
「なにしてるのトシゾウ! まだべんきょうのじかんでしょ!」
「おしえてくれるひと(マリア)がいないし、もぅやだよぉ~。なぁ、ソウシぃ~」
「ぼ、ボクは、その……」
「ソウシをまきこまないのぉ! マリアはおしごとがんばってるの! イサミたちも、がんばらないとぉ!」
「サボったっていいじゃないかぁ~」
「いわれたところを、ちゃんとおわらせないと、あとでマリアにおこられるんだからねぇ」
「うぅ」
 鋭いツッコミに、トシゾウがグゥの音も出ないでいると、
「みんなやってるね」
 シセが治療室に顔を覗かせ、
「「「シセぇ!」」」
 イサミ達は想定外の訪問者に、笑顔を弾けさせた。
 クルー達は全員任務中で、訪ねて来る者は皆無と思っていたからである。
「どうしたの、シセ?」
 心配する言葉とは裏腹に、嬉しそうなイサミ。
「ブリッジで「要らない子」扱いされたから、出て来ちゃったぁ」
「ふぅ~ん……なんだかわかんないけど、いらっしゃい!」
 屈託なく笑う無垢な三つの笑顔に、シセも穏やかな笑顔を見せ、
「今は何をしてたのです?」
「いまは、」
 イサミが自習内容を説明しようとするとトシゾウが、
「あそぼうぅ!」
 すかさずイサミは、
「ダメっていったでしょ! マリアがつくったじかんわりあるの!」
「ケチィ~~~」
 不満たらたらなトシゾウと、同じ気持ちなのか、モジモジするソウシ。
「ちょっと時間割を見せて」
 シセはイサミから時間割を受け取り、内容を確認すると、
「うぅ~ん、国語、算数、理科、社会って……大人でも嫌になりそうな時間割でぇすね」
 几帳面な時間割から窺えるマリアの生真面目さに、少々呆れ笑い。
 三人をしっかり育てたいとの、思いの現れであるとは理解しつつ、
「息抜きに、今日の午後にやる事になっている図画、「お絵描き」を今の時間にやりましょう」
「やったぁーーー!」
 喜ぶトシゾウとソウシ。そして、
「し、しかたないわねぇ。シセがそこまでいうならぁ」
 立派なツンデレに育ちつつある片鱗を見せるイサミに、苦笑いのシセ。
 それから四人は隣接するキッズルームへ移り、カーペットの上に座り、他愛ない会話を笑顔で交わしながら、画用紙に思い思い絵を描いて過ごした。

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